【木暮祐一のモバイルウォッチ】第24回 海外旅行で便利なモバイルWiFiルーターのレンタルサービス | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第24回 海外旅行で便利なモバイルWiFiルーターのレンタルサービス

ブロードバンド 回線・サービス
成田空港の「GLOBAL WIFI」カウンターで海外用モバイルWiFiルーターをレンタル。あらかじめWebで手配していたので、身分証提示と簡単な注意事項の説明を受けるだけで手続きもあっという間だった。
  • 成田空港の「GLOBAL WIFI」カウンターで海外用モバイルWiFiルーターをレンタル。あらかじめWebで手配していたので、身分証提示と簡単な注意事項の説明を受けるだけで手続きもあっという間だった。
  • レンタルした機材。モバイルWiFiルーターはサムスンSHV-E100L。このほかオプション品のバッテリー(エネループ)とホテル de WiFi(ちびファイ)も。
  • もはやスマートフォンでの利用が前提となっている感じ。接続設定等の説明書は初心者でも分かりやすい。
  • 渡航先では、「データローミング」をオフにし、モバイルWiFiルーター経由でWiFiとして利用する。サムスンSHV-E100Lは待受状態からの起動も早く、国内でモバイルネットワーク経由で利用しているのと変わらない操作感でスマートフォンを利用できた。
 わが国で契約したケータイやスマートフォンが電話番号もそのまま海外で利用できることが当たり前となった。いわゆる「国際ローミング」といい、渡航先の通信事業者のネットワークに接続して音声通話やデータ通信などの通信サービスを利用し、その通信料金は国内で契約している通信事業者が後日代わりに回収するという仕組みになっている。

 わが国の通信料金は、基本使用料、通話料とも下がるところまで下がった感があるが、データ通信料金に関しては決して安価とは言えない。さらに海外ローミングでの音声通話やデータ通信料金は、かなり高めとなる。可能なら現地の回線(SIMカード)を入手して活用するのが一番安価なのだが、わが国で市販されるケータイやスマートフォンのほとんどはSIMロックが講じられており、契約した通信事業者以外のSIMカードを受け付けない。
 筆者は年に数回程度、海外出張する機会がある。直近では10月に1週間程度アメリカへ出張したが、帰国後のケータイ各社からの通信料金の請求に目玉が飛び出してしまった。先週は韓国に出張する機会があったが、このアメリカ出張時の反省を踏まえ、通信料削減に向けた工夫を凝らすことにした。すなわち、「海外ケータイレンタル」に久しぶりにお世話になり、データ通信用のモバイルWiFiルーターをレンタルすることにしたのだ。

 かつてのわが国のケータイは国内専用サービスが主流で、海外に渡航する際には渡航先の国で利用可能なケータイをレンタルして利用するのが一般的だった。国際線が発着する主要空港には海外ケータイレンタルのカウンターがひしめき、そのほかにも宅配などで自宅に海外用レンタルケータイを届けてくれるレンタル業者が多数存在した。しかし、前述のようにわが国のケータイが国際ローミングに対応し、わざわざレンタルせずとも、そのまま自分のケータイやスマートフォンで電話番号もそのまま世界各地で利用できるのが当たり前となり、海外ケータイレンタルのニーズはなくなってしまった。筆者自身もこうしたレンタルサービスを利用する機会が最近ではほとんど無かった。しかし、スマートフォンが広く一般に浸透し、音声通話よりもむしろデータ通信料金が通信費用の大半を占める時代となり、改めて海外出張時のデータ通信料金の見直しを迫られるようになってきた。国内ではパケット定額の利用で、あまりデータ通信料金を意識せずに利用されている方が大半だと思われるが、海外で利用する場合は国内のパケット定額通信料の適用外となる。ただ青天井のデータ通信料金でスマートフォンを利用するにはあまりに恐ろしいので、スマートフォンの普及とともに通信事業者各社は海外パケット定額を導入し、現在その通信料は各社とも段階的に日額1,980円から上限日額2,980円で利用可能である。

 日額2,980円という通信料は、たとえば1~2日の渡航ならこれでもいいが、日数が多くなると結構馬鹿にできない通信料になってしまう。筆者の場合、スマートフォンを利用しているとあっという間に日額上限まで使ってしまうし、しかも複数台の端末を利用するので、端末ごとに2,980円ということを考えると現地で安易にスマホの電源を入れられない。

 こうしたニーズに応えるがごとく、かつての海外ケータイレンタルに取り組まれていた各社の昨今の主力商品は、海外で利用できるモバイルWiFiルーターのレンタルにシフトしている。つまり渡航先の国で利用可能なモバイルWiFiルーターをレンタルし、自分のスマートフォンは「データローミング」をオフにしてモバイルWiFiルーター経由で利用することで、現地でのデータ通信課金を回避しお得に利用しようというもの。

 海外ケータイレンタル各社の海外用モバイルWiFiルーターのレンタル料金は概ね日額500円~1,000円程度(渡航先によって異なる)。契約している通信事業者が設定している国際データ通信ローミング料金の日額2,980円(上限)に比べればはるかにリーズナブルで、安心して海外でスマートフォンを活用できる。海外ケータイレンタル各社のモバイルWiFiルーターレンタル料金の比較は、「海外携帯レンタル比較ナビ」のサイトが参考になる。

