グローバルにアピール!スタートアップの祭典「Slush Tokyo」で見つけた注目のプロダクト5選! | RBB TODAY
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グローバルにアピール!スタートアップの祭典「Slush Tokyo」で見つけた注目のプロダクト5選!

IT・デジタル スマートフォン
スマートリング「ORII(オリー)」
  • スマートリング「ORII(オリー)」
  • オフィスの無人コンビニサービス「600」
  • クレジットカードを通すと扉が開く
  • クレジットカードを通すと扉が開く
  • 商品を取り出すだけ
  • 取り出された商品名と金額を確認し、問題なければ購入
  • 数秒で決済が完了する。カードの登録等は不要
  • 木を触る新感覚のインターフェース「mui」
 スタートアップにフォーカスした世界最大規模のグローバルイベント「Slush(スラッシュ)」が3月28日、29日の2日間にわたって東京ビッグサイトで開催された。ライブコンサートのような演出、学生ボランティアの運営参加、公用語は英語といった、普段ビッグサイトで開催されている展示会とはまったく違った雰囲気の会場には、グローバルに向けてプロダクトをアピールしたい気鋭のスタートアップが多数出展していた。すべてのブースを回れたわけではないが、その中で気になったプロダクトをいくつか紹介したい。

コンサート会場のような独特の雰囲気
コンサート会場のような独特の雰囲気


カフェスペースでは登壇者と来場者のマッチングも
カフェスペースでは登壇者と来場者のマッチングも


無人コンビニがオフィスを席巻する!?


 オフィス向けの無人コンビニサービス「600」を展示していたのは、その名も600(ろっぴゃく)株式会社。無人コンビニというと、今年シアトルでオープンしたAmazon Goのようなものが思い浮かぶかもしれないが、「600」は、よくオフィス内で見かけるような中が見えるタイプの冷蔵庫にクレジット決済機能がついたサービス。庫内の天井と底面にセンサーを配置し、各商品に貼り付けられたRFIDを読み取ることで商品の入出庫を判別する。

オフィスの無人コンビニサービス「600」
オフィスの無人コンビニサービス「600」


 扉の前面に決済用の端末が取り付けられており、そこにクレジットカードを通すことで扉が開く。中にある商品を取り出して扉を閉めると、決済端末のディスプレイに商品の名称と金額が表示され、「購入完了する」ボタンを押すと決済が進み、数秒で完了する。取り出していない商品が表示された場合には削除することもできる。特に登録などをする必要はなく、対応しているクレジットカードさえあればさくっと購入可能。実際に会場で試してみたが非常に簡単だった。

クレジットカードを通すと扉が開く
クレジットカードを通すと扉が開く
クレジットカードを通すと扉が開く


 従来の現金をボックスに入れて購入するシステムでは、きちんと小銭を用意する必要があったり、入れ間違いがあって集計時に金額が合わなかったりということが起きる。そうしたストレスから解放されることに加えて、RFIDで管理していることで、庫内の在庫状況やその月の売れ筋商品などのデータをリモートで確認することができるのも特徴のひとつ。炭酸飲料がよく売れているオフィスには炭酸飲料のバリエーションを増やしてみたり、在庫が切れる前に商品を補充したりといったこともスムーズにできるようになる。さらに、LINE@を通して従業員が直接商品をリクエストすることも可能だ。600株式会社では現在週に2、3回の頻度で設置企業に赴いて商品の補充を実施しているとのこと。

商品を取り出すだけ
商品を取り出すだけ


取り出された商品名と金額を確認し、問題なければ購入
取り出された商品名と金額を確認し、問題なければ購入


数秒で決済が完了する。カードの登録等は不要
数秒で決済が完了する。カードの登録等は不要


 同社は昨年の6月に設立されたばかりだが、元々決済システム「Web Pay」を手がけていた久保氏が創業者ということで、決済周りでの強みをいかして開発をおこなっている。現状は、RFIDタグを手作業で貼り付けていたり、商品の補充も社内でやっていたりすることもあって、まずは都内を中心にじっくり広げていく方針のようだ。一定のセキュリティが担保されているオフィス内で設置実績をつくり、サービスのブラッシュアップを進めたのちには、たとえばマンションのロビーだったりに設置する構想もある。また、すでに利用している企業からは、電子マネー等の支払いにも対応してほしいといった要望がでているという。今後の開発に期待したいところだ。現在、利用料金は1台ひと月あたり50,000円で、1年契約からとなっている。

