【事例取材】「狙いどおりに構築」……富士通ETERNUSで実現した明大キャンパスストレージ | RBB TODAY

【事例取材】「狙いどおりに構築」……富士通ETERNUSで実現した明大キャンパスストレージ

 明治大学では今年、各研究室がこれまで個別に保有していたデータを統合管理し、学生や教職員によるキャンパスを越えた情報共有を実現する「明治大学キャンパスストレージシステム」の運用を、富士通の協力により開始した。

エンタープライズ その他
ストレージシステムが収納されている、川崎市にある明治大学生田キャンパスの中央校舎
  • ストレージシステムが収納されている、川崎市にある明治大学生田キャンパスの中央校舎
  • 明治大学キャンパスストレージシステムのシステム構成
  • 研究室のメンバー管理方法。研究室の管理者は、研究室(ActiveDirectory上のグループ)のフォルダに対するメンバー(ActiveDirectory上でアカウントを持つユーザ)登録とそのアクセス権をブラウザ上で自由に設定できる
  • 「Campusmate/ICAssist ユーザーマネージャ」のグループメンバー変更画面。研究室(ActiveDirectory上のグループ)に追加したいメンバー(ActiveDirectory上でアカウントを持つユーザ)を検索して、グループに追加できる
  • 研究室内のデータへのアクセス権が与えられたユーザは、Windowsの標準機能である「ネットワークドライブの割り当て」を使ってアクセスする
  • 研究室内のデータへのアクセス権が与えられたユーザは、Windowsの標準機能である「ネットワークドライブの割り当て」を使ってアクセスする
  • 明治大学キャンパスストレージシステム。手前のシャーシにActiveDirectoryサーバ、DFSサーバ兼ADグループ管理サーバ、電源等が収容され、奥の3つのシャーシにETERNUS4000が1台ずつ収容されている
  • 大学院生の島崎聡史氏
 ITの利活用は、大学内の研究・教育においても不可欠となってきているようだ。明治大学では今年6月、学内情報基盤整備の一環として、各研究室がこれまで個別に保有していたデータを統合管理し、学生や教職員によるキャンパスを越えた情報共有を実現する「明治大学キャンパスストレージシステム」の運用を、富士通の協力により開始した。同システムの総記憶容量は212Tバイトと、Windowsファイルサーバとしては国内大学最大級となる。同大学の情報基盤への取り組みについて、理工学部情報科学科准教授 情報基盤本部副本部長の齋藤孝道氏に話を聞いた。

◆企業とは違う、大学にあるべきストレージシステム

 明治大学では、ITインフラの整備にとどまらず、情報倫理やリテラシーも含めたIT教育にも力を入れ、TA(Teaching Assistant)の院生がPC講習を行うなど、継続的な教育体制を整えているという。現在では多くの大学で導入されているラーニングマネジメントシステムも、明治大学は国内大学としては早期に導入し、シラバス(講義の要旨、計画、参考資料などの学習案内)やレポート提出においてIT利活用を進めている。

 しかしながら、こうした全学的なIT化を進められずにいたのが、各研究室や部門が管理する膨大なデータだ。研究データは、各研究室・部門が独自に構築したファイルサーバや、学生・教員のPCに保存され、データのやり取りにはUSBなどの外部メディアが使われていた。そのため、大容量データのやりとりが難しく、また毎年学生が入れ替わるためにきちんとしたメンバー管理ができないといった情報セキュリティ上の不安もあった。そこで明治大学は、理工学部と情報基盤本部が主体となり、学内LAN内上にストレージシステムを構築して研究室のデータを統合し、セキュアな環境下で大容量データを簡単にやりとりできる仕組みを大学の基盤として用意しようと、2007年春、プロジェクトを立ち上げた。

