【テクニカルレポート】クラウドの基盤を作る4つの要素(後編)……Tech OnTap | RBB TODAY

【テクニカルレポート】クラウドの基盤を作る4つの要素(後編)……Tech OnTap

エンタープライズ ソフトウェア・サービス

OnCommand Insightを使用して負荷パフォーマンスを分析し、ディスク競合、パフォーマンスパターン、輻輳、トポロジ上の問題などを特定
  • OnCommand Insightを使用して負荷パフォーマンスを分析し、ディスク競合、パフォーマンスパターン、輻輳、トポロジ上の問題などを特定
  • OnCommand Insightにより、変更を実施するにあたっての詳細なタスクリストを自動で作成可能。またInsightは、変更の実施前、実施中、実施後に検証を実行(図は省略)
  • ネットアップのクラウド・マネジメント・パートナー
※本記事は前編から続く。

■サービス分析

 定義済みのサービスに基づいてIT環境を運用するには、各サービスで起きていることを正確に把握することが重要です。また、環境全体をエンドツーエンドで計測、分析する機能は、Service Level Agreement(SLA; サービスレベル契約)を達成、改善し、効率化やコスト削減を継続していくために必要です。分析によってIT部門が次のことを実現できるようになると、単なる監視以上のメリットがもたらされます。

・サービスパス(すべてのVM、サーバ、ネットワークデバイス、ストレージ[ディスクレベルまで])を特定し、特定したパスの冗長性を確認する
・サービスパスのアクセス性、パフォーマンス、可用性についてポリシーを設定する
・データをインテリジェントに分析し、ポリシーに従ってリソースを最適に利用する
・より正確なキャパシティ・プランニングを行う
・ユーザ(ビジネスユニット、部門、ワークグループなど)に実際の使用状況を伝える

 仮想サーバやストレージサービスは、プライベートクラウドの主要なコンポーネントです。ストレージサービスは、アプリケーションデータにとって非常に重要ですが、それ以外に、仮想環境のブートデバイスやストレージとしても大きな役割を果たしています。そのため、通常のアプリケーションデータの使用事例よりもはるかに複雑な環境が生じています。監視と分析の役割は、こうしたさまざまな使用事例を関連付ける機能を提供することであり、NetApp OnCommand製品にはこの機能が備わっています。

 NetApp OnCommand Insight(旧称NetApp SANscreenおよびAkorri BalancePoint)は、サービス分析に対するネットアップのアプローチの土台となる製品です。仮想ストレージインフラの全体像を、統合された一連のサービスとして表示します。この情報は分析、検出、関連付け、サービスパス、シミュレーション、根本原因分析を通じて作成されます。NetApp OnCommand Insightには、次のような機能が備わっています。

・主要パフォーマンス指標:単に多くのデータを提供するだけの製品もありますが、エンドユーザやクラウドIT管理者が本当に必要としているのは、適切な決定に役立つ指針です。OnCommandは、プライベートクラウド環境の導入に関して、経営判断を下すための指針となる情報を提供します
・マルチベンダー環境を最適にサポート:完全なグリーンフィールド(過去の制約がない)導入は、実際にはほとんどありえません。新規のデータセンターでも、既存の投資を活用するのが一般的です。効率を高めるには、インフラスタックを構成するマルチベンダー・テクノロジの組み合わせ全体にわたり、すべてのソリューションがエンドツーエンドで監視できなければなりません。また、ソリューションが、管理エコシステムに含まれるさまざまなツールやデータベースとインタラクティブに機能する必要もあります
・仮想インフラと物理インフラの両方を分析:プライベートクラウドは、仮想インフラ上に導入されます。しかし、一部のアプリケーションでは、依然として物理インフラがホストしなければなりません。そのためIT部門では、インフラ全体(物理と仮想の両方)にわたってサービスレベルを実現する必要があります

