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【まちてん】限界集落の棚田を再生!セグウェイ導入で集客も

エンタープライズ その他
NPO 法人英田上山棚田団 理事 松原徹郎氏
  • NPO 法人英田上山棚田団 理事 松原徹郎氏
  • 岡山県美作市上山の風景。美しい棚田が広がる、日本の原風景
  • 「楽しいことは正しいこと」をモットーに、中山間地に最先端のセグウェイを導入
  • かつての上山の風景(写真左)と、荒れた上山の風景(写真右)。同じ場所からの撮影。美しい棚田の姿がなくなっていることがわかる
  • 再生した棚田。ここで栽培されたメリーライス(MERRY RICE)は、冷めても美味しいと好評を博している
  • 百姓は百商だという自説。100の仕事の例。逆にいえば、なんでもできるオールマイティーな職業が百姓=百商だということ
  • 移住者は地域おこし協力隊として、さまざまな活動を通じて地域再生に取り組み、地域のなかに溶け込んでいる
  • 自立のための生活自給の知恵を獲得すること、多くの公益コンテンツを輸出し、交易していくことも必要
 28日・29日に東京・渋谷で開催された、地方創生まちづくりEXPO「まちてん」。初日のカンファレンス「エクスペリエンス編」では、「棚田deセグウェイ」をはじめ、次世代の地域モビリティをプロデュースしたNPO法人の英田上山(あいだうえやま)棚田団の松原徹郎氏が登壇した。

 同氏は、兵庫県宝塚市の出身で、15年間ほど西日本一帯の自然環境調査に従事してきた。そして、農耕・林業などを通じた人と自然の共生を実践するために、岡山県美作市(みまさかし)上山に移住したという。

 美作市上山は、いわゆる「限界集落」と呼ばれる地域だ。同地区は、かつて8,300枚もの棚田があった。しかし、人口減少や高齢化によって、美しい棚田もほとんど姿を消していた。そこでかつての原風景を取り戻そうと、地域の協力を得ながら、2009年より棚田再生への復興作業を本格的にスタートさせたという。

 英田上山棚田団の松原氏はその中心人物として、棚田再生、農業、林業、古民家再生などに取り組んでいる。上山では現在、松原氏のような移住者が15名ほどいるそうだ(同氏の家族5人を含む)。同氏の理念は「楽しいことは正しい。だから人が集まってくる」ということ。その楽しいことの1つとして、中山間地に最先端のモビリティであるセグウェイを2台ほど導入したという。

「これはセグウェイ ジャパンから無償で提供してもらったもの。農道や林道での移動に利用している」(松原氏)

 もう1つの理念は「収益性があり、かつ人と恵みをシェアし、循環できて、大きなインパクトを与えられる新しいビジネスモデルの構築」をすること。実際に、汗を流しながら一生懸命に作業に取り組む地元協力隊を中心に、この地域の復興作業が進み、ついに棚田の再生にも成功した。

「現在では昔の4分の1ぐらいは棚田が元に戻ってきた。これを見ていた地元の人も、涙を流して喜んでくれた」(松原氏)という。そして棚田で作られた米は、できるだけ農薬や化学肥料に頼らずに栽培され、冷めても美味しいメリーライス(MERRY RICE)として好評を博している。

 同氏は、この地に移住して、あらためて思ったことがあるという。「それは、百姓は百商だということ。実際に100もの多様な仕事があるからだ」と述べ、100の仕事の例を挙げた。そして移住者は地域おこし協力隊として、さまざまな活動を通じて、地域再生に取り組んでいる。

 なかには大学生を卒業し、一般企業に就職せずに直接この地に移住してきたツワモノもいるそうだ。彼は草刈りから、農作業、家回りの片づけなど、何でもお手伝いする「みんなの孫プロジェクト」を始め、半日あるいは1日単位で仕事を得ている。また動物の皮をなめし、革製品を製造して生計をたてる移住者もいる。

 松原氏は、山間に茂る薬草を採って、それをお茶にして販売しているという。「実は、棚田は薬草の宝庫でもある。そのために棚田を再生するということは、自分自身にとってモチベーションが高い」という。同氏は「これからの地域は、自立のための生活自給の知恵を獲得することが重要だ。そのためには、多くの公益コンテンツを輸出し、交易していくことも必要。他人事と考えずに、あくまで自分事として捉え、自分で考えていくことが大切だ」と説いた。
《井上猛雄》
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