“木”を操作する新感覚のインターフェース「mui」


 京都のスタートアップ「mui lab(ムイラボ)」は、タッチセンサーとワイヤレスセンサーを内蔵した木製のデバイス「mui」を展示していた。樹脂製の筐体の上から実際の木材を貼り合わせて作られており、触った感じはまさに“木”そのもの。ブースの担当者いわく「木を操作するという新しい感覚が得られると思います」とのこと。

木を触る新感覚のインターフェース「mui」
木を触る新感覚のインターフェース「mui」


 ブースでは、クラウド経由でつながったLED照明のコントロールがおこなえるデモが展示されていた。インターフェース部分はOTAでアップデートすることを考えており、IoT製品が増えていけば照明以外にもさまざまなものとつながり、操作できる可能性を持っている。

LED表示がオフの状態では木材にしか見えない
LED表示がオフの状態では木材にしか見えない


 開発のきっかけは、ホテルなどの壁に備え付けられた照明やエアコンのコントローラー・スイッチの見栄えがあまりよくないと感じたこと。もっと空間に溶け込んだ、わざとらしくないIoT製品をつくりたいと思い、開発がスタートしたという。「mui」の場合、何も表示していない場合は純粋に木の梁のように見え、日本の建築物に馴染みやすい。現在、企業向けには少しずつ販売がスタートしており、消費者向けにはクラウドファンディングサービスを通じて夏ころに販売できればということだった。

危険が起きる前にドライバーに注意を促すドライブアシスタントデバイス


 Pyrenee Drive(ピレニードライブ)は、すべての車に簡単に設置できることを意識して設計されたドライブアシスタントデバイス。一部、ダッシュボードの形状が特殊な車種をのぞいては、ゲル状の粘着テープで簡単に設置でき、給電はシガーソケットからおこなう。端末の前方にはステレオカメラが、ドライバー側には前方の情報を映し出すディスプレイが搭載されている。

「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」の試作機
「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」の試作機


底面に粘着テープを貼り、置くだけで設置できる
底面に粘着テープを貼り、置くだけで設置できる


 ステレオカメラによって距離を測りながら、前方の車や人がどこにいて、どのように動いているかをリアルタイムに把握し、危険な状況が迫ったときにはドライバーに知らせてくれる。人間が常に集中し続けることは難しいので、危険な状況が迫る直前に知らせることで、その時は集中して、余裕をもって回避行動を取れるようにしてもらおう、というコンセプトだ。そうすることで、自動ブレーキなど車側の制御がない場合にも事故が減らせるのではと考えている。

スマートディスプレイとしてさまざまな機能も備える
スマートディスプレイとしてさまざまな機能も備える


 危険状況の検知については、多くのユーザーが同デバイスを使うことでクラウドにデータが集まり、機械学習によってさまざまな状況を覚えていくことで精度を上げていけるという。映像をそのままクラウドに上げることはせず、あくまで危険な状況になった際の人や車の動きのみを30秒前から記録し、データとして上げていくため、プライバシーの問題もクリアしているとのこと。なお、初回の出荷時にもある程度ルール化された判断基準を搭載している。

量産型はさらにスッキリした形状に
量産型はさらにスッキリした形状に


 現在、量産前の開発を急いでいる段階で、半年後には量産を開始できそうな見込み。現在検討している利用価格は、リース方式で月額2,980円ほど。一般ドライバーをはじめ、バスやタクシーなどにも広げていければと話していた。

指をスマホに変えるスマートリング「ORII(オリー)」


 自分の指先をスマートフォンに変えてしまう、そんなコンセプトのリング型デバイスが「ORII(オリー)」だ。骨伝導技術を使い、リングをつけた状態で耳の周りをさわってあげると、音声が聞こえてくる。リングにはマイクも搭載されているのでそのまま通話することも可能。昨年、海外のクラウドファンディングサイトkickstarterで募集を開始したところ、当初の目標額である3万ドルをあっという間に達成し、最終的に約33万ドルの支援を集めた。