 NetApp OnCommand Insightを使用することで、プライベートクラウドに共通する多数の使用事例や、そのサブタスクに対処できます。

仮想マシン(VM)やストレージのワークロードのバランスを調整し、最適化:OnCommand Insightを使用すると、次のタスクを容易に実行でき、目標とするパラメータの範囲内でクラウドの運用を継続することができます。

・サービスの健常性を分析する
・問題になる前にパフォーマンス上の問題を予測し、解決する
・ボトルネックを特定し、迅速に解決する
・ストレージ階層を最適化する
・新規導入に最適なリソースを選択する


ストレージサービスの可用性を高め、影響を分析し、構成のコンプライアンスを実現:社内のガバナンス規定や社外の規制へのコンプライアンスは、多くの企業にとって非常に重要です。OnCommand Insightを使用すると、次の重要なタスクを容易に達成でき、コンプライアンスを高めることができます。

・サービスパスへのアクセス、可用性、パフォーマンスに関するポリシーを定義し、その順守状況を確認する
・最大 / 最小しきい値を設定して、クラウドサービスを求められているレベルで運用する
・シンプロビジョニングに関するインテリジェントなしきい値と警告を設定する
・リアルタイムのサービスパスデータを定義済みのポリシーと比較し、違反に対して警告を送信する
・変更の実施前、実施中、実施後に検証を行って、リスクを最小限に抑える
・変更に関する詳細なタスクリストを作成する
・すべての変更を監査し、ログに記録する

傾向分析を基に、容量を正確に予測:本当に必要になる前に設備投資を行うと、資本コストと運用コストの両方に影響することがあります。OnCommand Insightを使用すると、必要な設備を必要なときに購入できるようになり、また次のことも実現されます。

・コストについてのレポートを作成し、コスト意識を高める
・ショーバックを実現する


■自動化

 クラウドインフラの主要な要素の1つである自動化によって、エンドユーザは、ハードウェアリソースにほぼ即座にアクセスできるようになります。また、IT部門は、要求に応じてサービスを動的に拡張できるようになるほか、日常的なタスクの実行時に人的エラーが起こる可能性を排除できます。

 インフラの最適化からサービスの最適化へと移行するにあたって自動化を活用すると、明確に定義したポリシーに基づいて、コンピューティング・リソースやストレージリソースをさまざまなアプリケーションやユーザにオンデマンドで提供できるようになります。ポリシーベースの管理は、管理のオーバーヘッドを軽減するだけでなく、予測可能なサービスを確立し、リソースの無駄も削減します。サービスベースのモデルにより、別の方法でITの効率を改善することもできます。たとえば、ユーザが消費するリソースをサービスに関連付けることができれば、それらのサービスにコストを割り当て、各部署やビジネスユニットがむやみにサービスを使用することがないようにすることも簡単です。ストレージに関しては、自動化することでストレージや仮想マシンのプロビジョニングを高速化し、データ保護を強化し、管理を簡易化するための下地を整えます。

 ネットアップの統合されたストレージ自動化機能を使用すると、大規模なプロビジョニング、クローニング、バックアッププロセスも数分で実行できるようになります。NetApp OnCommandは、ネットアップストレージの主要な機能を制御し、その機能をサービスに関連付けます。複雑なスクリプトやスプレッドシートを使用せずにサービスを提供できるようになり、ネットアップのテクノロジに関する専門知識も不要なため、サービスベース・アーキテクチャの実現が促されます。サービスの自動化に最適な必須機能がOnCommandのプロビジョニング機能と保護機能(旧称NetApp Provisioning ManagerとNetApp Protection Manager)です。この2つの機能があるからこそ、前に説明したネットアップのストレージ・サービス・カタログの自動化が可能になっています。NetApp OnCommandの重要な使用事例を次に挙げます。

