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【テクニカルレポート】ストレージのクローン機能を使ってみませんか ……Tech OnTap

ブロードバンド テクノロジー
NetApp FAS FlexCloneを使った高速クローニング
  • NetApp FAS FlexCloneを使った高速クローニング
  • FlexCloneを使ったシングルファイルリストア
  • ファイル単位のクローンも可能
  • VMクローン時間比較
 今回の「1から学ぶVMware on NetApp」は、ストレージが実装する仮想クローンの技術「FlexClone」を紹介いたします。

 実際、私自身、プリセールスSEとして商談対応の中でお客様にvSphere環境用のストレージとしてネットアップFASの紹介に上がる機会が少なくないのですが(度々訊かれてしまいますが、お客様担当のSEが本業です)、このFlexCloneライセンスは有償であるにも関わらず、ネットアップFASと合わせて仮想化環境に導入頂くケースが非常に多い製品となっています。

■ストレージのクローン機能を使って開発、テスト環境の作成時間を大幅に削減
 前回のコラムにて、一般的なストレージとは一味違うネットアップFASならではのSnapshot機能について紹介しました。このSnapshotはFAS上では読取り専用の属性で存在し、アクセスすることが可能です。そのためNFS接続であれば、vCenter上からDatastore Browserなどを使って、Snapshot領域のVMDKファイルなどにアクセスすることもできますが、残念ながら、読み取り専用の属性ということもあり、インベントリに登録して仮想マシンとして起動することはできません。

 そこで、FlexCloneライセンスの出番となります。このFlexCloneライセンスを使うとSnapshotの読取り専用(ReadOnly)の属性を読み書き可能(Read/Write)な属性に変更することができるため、コマンド一つで瞬時にクローンのDatastoreを作成することができるのです。

 また、FlexVolume上のSnapshotの属性を変えているだけですので、クローンのDatastoreを作成した直後であれば、容量のオーバーヘッドは全くありません。図においては比較的容量の大きなアプリケーションデータを持つ仮想マシンのクローン例を紹介しておりますが、数百GBの仮想マシンであっても数分で仮想マシンのクローンを作成することができます。

 やはり、多数のお客様が開発環境やテスト環境をvSphere環境上に配置しており、従来の運用では時間やストレージ容量などの問題を抱えていたことから、このクローンの機能をお客様に紹介すると、お客様環境における運用の改善の手段として使えるのではないか興味を持っていただいたり、実際にご利用されて非常に喜んでいただいております。

■リストアにも使えるネットアップ FASのクローン機能
 お客様とお話していて、vSphere環境における仮想マシン上の特定のファイルのリストアができることを必要条件としている運用も多いようですが、このような要件についてもFlexClone機能は力を発揮します。

 一般的な運用であれば、仮想マシン上にバックアップエージェントを適用し、バックアップサーバー経由で仮想マシン上の全てのファイルをバックアップする動作になるため、バックアップに伴う時間や、ESXへの負荷が問題になってしまいます。

 しかしながら、ネットアップFASの機能を使えば、バックアップは仮想マシン全体を高速にバックアップできますし、ファイル単位のリストアについてはクローンのVMDKを瞬時に作成し、リストア対象の仮想マシンに一時的に認識させて仮想マシンのユーザー自身が必要なファイルを簡単にリストアすることが可能です。

 図においては、VMDKのクローンを使って仮想マシンのユーザー自身が個別のファイルをリストアする手順を紹介しています。Windowsの用にホットプラグが可能なOSにおいてはクローンのVMDKをオリジナルの仮想マシンに対して2番目のHDDとして認識させることで簡単にリストアの準備が可能です。また、Linuxなど起動中にHDDの追加、削除の動作が難しい仮想マシンであれば、事前にリストア専用の仮想マシンを用意しておき、その仮想マシンのネットワークを経由して個別のファイルを戻すこともできるのです。

■手品のようなクローン機能
 一般的なストレージが持つクローン機能はLUNなどのデバイス単位のクローンが多いですが、今回紹介したFlexCloneはFlexVolmue(Datastoreに該当)だけでなくファイル(VMDK)単位でもクローンの作成が可能です

 この機能を使うことで、例えば10GBのマスターに該当する仮想マシンを10台展開しても、100台展開しても、200台展開したとしても必要な容量はたったの10GBで済むことをデモなどで紹介すると信じられない顔をされるお客様も少なくありません。

