富士通と東大、量子ドットレーザーで毎秒25ギガビットの高速データ通信を実現 | RBB TODAY
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富士通と東大、量子ドットレーザーで毎秒25ギガビットの高速データ通信を実現

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高密度配列した量子ドットを活性層にもつ量子ドットレーザー
  • 高密度配列した量子ドットを活性層にもつ量子ドットレーザー
 富士通、富士通研究所、東京大学は20日、次世代の半導体レーザーとして期待されている量子ドットレーザーを使い、世界初の毎秒25ギガビット(Gbps)の高速データ通信を実現したことを発表した。

 「量子ドットレーザー」とは、富士通および富士通研究所が、東京大学の荒川研究室との産学連携にもとづいて開発した、大きさがナノメートル(10億分の1メートル)サイズの半導体微粒子(量子ドット)を発光部に適用した半導体レーザーだ。現在のデータ通信では10Gbpsのイーサネットが主流だが、さらなる高速化に向けて、現行10倍となる100Gbpsの高速通信が可能な次世代データ通信の国際標準規格化「100GbE」などが進められている。そしてこのような次世代高速データ通信に適用可能で、高速かつ低消費電力なレーザー光源が求められている。

 量子ドットレーザーの速度を上げるためには、レーザーの光利得を増やす必要があり、そのためには、元となる量子ドットの数を増加させることが必要になる。今回開発された技術では、量子ドットの数を増加させるとレーザーの動作速度が向上することから、25Gbpsの高速動作が可能な量子ドットレーザーを開発。従来より高密度に面内配列した量子ドットを多層積層する(従来の5層から8層に増大)ことにより、2倍の動作速度を達成した。

 これにより、現行の10倍となる100Gbpsのデータ量の送受信を目指す次世代高速データ通信の光源としての適用が期待されるという。開発した技術を用いることで、100GbEをはじめ、さまざまな次世代高速データ通信において、温度安定かつ低消費電力な量子ドットレーザー光源を利用することが可能となる見込みだ。また、温度コントローラー内蔵の高価なパッケージが不要となり、低コスト化を促進するという。今後はさらに改善を加えて、伝送距離の拡大や高信頼化を進めていく予定だ。またQDレーザ社を通した製品化を検討していくとしている。

 本研究の一部は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)に委託されたプロジェクトに関し、一部は文部科学省の科学技術振興調整費において実施された。また、量子ドットレーザーの研究開発は、東京大学の荒川泰彦教授の研究室と富士通、富士通研究所、QDレーザ社とが共同で進めているもの。なお本技術の詳細は、5月16日から米国サンノゼで開催される国際会議「CLEO/QELC2010(The Conference on Lasers and Electro-Optics and The Quantum Electronics and Laser Science Conference」にて発表されている。
《冨岡晶》
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