 システムを選定するうえで問題となったのが“データのポリシー管理”だった。「企業であれば、情報システム部門がポリシーを集中管理できるが、大学、特に理工学部では各研究室が独立した管理主体となる。言わば、教員を中心とした“個人商店の集まり”のようなもの」と、明治大学の齋藤氏は語る。他大学とプロジェクトを組んでいる教員は外部アクセスを許可したい、といったように、それぞれの研究に沿ったポリシーで運用したいのだ。そのため、研究室内でメンバー管理やアクセス権限を自由に設定し、大学側が堅牢かつ大容量ストレージとユビキタス環境、セキュリティ、そしてユーザサポートを提供する──齋藤氏は、こうしたイメージのもと、ベンダーの選定を始めた。

 大学の運用に対応した大容量ストレージシステムは当時としては前例がなく、複数のベンダーに声をかけた中で、齋藤氏のイメージに合う新システムを提案したのが富士通だった。しかし、「前例のないシステムではありましたが、富士通には以前から手厚い体制を組んでシステムを構築していただいていたこともあり、安心して任せられました」と齋藤氏は言う。

◆前例のない大容量キャンパスストレージ

 「明治大学キャンパスストレージシステム」では、Windowsファイルサーバ3台を、それぞれファイバチャネルで「ETERNUS(エターナス)4000」と接続し、合計212Tバイトのストレージを用意した。これをユーザからは1台のファイルサーバに見えるようDFS(分散ファイルシステム)サーバで統合。また、Windows Serverの「ダイナミックディスク」を利用して1ボリューム64Tバイトを実現するとともに、利用者に割り当てられた領域の変更に対し柔軟に対応できる構成とした。障害対策に関しても、RAID6を採用してディスクの二重故障にも対応するなど、データの保全性を考慮した。

 ストレージアクセスの認証にはActiveDirectoryを利用し、研究室の管理者による研究室データへのアクセス制限は、富士通の大学向け統合アカウント管理システム「Campusmate/ICAssist ユーザーマネージャ」で行う。大学側があらかじめ各研究室にフォルダを割り当てておき、研究室の管理者は、Webブラウザ上から自分が所属する研究室のフォルダに対してだけ、あらかじめ登録されたActiveDirectory上のユーザの登録と、フォルダへのアクセス権を自由に割り当てればよい。

 このキャンパスストレージシステムは、3つのキャンパス(生田・駿河台・和泉)のどこからでも学内LANを介して24時間アクセスでき、またVPNを経由して学外からもアクセスできる。ストレージ容量は最大650Tバイトまで拡張可能と、将来のデータ増大をすでに見据えた構成となっている。

◆クラウド時代の学内統合サービスへ

 明治大学キャンパスストレージシステムは今年6月に運用を開始し、現在は理工学部と農学部を中心に、教員200人、学生7,000人が研究活動に活用し、他のキャンパスからも利用可能である。齋藤氏は「狙いどおりのシステムが構築できた。私の研究室内で以前構築していたファイルサーバよりも格段に速くなり、認証もスムーズで、安心して手軽に使える。生田キャンパスと駿河台キャンパスを行き来することの多い私にとって、両キャンパスからアクセスできるメリットは大きい」と語る。齋藤氏の研究室の院生でTAを努める島崎氏も「TAの仕事で外出する際、今までのようにUSBを持ち歩かなくてよくなり、大容量データも取り出せるので、作業効率が非常に上がったとTAの間でも好評」と言う。

 今後の展開について齋藤氏は「“学内ペーパーレス”の基盤としての活用はもちろんだが、私としては、今の大学そのものの情報基盤サービスのあり方をもう一度見直して、今の学生のニーズに合った利活用シーンの拡大を図っていきたい」と語る。一昔前の学生は、コンピュータを使うために大学のPCルームへ通っていたが、今の学生はコミュニケーションや情報収集のツールとして携帯電話を活用している。にもかかわらず、大学にLANをはり巡らせてPCが使える箱を用意するだけでは学生の利用率は高まらないと齋藤氏は考える。「キャンパスストレージシステムは、これからの大学に必要な情報基盤の第一歩。IT業界では“クラウドコンピューティング”が注目されているが、大学もそういった情報基盤を提供することが必要。今後は、現在独立して存在している各サーバを学内LAN上に集約し、付加価値の高いサービスの提供を目指していきたい」と締めくくった。
《柏木由美子》

関連ニュース

特集

page top