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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第75回 キーワードは「地方」!? ドコモとauが新発表した“ガラホ”の行方

IT・デジタル スマートフォン
ドコモが夏モデルとした発表したAndroid搭載フィチャーフォン(ガラケー)
  • ドコモが夏モデルとした発表したAndroid搭載フィチャーフォン(ガラケー)
  • auにとってガラホ第2弾となった、VoLTE対応・Android 搭載の「AQUOS K」
  • ドコモの加藤社長
  • KDDIの田中孝司社長
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
■地道に進化を遂げたガラホ

 KDDIが春モデルとしてガラホを発表し、大きな注目を集めたが、夏モデルでは地道な進化を果たしているようだ。まず、VoLTEに対応したこと。VoLTE(Voice over LTE)とは、データ通信専用ネットワークであるLTE網上で音声通話を実現させる技術であるが、通話相手先のスマホ等も同様にVoLTEに対応していれば、従来の通話よりも高音質で会話が可能になる。音声の遅延もより少ない。いずれ、3Gネットワークを廃止し、ネットワークが完全にLTE以上のものへ移行する際には、サービスを利用するすべてのユーザーの端末がVoLTEに対応している必要がある。

 ネットワークはおよそ10年単位でより高度なネットワークが登場し、その後約10年程度は旧式のネットワークと併用される期間を経て、ユーザーが利用する端末が新ネットワークに対応したものに置き換わった頃を目安に、旧ネットワークを廃止してきた。

 現在、3Gネットワークは2001年秋にNTTドコモのFOMA(W-CDMA方式)としてスタートしたものだが(KDDIはCDMA2000方式)、こうした過去のネットワーク進化のタイミングを振り返れば、2021年頃には3Gネットワークを廃止し、その周波数帯域をさらに高度な新通信方式に置き換えることになるのだろう。

 こうした近い将来のネットワーク移行に向け、ガラケーはAndroid OSとスマホに準じるチップセットを搭載することで、今後のサービス利用に耐えられるものにしていこうということであろう。

 もう一つ、ユーザーのニーズが変化してきたと感じたことが、“ケータイEメール”の終焉が近づいてきたということだ。いわゆるiモードメール等、通信キャリアのドメインが付いたEメールサービスのニーズが減ってきたということだ。わが国のケータイメール文化は、iモード登場時の1999年以降、一気に根付いていった。

 世界では電話番号をアドレス代わりにメッセージの送受信ができるSMSサービスが一般的であったが、わが国では通信キャリアを超えてSMS(ショートメール等)を送受信することが仕様上不可能だった(2011年以降はキャリアを超えてSMS送受信が可能になっている)。

 別の通信キャリアで契約しているユーザーとメッセージの送受信をする手段として、ケータイEメールを使わざるを得ず、このため誰もがケータイEメールのアドレスを取得し、ケータイ同士でメッセージをやり取りする手段として定着していった。

 しかしケータイEメールの難点は、MNPを利用して他の通信キャリアに乗り換えた場合、メールアドレスは使えなくなってしまうことだ。当初はこれがMNP利用の大きな障壁にもなっていた。しかし、スマホが主流となった現在、文字メッセージでのコミュニケーション手段はケータイEメールから、LINEなどのメッセンジャーサービスに移行している。

 LINEであれば、MNPを利用して他の通信キャリアに移行しても、使い勝手も変わらず継続してメッセージのやり取りができる。一方で、ガラケーを使っているユーザーとのコミュニケーションが取りづらいという不都合も出てきていた。ガラケー用のLINEも提供されているものの、必ずしも使い勝手がいいものではなく、元々使い慣れたケータイEメールを手放せないというユーザーもまだ残っていたはずだ。

 Android OSを搭載したガラホでは、GooglePlayへのアクセスこそできないものの、専用のLINEアプリは用意されている。ガラケー用LINEに比べ、その使い勝手は格段と向上している。タッチパネルは備えていないが、ガラケーユーザーにとっては、ケータイEメールを使う感覚で、今後はLINEを活用できる。このメリットは大きいはずだ。

 今回、KDDIに加え、ついにNTTドコモからもこのAndroid OSベースのフィーチャーフォンが登場した。地方こそ、こうした端末を求めるニーズは高く、同時にNTTドコモのシェアも高いこともあり、そこそこの販売が見込めるものと考える。またMVNOでのラインアップでも、こうした端末の登場が期待されているところであろう。
《木暮祐一》
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