【インタビュー】スタバはなぜ無料Wi-Fiを導入したか?……CEOに聞くスターバックスの成長戦略(前編) | RBB TODAY

【インタビュー】スタバはなぜ無料Wi-Fiを導入したか?……CEOに聞くスターバックスの成長戦略(前編)

エンタープライズ 企業

スターバックス コーヒー ジャパン 代表取締役最高経営責任者(CEO) 関根純氏
  • スターバックス コーヒー ジャパン 代表取締役最高経営責任者(CEO) 関根純氏
  • 2011年度オープンのドライブスルー店舗「元八王子店」
  • スターバックス コーヒー ジャパン
  • 12年4月に発売した「チョコレート クッキー クランブル フラペチーノ  with ホワイト チョコレート プディング」。日本独自開発商品で、人気を博した
  先日発表された第2四半期累計期間(平成24年4月1日~9月30日)の業績において、売上高・各種利益の全てにおいて過去最高を記録したスターバックス コーヒー ジャパン。季節限定ドリンクの人気や、積極的な新規出店が功を奏したというが、他にも、病院内など一部を除く全国のほぼすべての店舗に無料Wi-Fiサービスを導入するなど、既存のカフェチェーンとは一線を画した店舗環境作りを進めている。

 元々固定のファンも多い中、新規顧客の獲得にも貪欲に取り組み、順調に業績を伸ばし続ける同社の成長戦略、経営方針について、代表取締役最高経営責任者(CEO)の関根純氏に話を聞いた。

■スターバックス コーヒー ジャパンはまだ15歳の少年

――まずスターバックス コーヒー ジャパンでは今期のスローガンに「原点回帰」という言葉を掲げられています。この意味するところを教えてください。

 (日本に)店舗を出してから今年で16年目なのですが、おかげ様でこれまで順調にビジネスを展開してきました。ただ、こうして急成長してきますと、どうしても体質的なところでまだまだ弱い部分が残ります。

 私が昨年就任した際に、「スターバックス コーヒー ジャパンはまだ15歳の少年です」というメッセージを出しました。人間にすると高校生くらい、身長も伸びてすくすく育ってはいますが、まだ骨は出来上がっていないし、筋肉もついていない。何より自我が確立してない。そんな中で、健全な大人に成長するためには、今どういうステージにいるのかということをみんなが認識する必要があります。成長の真っただ中にいると、自分たちの姿が見えなくなってしまうという危機感があるんです。そこで、客観的に自分たちのことを見直し、我々の強み、弱みがどこにあるのかを十分に分析して、競合関係や世の中の動きも見た上で、今後の生き様をもっとはっきり決めていこうと。それが今年掲げた「原点回帰」です。

■セグメントを強化した「新店開発」と「既存店の活性化」

――具体的にはどのようなことをされるのでしょうか。

 「新店開発」「既存店の活性化」「ブランドの差別化」という3つの柱を中心に考えています。

 「新店開発」をどんどんやっていくというのは今年に限らず成長戦略のためには当たり前のことなのですが、同じような店を金太郎飴のようにあちこち作るのではなく、セグメントを強化するという考え方が重要になってきます。例えば、今特に力を入れているのが郊外のドライブスルー店舗です。2003年に1号店を作ってからもう105店舗になります。今年作る店舗の大半がドライブスルーと言ってもいいのではないでしょうか。2003年にローンチしたドライブスルーの1号店は、まだノウハウがなかったためアメリカのものをそのまま持ってきた感じでしたが、日本の実情はアメリカのそれと全然違う。今はどんどん日本流にアレンジしながら、柔軟にトライしているところです。

――「既存店の活性化」ですが、今スターバックスは全国に900以上の店舗を展開されています。

 今は、来年の春にちょうど1000店舗達成という節目でもありますが、そこは単なる通過点に過ぎません。今後も新しい店舗は増やしていきます。ただ、既存店が劣化したり売り上げのベースを下げてしまったら、いくら新店を作っても意味がありません。1000店近くあるのだから、これが前年比1%でも2%でも数字が落ちるということになると、年間50店の新店を作っていくら上乗せしたところで追いつかない。新店を作る以上に、既存店の活性化が重要になります。