・データ保護機能を備えた共有ストレージの自動プロビジョニング:構成済みのStorage Efficiency機能(シンプロビジョニング、重複排除など)の推奨設定を使用して、適切なリソースプールからストレージを自動的にプロビジョニングできます。また、データ保護ポリシーを使用して、定義済みのスケジュールと保持期間を基に、新しくプロビジョニングされたストレージをバックアップしたり、レプリケートしたりすることができます
・仮想インフラの高速プロビジョニング:ネットアップは、VMware®環境に対応した、VMデータストアのプロビジョニング・サービス、VMの高速クローニングサービス、再導入サービスを提供しています。この高速クローニング機能については、NetApp Virtual Storage Console(VSC)に関する以前の記事で詳しく説明しています。VSCは、VMware vCenterからネットアップの管理機能を利用できるようにするプラグインです
・仮想インフラのバックアップとリカバリ:仮想サーバとはそもそもストレージ上に置かれた一連のファイルであるため、仮想インフラではVI管理者の役割が拡大し、バックアップやリストアなどのストレージ操作に多くの時間を費やす結果となっています。NetApp OnCommandは、ネットアップのバックアップ機能やリカバリ機能をVMwareやMicrosoft Hyper-Vに統合します。統合されたワークフローによって、仮想マシンがデータセットに自動的にグループ化され、標準のバックアッププロセスとレプリケーション・プロセスが適用されて、VM、データストア全体(VMware ESX環境の場合)、物理ディスク全体(Hyper-V環境の場合)の一貫性のあるポイントインタイム・コピーが作成されます。また、ポイントインタイム・コピーが作成されることにより、さまざまな単位での高速リストアも可能になります
・マルチテナンシー:ネットアップのマルチテナンシー・テクノロジは、共有仮想ストレージの長所である柔軟性、効率性と、物理アレイの長所であるセキュリティ、リソースの占有性を両立させるテクノロジです。NetApp MultiStoreソフトウェアを使用すると、1つのネットアップ・ストレージ・アレイを複数の仮想ストレージシステム(vFilerユニット)にパーティショニングして、別々のストレージシステムであるかのように扱うことができます。それぞれのvFilerユニットは、物理ストレージシステムの場合と同様に、ポリシーベースのサービスをテナントに提供します。vFilerユニットはそれぞれがセキュアに分離されるため、1つのテナントが別のテナントのストレージリソースやデータにアクセスすることはできません。OnCommandには、NetApp MultiStoreでシステムをパーティショニングし、仮想ネットアップアレイ(vFilerユニット)を作成、プロビジョニングするためのテンプレートが用意されており、vFilerユニットごとにサービスレベルを選択できます。これらの機能は、サービスカタログに組み込むことができます


■セルフサービス

 セルフサービスは、プライベートクラウドの導入に向けた最後の障壁です。自動化されたセルフサービス環境(IT部門による手動の介在を最小限に抑えながら、「条件を満たす」ユーザがITリソースを要求し、利用できる環境)では、時間が大幅に節減され、仮想化のみを実装する場合と比べてコスト効率が向上します。ポリシーの自動適用機能を使用することで、手動のプロビジョニング・プロセスが排除され、リソースをユーザに迅速に提供できるようになります。そしてIT担当者は、より高度な目標の達成に専念できるようになります。

 セルフサービスは、仮想化と自動化によってもたらされた効率をさらに高め、生産性の向上と運用コストの削減を実現します。リソースを要求して調達するプロセスが簡易化されるため、ITサービスの利用者にとっては、自分で行える業務の範囲が広がります。セルフサービスの主な要件には、次のようなものがあります。

・オンデマンドのサービス提供
・SLA管理
・ショーバック / チャージバック機能
・ポリシーベースの自動化(前のセクションで説明)

 プライベートクラウドに移行中のIT部門は、その多くが、無秩序に拡大する仮想データセンター環境の管理を改善するために、クラウド管理ソリューションを導入しています。これは、オーケストレーションまたはITサービスマネジメント(ITSM)フレームワークとして知られるもので、クラウドインフラ環境全体を、物理 / 仮想リソースをすべて含めて一元的にエンドツーエンドで導入、監視、管理できるソリューションです。オーケストレーション・ソリューションは、IT環境をリアルタイムに監視できる設計で、ビジネス目標の達成を支援します。クラウド管理ソリューションには、すべてのクラウドリソースを一元的に管理できる機能が備わっており、この機能によってストレージサービスも統合できます。

