【まちてん】“山の名人”の技術を生かす! 代行サービスで貴重な山菜を食卓に | RBB TODAY

【まちてん】“山の名人”の技術を生かす! 代行サービスで貴重な山菜を食卓に

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あきた森の宅配便 代表取締役 栗山奈津子氏
  • あきた森の宅配便 代表取締役 栗山奈津子氏
  • 山々に囲まれた小坂町は天然の山菜の宝庫。春になれば、数多くの種類の山の恵みが収穫できるという
  • 天然の山菜は、誰にでも取れるものではない。まず山のことに熟知していなければならないため、貴重な資源といえる
  • あなたに代わって、山の名人が天然の山菜を採ってきてくれる代行サービスをスタート
  • 顧客からの喜びの声が続々と寄せられている。旬の天然野菜ほど美味しいものはないだろう
  • あくまでも主役は山の名人だ。いま60代から80代まで、30名ほどの山の名人がいるという
  • 山の名人のスキルがたくさん詰まった「手打ち天然山菜そば」も販売し、新たな展開を試みる
  • 栗山氏の事業は、「Good Human」「GoodPlace」「Good System」という3つの要素から成り立っている
 28日・29日に東京・渋谷で開催された、地方創生まちづくりEXPO「まちてん」。初日のカンファレンス「Youth編」に登場した「あきた森の宅配便」の栗山奈津子氏は、秋田県のふるさとで首都圏などの顧客に対して、貴重な山菜を届けるビジネスモデルを確立した若き事業家だ。

 栗山氏は、あきた森の宅配便の代表に2014年に就任し、山菜採り代行サービスという形で、山村と全国をつなぐ地域ビジネスを展開しているところだ。また今年、環境省の「グッドライフアワード2015」でも、環境大臣賞最優秀を受賞し、注目を浴びている。

 同氏は、秋田県鹿角郡小坂町出身の27歳。小坂町は、山に囲まれ、十和田湖を有する自然豊かな人口5500人の小さな町だ。早くから夫を亡くした祖母は、農作業や出稼ぎの合間に山菜を採り、生計の足しにしていたという。栗山氏も、子どものころから祖母と一緒に農作業をしたり、山に連れていってもらうことが大好きだった。そして現在の事業を始める契機になったのも、祖母の存在が大きかった。

 子どものころから農業に親しんできた同氏は、その後、東京農大に入学し、青森市で食品会社に3年ほど勤務していたが、「やはり農業の仕事に関わりたい」という想いが募り、ふるさとの秋田にUターンしたそうだ。地元は天然の山菜の宝庫だった。春になれば、最初に「ふきのとう」が芽を出し、「たらのめ」「こしあぶら」「みず」「ねまがりだけ」など、数多くの種類の山の恵みが収穫できる。

「ただし天然の山菜は、山に入ってすぐに取れるものではありません。種類によって採れる場所や時期はさまざま。気候にも左右されますし、根こそぎ採ってしまうと翌年に採れなくなってしまう。もちろん採る際にも危険が伴います。それでも地元の人は山菜を取りに行きます」(栗山氏)

 同氏は、そんな地元の人々を「山の名人」と呼んでいるそうだ。彼らは60代から80代のお年寄りが中心で、地元の山を知り尽くしている。

「そこで、あなたに代わって、天然の山菜を採ってきてくれる代行サービスをスタートしました。あきた森の宅配便を通じて、山菜を食べたい方々に、ご希望の山菜を食卓にお届けします」(栗山氏)

 顧客からは「昔の思い出が蘇った」「とても立派な山菜で大感動です!」といった喜びの声が続々と寄せられているという。栗山氏は、こういった山菜代行サービスをしているうちに気付いた大切な点があるとした。

「山菜採りは危険も伴うし、本当に大変な作業なので、あくまでも主役は山の名人。いま30名ほどの山の名人がいらっしゃいますが、彼らを主役にすると、どんどん可能性が広がります」(栗山氏)

 たとえば同氏の祖母は、冬でも山菜料理を出してくれるという。それは、塩漬け、乾燥、ビン詰、缶詰など、春から冬に採ってきた山菜を保存食として利用してきた雪国の食文化があるからだ。さらに山の名人のなかには、30年前から「そば打ち」をする人もいる。

「そこで、天然の山菜とそばを組み合わせて、この秋から、“山の名人の手打ち天然山菜そば”を販売するようになりました。山の名人のスキルがたくさん詰まった商品ができました」(栗山氏)

 栗山氏は「自身の事業は3つの“Good”から構成されている」と説く。1つ目は山菜とりをする山の名人である「Good Human」、2つ目は美味しい山菜が採れる「GoodPlace」、そして3つ目が山菜を届けるあきた森の宅配便の「Good System」だ。

 最後に同氏は「この3つが関わりながら、それぞれを磨いていくことで、地域も盛り上がっていくと考えています。これからも人生の大先輩である山の名人に感謝しながら、自分たち若い世代が成長して輝いていくことが、地域を元気にすることにつながると思います」と述べ、世代間のバトンをつなげていく決意を表明した。
《井上猛雄》

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