 既存店を活性化するにあたっても、セグメントの強化を重視しています。ドライブスルーのほかにも特殊セグメントとして、病院内の店舗やサービスエリア内の店舗がそれぞれ約40店舗ほどあるほか、ショッピングモール内の店舗もあります。そうした特殊立地の情報を共有して生かすための“セグメントサミット”というものを店長クラスを集めて行ったりしています。

 関連して重要になってくるのが、積極的なリモデルです。店舗は数年おきに大きなリモデルを実施することが多いのですが、そこにきちんと投資をしてリフレッシュしていこうとしています。また、既存店の中には、近隣住民やビルのテナントといった周囲の環境が変わり、ターゲットが合わなくなるなどして不採算となる店舗がどうしても出てきます。そうした変化に合わせてリモデルを行うほか、不採算の店はもちろん閉めることもあります。その代わり新しい店を増やす。こうした、細胞のリフレッシュというか活性化は常にやっていく必要があるのです。

――「ブランドの差別化」についてはいかがでしょうか。

 ファストフードチェーンがコーヒーに力を入れたり、コンビニの店頭でドリップのコーヒーが買えたりと、我々が意識するしないにかかわらずコーヒーを取り巻く環境や競合というものは変わってきています。その中で独自性をきちんと保つためには、より中身にフォーカスしたマーチャンダイジングが重要だと考えています。期間限定商品もそうですが、より革新的な商品を継続して投入していくことが必要です。

――会員サービス「My STARBUCKS」とスターバックスカードの連携も始められています。

 商品だけでなく、お客様のロイヤリティプログラムも考え始めました。顧客管理とひもづけて、お客様にメリットを還元する。カード登録をしていただいたお客様とのつながりを積極的に持っていこうとしています。

■周辺環境や時代に応じた店舗のリモデルで、売り上げを伸ばす

――スターバックスでは、ターゲットをどのような層に設定されているのでしょうか。

 基本的にはカフェに来ていただけるお客様全てです。ですから、私どもからお客様を限定して決めつけることはありません。ただ、店舗ごとに主力ターゲットが違う、というのはあります。一般的に言うと都市型店舗は20~30代の人が多く、地方はシニアの方が多かったり、赤ちゃんを連れたお母さんが集っていたりと、いろんな絵がある。いずれにしても、こちらの方から限定するなんてことはまったく考えてないですね。

――出店する場所によって変わってくるということですね。

 そうです。店の雰囲気や席の配置などを、それぞれのターゲットの想定に基づいてアレンジしています。逆に、当初の店舗計画段階で読み切れなかった部分などは、リモデルの際に考慮すべき大きなファクターとなりますよね。

 今、時代が急速に変わってきていて、席の配置など、必ずしも現状にマッチしていないことも多々あります。店舗でPCを広げるお客様なんて、5年前にはほとんどいませんでしたし、10年前ではまったくと言っていいほどいなかった。そもそもそうした想定をしていないので、コンセントも無かったりするわけです。席も4人席が中心だったり、1人席がなかったり。繁盛してる店ほど席がないというお叱りが多いんですが、お客様の用途に応じて席の配置等もきちんと対応していきたいと考えています。実際、リモデルで席の配置を変えることで売り上げが二桁伸びることもあるんですよ。

――接客の水準が高いということもよく言われますが、経営者の立場から見るといかがでしょうか。

 現場の人たちが、スターバックスというブランドを愛している人の集合で、ベクトルが同じ方向を向いているので非常にリードしやすいと感じています。お客の時からスターバックスが大好きで、働きたいと思って来る人が多いようですね。現在、アルバイトも含め22,000人程度の従業員を抱えていますが、アルバイトから契約社員、更に社員へという道も確立されていて、早い人であれば5、6年でアルバイトから正社員になります。こうして道をきちんと示していることで、上を目指して高い意識で働いてくれる人が多く、急な出店が決まっても、店長候補がきちんと控えていてくれるのが頼もしいところです。現場を理解している即戦力の人材が豊富なことは、成長を続ける上でとても重要な要素になっています。その分、経営者としては、新店を出し続け、成長を続けなければいけないとプレッシャーも感じています。

※後編はこちら
《RBB TODAY》

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