NEC、「地球シミュレータ」上の高速計算を用いてカーボンナノチューブ内の光化学反応を予測 | RBB TODAY

NEC、「地球シミュレータ」上の高速計算を用いてカーボンナノチューブ内の光化学反応を予測

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カーボンナノチューブに内包された塩化水素(HCl)分子がレーザー照射後に分解する様子
  • カーボンナノチューブに内包された塩化水素(HCl)分子がレーザー照射後に分解する様子
  • 新型「地球シミュレータシステム」(写真提供:海洋研究開発機構)
 NECは27日、海洋研究開発機構に納入した高速スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を利用して、効率的に水素を発生できる光化学反応を、世界で初めて計算機シミュレーションにより予測したことを発表した。

 分子に強い輝度をもつ光であるフェムト秒レーザー(フェムト秒=1000兆分の1秒)を照射すると、化学反応を起こす。この光化学反応シミュレーションでは、カーボンナノチューブ(CNT)に内包して動きにくくした分子(塩化水素)に、ナノチューブの外からフェムト秒レーザーを照射すると、分子が塩素原子と水素原子に分離し、しかも水素原子だけがカーボンナノチューブから飛び出すことを、世界で初めて発見した。142個の電子軌道の時間変化に関する方程式を解くことで、カーボンナノチューブに内包された塩化水素分子が、光によって塩素と水素に分かれることを突き止めたという。

 地球シミュレータは、米国で11月に開催されたスーパーコンピューティングの国際会議SC10において、高速フーリエ変換(FFT)の計算で、性能評価にもとづくHPCチャレンジ・アワードの1位を取得しており、特にナノサイエンス、新物質探求や気象予測などの複雑な応用では、世界最高レベルの実行効率を実証している。本研究成果で使用されたソフトウェアでも、計算全体の50%近くをこのFFTが占めていた。従来の計算機ではレーザー照射の計算に数か月を要していたが、地球シミュレータでは、わずか2日で完了した。その結果、光の強度をさまざまに変えて、適切なレーザー照射条件を実用的な短期間で決定することに成功した。

 なおこのシミュレーションは、水素発生だけでなく、レーザー照射にともなう既知の光化学反応の効率化による安価な材料の大量合成や、新物質合成にもつながる画期的な研究成果とのこと。NECは今後も、「地球シミュレータ」をはじめとするスーパーコンピュータを利用した最先端の研究開発を、HPC技術で支えていくとしている。
《冨岡晶》

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