 ネットアップは、プライベート・クラウド・インフラ内での自動化とセルフサービスについて、オープンな戦略を採用しています。ストレージはネットアップが基軸として専門的に取り組んでいる領域で、ストレージリソースとサービスの効率を最適化するサポートを重点的に提供しています。そして、ネットアップは、エンドツーエンドのクラウドソリューションを実現するために、広範なITサービス管理機能とセルフサービス機能を提供する業界最高の仮想化パートナーおよびクラウド・マネジメント・パートナーのソリューションに、ネットアップのソリューションを統合しています。ネットアップのオープン・マネジメント・インターフェイスは、迅速な統合を実現し、ストレージを高度に抽象化します。そのため、ソフトウェアパートナーや社内開発チームは、ネットアップのポリシーベースの自動化機能を簡単に活用できます。

 NetApp Manageability SDKや、ネットアップのオープンAPIを使用すると、サードパーティの管理ソリューションや、社内で独自にカスタマイズしたツールでも、ネットアップの管理ツールを使っているかのようにネットアップの機能を利用できます。たとえば、NetApp OnCommandのストレージ・サービス・カタログを利用したり、ストレージサービスの作成に必要なすべてのプロビジョニング・ポリシー、保護ポリシー、リソースプールを利用したりすることができます。

 ネットアップのAPIを使用すると、容量利用率の統計やプロトコル利用率、I / Oパフォーマンスなどのメトリクスを格納したOnCommandのデータリポジトリにもアクセスできます。この情報を、セルフサービスポータルのユーザにショーバック用として提供したり、財務アプリケーションに統合してユーザやビジネスユニットに実際にチャージバックし、効果的なコスト管理を実現することもできます。


■まとめ

 プール化したリソースと高度な自動化機能を使用して、テクノロジ指向のインフラからサービス指向のインフラへIT環境を変革することは、継続的に効率を高め、コストを削減するための唯一の方法です。

・ストレージ・サービス・カタログにサービスとポリシーを定義することは、サービスとしてのITを提供するための重要な最初の一歩です
・ストレージサービスを定義した後でサービス分析を追加すると、設定したSLAの達成や、サービスの継続的な効率改善に役立ちます
・自動化を行うと、IT環境の拡張性が高まり、管理効率が改善されて、IT部門は戦略的なタスクにより多くの時間をかけることができるようになります
・セルフサービスを実装すると、すべての断片が1つにまとめられるため、ITリソースの利用者は、セルフサービスポータルでコンピューティング機能、ネットワーク機能、ストレージ機能を要求して利用できるようになり、IT部門の介在を最小限しか必要としないプロビジョニングが実現します


 ネットアップは、4大要素のすべてを支援する先進的な管理機能を開発しています。NetApp OnCommandテクノロジを使用することで、ネットアップの高度なストレージ機能をプロビジョニング・ワークフローに簡単に統合できるため、高水準のストレージ効率が実現すると同時に、クリティカルなデータを確実に保護できます。ネットアップのストレージ機能には、ネットアップと仮想化パートナーおよびクラウド・マネジメント・パートナーとのエコシステムを背景に、オープンAPIやネットアップのツールを使用してアクセスできるため、IT環境に携わっている全員が、使い慣れたツールから必要に応じてネットアップの機能にアクセスできます。


●著者紹介

Richard Jooss
ディレクター兼SAN/iSCSIアーキテクト
NetApp

Richard Joossは、NetAppでSANプロダクト/パートナー・エンジニアリングのシニアマネージャーを務めています。SANエコシステム、SANストレージの技術要件とビジネス要件の定義を担当し、ビジネスソリューションとNetApp SANソリューションとの統合にも携わっています。ストレージ業界で15年の経験を積んでおり、 ウィスコンシン大学で電気/コンピュータ工学の理学士号を取得しています。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である
《RBB TODAY》

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