富士通研、カーボンナノチューブを用いた100Wクラス次世代基地局用増幅器の動作に成功 | RBB TODAY
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富士通研、カーボンナノチューブを用いた100Wクラス次世代基地局用増幅器の動作に成功

エンタープライズ その他
従来の配線方式(左)とフリップチップ構造(右)
  • 従来の配線方式(左)とフリップチップ構造(右)
  • ダブル放熱
  • カーボンナノチューブの成長技術
 富士通研究所は11日、カーボンナノチューブを増幅器のトランジスタ放熱素材として使用し、世界で初めて、100Wクラスの第4世代移動通信システム向け基地局用「フリップチップ増幅器」の動作に成功したことを発表した。

 増幅器の熱出力源であるトランジスタチップの両面から放熱を行う「ダブル放熱」技術を開発し、増幅器の高周波化・高出力化(100Wクラス)、高増幅率化を実現した。さらに、トランジスタチップの大きさも従来の3分の2以下の小型化が可能になるという。

 従来の電気的な接続方式では、配線に長い金属ワイヤを用いているため、高周波になると配線の長さに起因する増幅率の低下が問題となっていた。また、従来の放熱方式では、高出力トランジスタチップ裏面からの放熱を利用しているため、トランジスタチップ自体を小さくすると放熱に必要な面積が足りず、小型化ができなかった。新技術では、高周波特性に優れた「フリップチップ構造」と呼ばれる構造を用い、増幅器の熱出力源であるトランジスタチップの両面から放熱を行う「ダブル放熱」技術を開発、増幅器の高周波化・高出力化・高増幅率化を実現した。増幅器の表面(回路面)の電極(接続用金属)と基板の間をカーボンナノチューブバンプで配線して放熱性を高めたという。さらに、増幅器の裏面にもヒートシンクをつけ、増幅器の表面と裏面から放熱することで高い放熱性を実現した。

 さらに、増幅器に接続するカーボンナノチューブの配線の長さが短すぎると、高周波領域での電気特性が悪化し、高い増幅率が得られないため、今回、触媒にアルミニウム-鉄(Al-Fe)膜を利用して、基板に垂直に長さ20μm以上のカーボンナノチューブ成長をすることにより、配線の長さを確保して高い増幅率を実現した。またカーボンナノチューブを用いて10μm以下の微細なバンプを作る技術を利用し、カーボンナノチューブバンプを電極に直接接続することで良好な放熱性を実現した。

 今後は、本技術を使った100Wクラスの増幅器の実用化に向けた開発をすすめ、2011年以降に立ち上がることが予想される第4世代移動通信システム向けの携帯電話基地局への適用を目指すとのこと。
《冨岡晶》
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