「どこでもイントラネット」を強化——富士通FENICS II ユニバーサルコネクト | RBB TODAY
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「どこでもイントラネット」を強化——富士通FENICS II ユニバーサルコネクト

エンタープライズ その他
富士通 ネットワークサービス事業本部 本部長代理 香川進吾氏
  • 富士通 ネットワークサービス事業本部 本部長代理 香川進吾氏
  • 富士通のネットワーク事業の歩み
  • FENICS II発表当時の背景
  • ユニバーサルコネクトの機能と特徴
  • イントラネット上のグループウェアのデモ画面(PC)
  • 同じ画面を携帯電話で表示させてみた例
  • ポータルサイトとイントラ向け業務サイトの設計の違い
  • モバイルコンテンツ変換のサービスイメージ
 富士通は20日、クラウド時代に向けた新しいネットワークサービスとして、「FENICS II ユニバーサルコネクト」を発表した。同社は、昨年より内外のソリューションベンダーとの協業や買収、3月に新しいIAサーバービジネスについて新価格体系やプロダクツライン、17日にはシスコとのユニファイドコミュニケーション分野での協業など、戦略的な発表が相次いでいる。今回の「FENICS II ユニバーサルコネクト」は、クラウドコンピューティングによって、変革するITワーキングスタイルに対応するための、ネットワークサービス事業に関する事業戦略の発表だが、具体的にはどのようなサービスなのだろうか。

 記者発表にて登壇したのは、富士通ネットワークサービス事業本部 本部長代理の香川進吾氏だ。富士通の電気通信事業の参入は1985年まで遡ることができる。初期のころは専用線サービスやパソコン通信などが主なサービス事業だったが、2000年前後からMVNOによるデータ通信事業、IP-VPNやIP電話サービスなどを展開している。2007年にはFENCS IIを発表し、NGNやIPストリーミングといった次世代サービスにも進出している。

 香川氏によれば、このような富士通のネットワークサービスの歴史によって、累計で5万社以上、固定回線で8万回線以上、リモートアクセスで20万ID以上の実績を誇っているが、「ユニバーサルコネクト」発表の背景として、時代の変化、特にビジネスワーキングスタイルの変化を挙げた。FENICS以前のネットワークは拠点と拠点をつなぐことがメインの機能だったが、FENICS II発表当時は、人とビジネスをつなぐネットワークでなければならないとしていた。しかし、この時点でも、中央サーバーもしくは拠点と、イントラネット、インターネット、モバイルネットワークなどを接続するにとどまっていた。

 これが「ユニバーサルコネクト」では、顧客のデータセンター、富士通のデータセンター、各社のSaaSサービスなどクラウド環境と、各拠点のPC、モバイルPC、3Gデータ通信、次世代BWA(WiMAX、次世代PHS)、スマートフォン、その他の端末を統合的に接続管理するという形になるという。これによって、「ゾーンサービスからマンツーマンのサービス」へとコンピューティングスタイルの変化に対応する。

 つまり、「ユニバーサルコネクト」の機能は、FENICS IIでの事例やニーズを吸い上げる形で、SaaS、PaaSを含むさまざまなクラウド環境と、端末環境を問わず、安全かつ簡単に接続するための統合IDによる認証システムを含んだネットワークアクセスサービスということになる。スピード経営やマーケティングにとっては、サーバーやイントラネットの情報への現場でのニーズや重要度が高まり、リアルタイムでのデータ活用が、顧客満足度や業務プロセスの改善にもつながるため、こういった利用形態はますます広がるとの考えから、このサービスが生まれた。

 ユーザーから見た「ユニバーサルコネクト」の機能は、まずシングルサインオンによるID統合と携帯電話などでイントラネットに接続した場合の画面表示となる。ID統合は、ユニバーサルコネクトのIDと認証で、イントラネット、外部SaaSサービス、その他業務システムの認証がまとめられる。端末側の認証では、IDやパスワードのBASIC認証だけでなく、端末の機体認証やウィルスチェックなど環境認証も提供される。これらを組み合わせることで、柔軟なモバイル端末運用が可能となるそうだ。

 また、コンテンツの自動変換機能によって、表示端末やブラウザが違っていてもイントラネット上のデータ表示画面を最適なものに変換してくれる。サーバー側でPC用、携帯用といった画面やサイトを用意しなくてもよい。この機能は、実際の携帯電話画面をスクリーンに映しながらのデモによって紹介された。フレームが多用されたPC用のスケジュール表の場合でも、携帯電話向け画面では余分な要素は排除され、必要な情報のみに整理されていた。

 シングルサインオンもコンテンツの自動変換も、実際には導入企業のシステムによって調整事項や作り込みは必要だが、かなりの部分で効率化が見込めるそうだ。たとえば、100ID程度のシステムを自前でVPNも含めて構築した場合と、FENICS II ユニバーサルコネクトを利用した場合では、初期費用で25%、月額で40%のコストダウンが可能という試算もあるという(富士通調べ)。

 FENICS II ユニバーサルコネクトを導入した企業のIT部門から見た場合のメリットは、既存のネットワーク資産を生かしてリモート接続環境を構築できる、ID統合と管理の可視化によって、コンプライアンス要請への対応、アクセス制御の適用、端末ログを含めた詳細ログによる稼働率の把握が可能となることがあげられる。端末やネットワークの詳細稼働率がわかると、リソース配分やユーザー管理に役立つ情報となるほか、システム増強の最適化、故障やトラブルの事前予測なども可能になるという。

 発表を受け出席者から、「先般発表のあったシスコシステムズとのユニファイドコミュニケーション(UC)分野での協業とユニバーサルコネクトのFMC機能に重複があるのではないか」という質問が出た。これに対しては、UCといった場合、一般的にはPBXの延長にある新しいプロダクトソリューションという考え方がメインとなるが、ユニバーサルコネクトは、イントラネットやビジネス活動から考えるサービスという位置づけで、混乱するかもしれないが両立は可能だとした。実際、UC導入のソリューションの一部として、ユニバーサルコネクトの回線サービスが連携することは十分にありえるという。

 また、FENICS II  ユニバーサルコネクトのターゲットは、従来のFENICS IIの導入実績が高い大企業などが当面のメインになるだろうとしながらも、自社システム構築よりSaaS利用を考えているSMB企業にも積極的にリーチさせていきたいと述べた。そして、ユニバーサルコネクトのサービスを、さらにエンドユーザーに提供するようなB to B to Cも視野に入っているとのことだ。
《中尾真二》
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