時給1500円時代に向け、飲食店のICT活用も重要に | RBB TODAY

時給1500円時代に向け、飲食店のICT活用も重要に

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会場ではICTの導入による人手不足の解消、生産性向上などについての講演が行われた
  • 会場ではICTの導入による人手不足の解消、生産性向上などについての講演が行われた
  • アール・アイ・シー代表取締役社長で、経済ジャーナリストでもある毛利英昭氏
  • 「セルフオーダーシステム」の導入メリットとして、年間営業利益の15%に及ぶことも考えられる売上ロスを改善できるという
  • スライド「単独化と働く主婦の増加」では、少子高齢化が進むことと、それにともなう人手不足の深刻化について語られた
【記事のポイント】
▼2020年には外食産業におけるパート・アルバイトの時給が1500円に達する!?
▼人手不足と生産性向上への対策として、見逃せないのがセルフオーダーシステム
▼ICT導入コストを設備費と思わず、人件費も含めた長期的な視点で考える


■ICT活用で店の生産性向上が不可欠に

 「国際ホテル・レストラン・ショー」に「フード・ケータリングショー」、そして「厨房設備機器展」。この3つの商談専門展示会を一堂に会して行う「HCJ2017」が、2月21日に東京ビッグサイトで開催された。会場ではICTの導入に関するような展示が多く、セミナーでも同じテーマを扱うものがいくつか見られている。

 その一つとして講演を行ったのが、『飲食店経営』などの業界誌を発行するアール・アイ・シー代表取締役社長で、経済ジャーナリストでもある毛利英昭氏だ。会場では「店舗の“生産性向上”と“おもてなし”へのICT活用」と題して、雇用情勢の変化、人件費の高騰化への対応、生産性向上に向けて、ICTをいかに活用していくかについて言及している。

「飲食店の抱える課題で最大のものは人材不足と人件費の高騰化です。これは人口減少傾向とも関連しており、人材が不足すれば高い時給が必要となり、2020年には外食産業のパート・アルバイトの時給が1500円という時代がやってくるかもしれません」

 毛利氏は飲食店の現場で、人材不足に火急な対応が迫られていることを強調する。人件費の高騰により、飲食店経営では従業員1人あたりの生産性の向上が不可欠になり、「そのためにICTを活用すべき」だと述べた。


■人材不足軽減から売り上げアップまで見込めるセルフオーダーシステム

 外食産業のICT化といっても使えるソリューションはさまざまあるが、中でも毛利氏が注目するのは「セルフオーダーシステム」だ。最近は居酒屋や回転寿司チェーンなどの客席に端末があり、客が端末から注文を行うことで、注文・会計管理を一挙に行うことができる。

 セルフオーダーシステムを導入することで、店内では回遊する店員の数を減らすことができる。他にも、レジ専任者の廃止による人材不足の解決、会計管理や不人気商品による仕入れロスの減少などの効果があり、オーダーが簡単になることから客単価の向上まで図れると毛利氏は力説する。

「もともと手打ちによるレジでは、200品目のうち1品目程度の入力漏れが指摘されていました。この売り上げロスは、年間に直すと売り上げ1億5000万円の店舗で75万円と結構な金額になります」

 このロスを解消するためにも、ICTによるセルフオーダーシステムの導入は効果的だという。ただしセルフオーダーシステムの導入コストは、1店舗当たり平均約700万円と決して安いものではない。

 ただ、これについては「設備費として考えるとちょっと躊躇してしまう額なので、人件費として導入するべきなのです」と毛利氏は話す。セルフオーダーシステムによる人件費の軽減は決して小さくない。さらには人材不足も解消できるだろう。

 今後さらに増えることが予測されるインバウンドに向けても、セルフオーダーシステムは追い風になりそうだ。メニューのグラフィック化は紙ベースでも増えているが、セルフオーダーシステムでは多言語対応も進んでおり、写真と母国語の説明を見て外国人も安心して注文できるようになる。現在は居酒屋チェーン、ファミリーレストラン、回転寿司チェーンなど、とにかく人材不足が目立つ店舗での導入が進んでいるとのこと。とくに全国チェーンよりも、地場の中小居酒屋チェーンなどでの利用が目立つ。

■2020年、時給1500円時代を見込んだ展望を!

 ICT化では、このほか「楽天ペイ」、「Airペイ」などのモバイル決済サービス、ビーコンと位置情報をリンクさせたプッシュ配信によるO2O戦略なども考えられる。

 ただ、飲食業界における火急の課題である人材不足や人件費の高騰への対応として、セルフオーダーシステムの導入は優先順位が高いと言えよう。2020年、時給1500円時代の到来を見込んで、外食産業ではこうしたICT活用が一気に進むのではないだろうか。

~HCJ2017:1~生産性とおもてなしを両立するICTとは?

《関口賢/HANJO HANJO編集部》

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