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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第96回 自動運転やAIはまだ先? これが現実的なタクシーとITのコラボの事例

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青森県では初めて無料Wi-Fiサービスを提供するこことなった文化タクシー
  • 青森県では初めて無料Wi-Fiサービスを提供するこことなった文化タクシー
  • 無料Wi-Fiは、NTTドコモのNTTドコモのWi-Fi STATION HW-02Gを車載して実現している
  • 10カ国語対応の3者通話通訳サービスはタブレットに専用アプリを入れ、提携する通訳サービス会社に接続する
  • 日本語が話せない乗客は後席に装備されたマイクを通じて通訳サービスに話しかけることで乗務員と会話できる
  • 取材当日は青森港に大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」が入港しており、中心部は来日外国人が多かった
  • 文化タクシー車体でリンクステーションの「ポみっと!」をアピール。10台のワゴンタクシーすべてで絵柄が異なる
  • タクシー車内の通信速度計測結果。またこの無料Wi-Fiに接続するとブラウザに地域情報サイトが最初に表示される
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
 文化タクシーに設置された無料Wi-Fiに接続した場合、ブラウザを開くと「ポみっと!」のトップページへ誘導されるようになっており、これにより地域情報への導線をしっかりと作っている。目立つタクシー車両の導入やそれを活かした地域情報サイトのプロモーション戦略など、そもそもタクシー会社とIT企業という異業種のコラボレーションが実現できた背景にはどのような事情があったのか。

 じつはこれらの仕掛け人が、両社の代表取締役を務めている大嶋憲通氏。そしてそれを支えたのが文化タクシー女子社員とリンクステーション女子社員が意気投合して生まれた「文化タクシー女子部」だ。一貫してITの世界でオンラインのビジネスを展開してきた大嶋氏が地域でタクシー業界にも進出を果たした。

 ITとタクシーでいったいどのようなシナジーを生み出すのか。大嶋氏は両社をつなぎ、若手女子社員の交流によって理想のタクシーを追求していった。そして、インバウンド対策として地方都市でいち早くタクシー車両の通信環境や多言語電話通訳サービスの整備を実現させ、またその車体を使って地域情報サイトを市民にアピールする宣伝戦略を打ち出した。こうしてタクシーと地域のスポットといったつながっていなかった「オフライン」が「オンライン」で結ばれるようになった。

 IT業界では通信およびAI技術の発展に伴った自動運転技術など、近未来的な話題が脚光を浴びているところだが、もっと現実的なところで異業種がコラボレーションしICTがそれを支えていく。地味ながらも地域の発展に貢献しようと創意工夫をこらすユニークな動きを地方に見出すことができた。
《木暮祐一》
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