 一般的にVDI環境用の仮想マシンを大量に展開を予定しているお客様において、どのように展開するかが課題となりますが、普通にvCenterの機能を使って、例えば10GBの仮想マシンを250台クローンすると・・・2500GB必要になります。容量はさておき、クローンに伴う時間が非現実的になってしまうため、vCenterのクローン機能を使って大量の仮想マシンを展開する方法は選ばず、Linked Cloneのような機能を使って展開されることが多いようです。

 しかし、ネットアップFASを使っているお客様には、FlexCloneを使うことで、より高速に、容量のオーバーヘッド無く大量の仮想マシンを展開することができますし、FlexCloneを使ったクローンの場合にはそれぞれの仮想マシンが独立した状態(親と子の依存関係が無い仮想マシンの状態)で存在しており、性能劣化が無く、管理性も良いことから弊社製品をお使いの場合は、Linked Cloneの選択肢があったとしてもFlexCloneを使う場合がほとんどのようです。

 ここで少々細かいですが、仕組みについて解説させて頂きますと、ネットアップ製品のファイルシステム(WAFL)上のブロックはFlexCloneのライセンスが適用されていると、1ブロックを最大255個の参照ブロックとして扱うことができるため、一般的なハイパーバイザー上でクローンを作成するよりも、より容量を少なく大量な仮想マシンを展開することができるのです。また、ネットアップFAS自体が創業時からの長い歴史を持つ「Snapshot」を使った性能劣化のない差分管理機能がベースにあるため、参照ブロックへのアクセスに関しても高速に処理することができ、ハイパーバイザー上のクローンと比べたときにも仮想マシンの性能が高いことが特徴になります。

 そしてこのクローン作成も非常に高速な内部動作となりVMDKのサイズにも依存することもなく大体1~2秒で1つの複製を作成することが可能です。今回もコラム上にて紹介の場が無く恐縮ですが、Virtual Storage Console(vCenter plug-in)を使うことにより、作成したクローンVMDKを自動的にvCenter上に登録しますので、vCenterの管理者がとても簡単に大量の仮想マシンを用意できようになっています 。

■仮想マシンのクローン時間を比較してみました
 ここまでFlexCloneの良い点ばかり紹介してしまいましたが、実際に通常のクローン方法に比べてどれぐらい短時間で実行できるか確認するため、クローン作成に必要とした時間を比較してみました。

 使用量10GBのVMDKを持つ仮想マシンからvCenterのクローン機能、ネットアップ FASの FlexClone(同一Datastore、異なるDatastore)を使って、仮想マシンのクローンを作成しました。

 結果は図に紹介しているとおり、ネットアップのFlexCloneを利用した場合には20秒と極めて短時間で終了しています。この時間はFAS上でVMDKを2秒ほどでクローンを作成し、残りの時間はvCenterに登録する時間を合計した時間となります。今回は10GBのVMDKでしたが、数百GBのVMDKであっても20秒ほどで終了します。

 また、別Datastore上へのクローンですが、内部動作としてFASのNDMPCOPY機能を使うため、ストレージ上でのコピーとなり、サイズに応じて時間はかかりますが、それでもvCenterのクローン機能を使った場合より短時間で実行できるとお考えください。(仕様的にはVAAIとは異なりますが、似たような動作となります)

 今回、FlexCloneを使って、vSphere環境における仮想マシンの展開やリストア運用を改善できること紹介しました。容量を消費しない、瞬時に実行、性能劣化が無いなど良いことづくしの紹介で、普通の話であればなにか裏がありそうですが、このネットアップFASのFlexCloneについては有償のオプションライセンスでの提供になってしまうこと以外には思い当たることがないぐらい、非常に良い機能ですので、皆様にもご機会があれば、デモや検証など触れていただきたいと思っております。さて来月のコラム(第六回)では、弊社製品が実装する重複排除機能について取り上げる予定です。そして第七回ではvCenterのプラグインとして動作する「Virutal Storage Console」について取り上げる予定です。

【著者紹介】大西宏和(Hirokazu Onishi) 技術本部 エンタープライズSE第二部 シニアシステムズエンジニア

 立教大学社会学部観光学科卒、外資系ストレージメーカを経て、2002年NetCache(セキュリティアプライアンス製品)担当SEとして入社。入社以来、パートナー及び仮想化ソリューションを担当、本年度よりハイタッチ向けプリセールスSE。趣味は旅行とサッカー観戦。

※本記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である
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