イベント会場にはSDLに参加するLINEもトヨタと一緒に出展していた。LINEは先日スマートスピーカー「WAVE」にも搭載した独自のAIアシスタント「Clova(クローバ)」を車に乗せたプロトタイプを展示している。車中に高性能なマイクを乗せて、ハンドルに設けられたClovaの起動ボタンを押すとAIがスタンバイ状態に切り替わり、音声で「松田聖子の音楽をかけて」「名古屋の天気を教えて」などのコマンドを入力すると、WAVEスピーカーのようにキビキビと応答してくれた。ユーザーのLINEアカウントに届いたトークを音声で読み上げてくれる機能なども含めて、2018年中にはサービスとして提供を開始する予定だ。LINEのメッセージをClovaが読み上げてくれる AIアシスタントについては、トヨタも独自に「YUI(唯)」という日本語対応のエンジンを開発中だ。トヨタの担当者は「SDLのひとつの大きな特徴はオープンなプラットフォームであること。お客様のニーズに合わせて、AIアシスタントは複数の選択肢が利用できるようになるべきだと考えている。音楽再生やナビゲーションなどのアプリも、ひとつの目的に対して様々なものから選べるようになるだろう」として、SDLが開かれたプラットフォームであることをアピールしている。車載システムにLINEを組み込んだイメージ オンキヨーもSDLに参加する企業のひとつだが、同社はAIアシスタントの「声をカスタマイズする」というユニークなビジネスモデルを紹介していた。オンキヨーは今年秋にドイツで開催されたエレクトロニクスのイベントで、GoogleアシスタントやアマゾンAlexaを搭載する欧州市場向けのスマートスピーカーを発表した。これらの製品はグーグルやアマゾンが開発を主導するAIエンジンを基本的にそのまま組み込むかたちになるため、声の種類、あるいはキャラクター性における自由度が低い。またスマートスピーカーが国内では立ち上がったばかりなので、現時点であまりそれが課題として顕在化することはないだろうが、近い未来にAIを搭載するスマートデバイスが普及してきたときにはきっと「カスタマイゼーション」がユーザーから強い要望として上がってくるだろうと筆者も予想している。オンキヨーが出展した声をカスタマイズ可能なAIアシスタントのプロトタイプ オンキヨーでは東芝デジタルソリューションズが提供する、様々な声のデータベースサービスである「コエステーション」と協業して、今回のイベントに4種類の声を組み込んだ日本語対応のAIアシスタントを試作。スマートフォンに乗せた状態で利用するデモンストレーションを披露した。 声の種類は落ち着いた男性の声の「アナウンサー」と、口調を「執事」ふうにしたもの。さらに女性の「ツンデレ」系のタイプから、一気にアニメファンの期待に寄せてきた「萌え」の4タイプを用意。それぞれでニュースや天気、ナビを「AIアシスタントふう」に読んで、スマホだけでなく車載機能として乗せた場合のイメージを喚起させた。 ブースで説明に立った担当者は、オンキヨーグループとして日本語による音声入力、語彙認識や意味理解、応答など一連のふるまいをつくりこんだ独自のAIエンジンをつくることも視野に入れて開発を進めていると語っていた。「あなたのためだけのAIを乗せた車やスマホ」が近く利用できる日が来るかもしれない。*LINEのスマートスピーカー「WAVE」を使ってみた