【クラウド構築 実践事例(後編)】クラウド導入目的と効果の実際を直撃 | RBB TODAY

【クラウド構築 実践事例(後編)】クラウド導入目的と効果の実際を直撃

エンタープライズ ソフトウェア・サービス

クラウド導入にあたったネットワーク事業部のメンバー。
  • クラウド導入にあたったネットワーク事業部のメンバー。
  • 杉山晴彦氏(メディアプラットフォーム事業本部 ネットワーク事業部 事業部長)
  • 馬場淳一氏(メディアプラットフォーム事業本部 ネットワーク事業部 リーダー)
  • 稲澤将紀氏(システム事業本部 ネットワーク事業部)
  • 構築したネットワーク概要
 RBB TODAY編集部の母体「株式会社イード」のプライベートクラウド導入事例の後編は、運用管理を担当している杉山晴彦氏(メディアプラットフォーム事業本部 ネットワーク事業部 事業部長)、馬場淳一氏(メディアプラットフォーム事業本部 ネットワーク事業部 リーダー)、稲澤将紀氏(システム事業本部 ネットワーク事業部)へのインタビュー内容を紹介する。

■リプレイスに投資するよりも仮想化によって集約

――約200台のサーバのうち、今年度のリース切れ/保守切れサーバが約30台になるとわかって、クラウド移行に踏み切るまでの経緯を教えてください。

弊社では事業部ごとに様々な形態のインターネットサービスを展開し、それぞれが独立したネットワークを構築していますが、面倒を見るのはネットワーク事業部の我々3人しかいません。ベンダーもネットワーク構成もばらばらで、システムによってはユーザートラフィックの少ない夜間にメンテナンスを行う必要もありましたし、サービス停止時の各事業部との調整も含め、運用が非常に大変でした。

そこへきて、リース切れ/保守切れサーバの問題です(笑)。保守切れのまま運用していたサーバもありましたが、最近ではそうしたサーバでハードウェア不良等の故障率が高くなっていました。すぐ交換というわけにいきませんから、夜中に故障してシステム担当者に呼ばれてもなかなか復旧できないといったこともありました。かといって、約30台ものサーバをリプレイスするには莫大な費用がかかりますし、最近のサーバは6年前のサーバの18台分の性能を持つなど性能が上がっていますから、単純にリプレイスするとサーバリソースが無駄になってしまいます。ですからリプレイスに投資するよりも、サーバを仮想化によって集約し、ネットワークも統合し、とにかく我々が運用管理する部品数を減らす方向へ持っていくことがコスト削減・リソースの効率活用につながると考えました。そこで、お世話になっている日商エレクトロニクスに相談しながら、社内共通クラウド基盤の構築を決定しました。

――今回のクラウドのストレージには「HP 3PAR」を採用していますが、他にどのようなストレージ製品を検討されましたか。また、3PAR採用の決め手は何ですか。

どちらもHP製ですが、「LeftHand」と「EVA」がありました。価格面ではLeftHandにひかれましたが、ストレージの容量を増やす場合、導入時のモデルに合わせた筺体単にでの増設になるので拡張時の場所と容量の調整が煩雑だと考えました。また、iSCSIでのCPU負荷が若干気になりました。もう1つのEVAは、ディスク追加時にサービスを止める必要があることが懸念材料でした。その点、3PARは、オンラインで容量追加や部品交換、バージョンアップをすることができます。我々はファームウェアを常に最新の状態にしておきたいので、3PARの無停止メンテナンスは魅力でした。また、仮想化のように複数のディスクに分散して書き込む場合は、高速なディスクI/Oは必須ですから、3PARがこれをソフトウェアではなく独自チップで実現している点も評価しました。このチップにはシンプロビジョニングの機能も搭載されていて、ディスクを有効活用できるメリットもあります。

こうした理由から、我々の要件には3PARが最も合っていると判断しました。コストパフォーマンスも同等機能の製品の中では高いほうだと思いますし、導入後の保守サービスやノウハウの面でも、日商エレクトロニクスが10年も3PARの製品を取り扱っているということで安心できました。

もう1点、当社は仮想化システムとして、社内で実績のあるマイクロソフト社製「Hyper-V」の採用を決めていましたので、3PARがマイクロソフト社から仮想化パートナー製品として認証済みである点も考慮しました。個人的には、せっかくHPが買収した会社ですし、HPの統合監視ツールで管理できるようになってくれるとさらにありがたいのですが、どうでしょうね(笑)。

現在使用しているモデルは、ミッドレンジの「HP 3PAR F400」です。上位モデルは専用ラック型で、弊社が利用しているデータセンターには標準ラックという制約があるため、Fシリーズを選びました。

■手間とコスト削減に効果

――ネットワークの冗長化はどのように実現していますか。

ファイアウォールとロードバランサをそれぞれたすき掛け構成にし、リンクアグリゲーションを使って冗長化しています。リンクアグリゲーションは、Juniper社製「SRX240H」「EX4200」のバーチャルシャーシ技術によるもので、これらの製品を選んだのは、このリンクアグリゲーション機能があるからです。実は旧ネットワークでSTP(スパニングツリープロトコル)を使った冗長化を行っているシステムがあるのですが、マルチベンダー環境では相性の問題があるようで、スイッチの設定を少しでも間違えるとループ状態に陥り、代替経路に切り替わるまでネットワーク全体がダウンしてしまいます。この問題を解決するRSTP(ラピッドスパニングツリープロトコル)もありますが、設定が面倒です。運用性の高さからも、リンクアグリゲーションで冗長化させることにしました。

――7月から社内共通クラウド基盤の運用が始まりましたが、すでに効果はでていますか。

仮想化システムを冗長化したことで、サーバのファームウェアアップデートの際にサービスを停止する必要がなくなり、非常に助かっています。我々の夜間対応がなくなったことに加えて、システム部門もエンドユーザーと調整する必要がなくなり、サービス向上にもつながっています。

また、サーバ約30台が3台に減ったことで、我々の障害対応・ファームウェア更新等の作業時間コストも縮小されましたし、データセンター費用も大幅なコストダウンになっています。もしもクラウド化せずサーバをリプレイースしていた場合、サーバ購入費用と従来通りのデータセンター費用がかかりますが、今回のクラウド化によって約2,000万円のコスト削減を実現しました。

ネットワークにまだ障害が起きていないので冗長化構成の評価はできませんが、ネットワーク全体をIPv6対応にしたことで、将来への二重三重投資を回避できました。旧ネットワークにはIPv6未対応の製品があり、ライセンスだけでスイッチ1台が買えてしまうくらいかかるものもありましたから、この分のコスト削減も大きいです。

現在まだ旧ネットワークで運用しているサーバは、今後の保守切れや負荷状況等に応じて、順次クラウドへ移行していきます。全社的にも、可能なものはどんどん仮想サーバへ移行しましょう、事業部ごとに新たなネットワークを持たないようにしましょう、というコンセンサスを得ていますので、クラウド化による効果は、いっそう現れてくると考えています。

――クラウドの今後の予定について教えてください。

クラウド化が落ち着いたところで、3PARならそれほど手間もかからず構築できるというバックアップシステムに着手したいと考えています。これからも日商エレクトロニクスに相談にのっていただきながら、イードのクラウドをより強固なシステムにしていきたいと考えています。
《RBB TODAY》

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