スマートリング「ORII(オリー)」
スマートリング「ORII(オリー)」


 どんなシーンで使われることが想定されるのかブースの担当者に聞いてみると、通常の音声通話にももちろん使えるほか、おおっぴらにスマートフォンを出せない職業、たとえばホテルの受付スタッフなどが業務連絡を受ける際に、指を耳に当てるだけで話せるのでスマートだと話していた。筆者もブースで実機を試させてもらったが、騒がしい展示会場の中でも音声がきちんと聞き取れた。耳のどの辺りを触ると一番良く聴こえるかは個人差がありそうだったので、その辺は使いながら慣れていけばよいように思う。はたから見ると通話をしているようには見えないので、ちょっとしたスパイ気分を味わえるかもしれない。

この状態で通話ができる
この状態で通話ができる


「ORII(オリー)」

 こまかいスペックだが、連続通話時間は1時間で、待ち受けは45時間。専用の充電器に1時間セットするとフル充電される。IPX7相当の防水対応。Android 4.4以上もしくはiOS 9以上のスマートフォンに対応し、Bluetoothでペアリングする。リング側面をタップや長押しすることで着信を受けたり、SiriやGoogle Assistantを起動させたりといった操作ができる。現在、国内の通販サービスRAKUNEWでも予約を受け付けており、税込価格は22,190円。発送は2018年の7月以降の模様だ。

ありそうで無かったプロモーションマッチングサービス「aircatalog」


 最後に、ユニークなWebサービスを出展していたのがquatre(キャトル)株式会社。同社の提供するプロモーションマッチングサービス「aircatalog(エアカタログ)」は、リアルな場で狙った属性に向けて自社の商品をサンプリングしたいメーカーと、サンプリング場所を提供する代わりに来店客に対して商品をプレゼントするなどのベネフィットを得たい店舗とをマッチングさせるWebプラットフォーム。現在、大手の化粧品メーカーなどがすでに利用を開始しており、店舗側の登録も20,000店を超えているという。

「aircatalog(エアカタログ)」
「aircatalog(エアカタログ)」


 メーカーがマーケティングを考える際に、テレビや新聞などのマス媒体、ネットニュースなどのWeb媒体、そのどちらにも反応しない顧客層というのが一定数存在しており、やはりリアルの場での接点は重要になってくる。そうした際に、たとえばモニター募集サービスなどを利用してサンプリングしようとすると、ただ商品を欲しいだけのユーザーが応募してしまい、最悪の場合はそれが転売されてしまうなど、適切な反応・効果を得られないことが課題だった。

 「aircatalog」では、店舗側が施設属性(ホテルや美容院など)、顧客属性を入力して登録した上で、メーカー側が用意しているサンプリング商品の中から自分たちの顧客に合ったものをリクエストする。マッチングが成立すれば、あとは来店客に配布したり、ホテルであればプレゼント付きの宿泊プランを設定して単価をアップさせたり、使い方はさまざまだ。仮に、その店舗の顧客に好評を得た場合は、サンプリング後にその店舗自体を販売チャネルとして利用できる仕組みも持っている。今後は、登録店舗をさらに拡大していき、まずは100,000店舗の登録を目指しているとのこと。利用事例が増えればさらに色々な業界にも広まりそうなサービスだ。

「aircatalog(エアカタログ)」の仕組み
「aircatalog(エアカタログ)」の仕組み


 なお、quatreは大阪にも拠点を構えているが、そこは阪急電鉄が運営する会員制のスタートアップ支援オフィス「GVH#5」(ジー・ブイ・エイチ・ファイブ)の中にある。阪急電鉄では、大阪・梅田の競争力強化のため、ビル建設などのハード面だけでなく、新規ビジネスが生まれやすい土壌を作る、いわばソフト面での活性化を目指して「GVH#5」を立ち上げたそうだ。先ほどのquatre社CEOの横町氏に阪急の取り組みについて聞くと、梅田の中心地において少ない負担でオフィスを借りられることに加えて、起業家同士のコミュニティが広がることも大きなメリットだと語っていた。こうした取り組みが、東京以外の都市でも有望なスタートアップ、新たなビジネスが誕生する土壌の広がりにつながっていくと非常に面白いと感じた。

大阪発のスタートアップを支援する取り組み
大阪発のスタートアップを支援する取り組み


※主催者に聞く、Slush Tokyoの特徴と見どころ
《白石 雄太》
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