 筆者の韓国出張のときの話に戻そう。今回筆者がセレクトした海外用モバイルWiFiルーターレンタル事業者は、株式会社ビジョンが運営する「GLOBAL WIFI」。決め手は、海外携帯レンタル比較ナビを見ても一番リーズナブルに利用できるということと、成田空港にレンタルカウンターを持っていたこと。この海外用モバイルWiFiルーターの受け取りは各社色々な方法を用意しているが、一般的には渡航前に宅配で自宅で受け取り、帰国後も宅配で返送するというものが多い。それはそれで便利だが、自宅も不在がちな筆者は宅配の受け取りはやや面倒。どうせなら出発する空港のカウンターでの受け取り・返却が一番手っ取り早く最適のレンタル手段と見た。「GLOBAL WIFI」の場合、成田空港(第一、第二の両ターミナル)のほか、羽田空港国際ターミナル、関西空港、中部空港、福岡空港や、福岡港国際ターミナルにもカウンターを設置し、海外渡航者へのサービスを提供している。事前にWebから予約する必要があるが、空港カウンターでチェックイン後、出発ゲートに向かう途中にカウンターがあるので無駄な時間を割くことなく確実に受け取れる。

 筆者が韓国への出張にレンタルした機材は、モバイルWiFiルーター(サムスンSHV-E100L/日額670円)のほか、オプション品で予備バッテリー(日額210円)、ホテル de WiFi(日額210円)も追加してもらった。「予備バッテリー」はモバイルWiFiルーターのバッテリーが複数供与されるのかと思ったら、パナソニックのエネループUSB出力付リチウムイオンバッテリーだった。これはこれで、スマホの充電も可能な便利でありがたいレンタル品だ。また「ホテル de WiFi」は、宿泊先の有線LANポートに接続することで無線LANを利用できるようにする簡易アクセスポイントである。これもレンタルされる機種には複数のモデルが用意されているようだが、筆者が借り出したのはプラネックス製超小型WiFiルーター「ちびファイ」だった。ジッポーライターサイズのWiFiルーターということで、噂ながらに「ちびファイ」の存在は知っていたが、これほど小さくて便利なものだとは思わなかった。「ちびファイ」は実売価格2,000円程度のようなので、出張の多いユーザーは1台カバンに忍ばせておいてもよさそうだ。

 この他の料金として、受渡手数料が1貸出につき525円(基本使用料のようなものとして割り切りたい)と、空港カウンター受取・返却料金各525円(成田空港は無料)などがかかる。宅配で受け取る場合は、宅配往路は無料、返却時は利用者が宅配料負担となる。また、万が一の紛失に備えての補償料もオプションで用意されている。

 レンタルしたモバイルWiFiルーター・サムスンSHV-E100Lは韓国ではメジャーな機種で、LTE通信にも対応している。最大通信速度は下り75Mbpsで、コンパクトな筐体ながらも連続通信時間6時間、連続待受時間22時間というスペックだ。わが国のパケット定額サービスでも、1日のデータ通信量が大量になると帯域制限がかかり通信を規制される場合があるが、これは韓国でも同様なようで、GLOBAL WIFIでは1台のモバイルWiFiルーターに複数のスマートフォンやPCを接続して利用しないよう注意書きが添えられていた。筆者の場合、スマートフォンやPCを接続してメールやブラウジング、facebookなどの利用と、撮影した画像等のDropBoxへのデータアップロードという使い方が中心なので、複数台の端末を1台のモバイルWiFiルーターに接続して利用しても帯域制限がかかるほどではないと考え、実際にiPhoneを2台、Android OSを搭載したGLAXY Cameraを1台、ノートPCなどをモバイルWiFiルーターに接続して移動中の通信に活用したが支障は感じなかった。

 これまでスマートフォン自体のモバイルデータ通信機能を利用せず、WiFiのアクセスのみとしてメールやブラウジングを使用するのは面倒なことという印象を抱いていた。しかし、一度モバイルWiFiルーターのSSID、パスワードを設定しておけば、スマートフォン側のメーラーやブラウザ、アプリなどを起動してすぐにWiFi経由で接続されるので不都合は生じなかった。これはモバイルWiFiルーター側で、待受状態からデータ通信が起動するまでのスピードに依存することになるが、サムスンSHV-E100Lはその即応性が優れているようで、スマートフォン側でWiFi経由で使っていること意識させないほどであった。韓国のモバイルネットワークが安定しているのか、通信速度も十分で人ごみの中でも下り10Mbps以上、快適な場所では実質下り30Mbps以上の通信速度で利用できた。筆者はKDDIのiPhone5をメインで利用しているが、正直なところ日本国内でiPhone5単体で通信するよりも、韓国内でこのモバイルWiFiルーター経由で通信している時の方がパケット詰りも発生せず、通信が快適に感じられた。通信環境は渡航先の国々によってまちまちであるが、参考にしていただけたら幸いである。

 海外でスマートフォンを利用する機会が今後ますます増えていく中で、こうした海外用モバイルWiFiルーターのレンタルサービスはニッチなサービスとして定着していきそうだ。
《RBB TODAY》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top