子どものネット利用は保護者の判断で——子どもネット研、第一期の活動結果を報告 | RBB TODAY

子どものネット利用は保護者の判断で——子どもネット研、第一期の活動結果を報告

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座長のお茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科先端融合系 教授である坂元章氏
  • 座長のお茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科先端融合系 教授である坂元章氏
  • 子どもたちのインターネット利用について考える研究会の活動。判断材料を保護者や子ども、Webフィルタリング会社、PTA、NPOなどに提供。判断をするのはあくまでも保護者だとする
  • 子どもを取り巻くインターネットに関する最近のトピック。2009年1月以降は、子どもが携帯電話を利用する場合は原則としてWebフィルタリングが適用されるようになる。また、子どもに携帯電話を持たせるべきかという議論も盛んだ
  • 事務局のネットスター高橋大洋氏
  • 双方向型サイトの利用リスク。不適切な書き込みのよるトラブルは目立つが、悪意のある大人による「誘い出し」が一番危険だ
  • 双方向型サイトを子どもが利用する場合における、機能別の評価ポイント
  • 双方向型サイトにおける子どもへの配慮は、“積み上げ構造”ではなければならないとする
  • モデル教材の構成。中高生のネット利用実態、利用のリスクポイント、保護者が最低限知るべきこと、保護者に求められることの4部で構成している
 子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)は15日、第一期の活動について報告した。

 子どもネット研は、ヤフーとネットスターが事務局となり2008年4月に立ち上げた研究会。座長のお茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科先端融合系 教授である坂元章氏は、「子どものネット利用に危険があるが、それをどのように解決するのか議論を進める前提となる調査や研究が不足している。また、保護者向けの情報も十分ではない」と説明。研究会の立ち上げに至ったとしている。

 子どもネット研は、子どものインターネット利用について「個々の保護者による主体的な判断が重要で、研究会は判断結果ではなく材料を提供する」との考えで活動している。たとえば、見てはいけないWebサイトは、第三者ではなく保護者が決めるべきということだ。また、判断基準は、PTAやNPO団体、Webコンテンツのフィルタリング会社にも提供する。

 第一期中の業界の動きとしては、子どもが携帯電話を利用する場合は、原則、コンテンツフィルタリングが適用されるようになったことがあげられる。「これは保護者の主体的判断が強く求められるということ。保護者のサポートをさらに強めたい」と課題を述べた。

 さらに、子どもが携帯電話を持つことについて議論が盛んだ。子どもネット研としては、「メリットよりもデメリットが大きく、有効的な手段がない場合は、持たせないという選択肢もある。これも保護者が判断することだ」との方針だ。しかし、年齢を重ねるにつれて、いずれ携帯電話を持つことになる。「情報の安全に関する知識は、年齢を重ねれば自然に身につくものではない。携帯電話を持ったときに問題にならないような教育が必要」との考えもある。

 事務局であるネットスターの高橋大洋氏は、第一期における活動実績を紹介した。この第一期の実績としては、双方向型サイトの評価モデル策定、保護者向けリスク教育のモデル教材提案、シンポジウムの開催、ウェブサイトの開設の4つがある。

 双方型サイトとは、SNSやブログ、掲示板、プロフサイトなど、コミュニケーションの場を提供するサービスを指す。「子どもは大人よりも双方向型サイトを利用する。双方向型サイトは、違法や有害サイトではないがさまざまな問題が起きている。しかし、保護者にはリスク意識がない」というのが、双方向型サイトの評価モデルを策定した理由だ。

 双方向型サイトにおけるトラブルとしては、掲示板の不適切な書き込みがまず思い浮かぶだろう。しかしこれよりも深刻なのは、悪意のある大人による「誘い出し」、広告やリンクによる「好ましくないサイトへ誘導」、熱中することによる「長時間利用」や「依存」の3つだ。

 この中でも特に危険なのが、誘拐や暴力などの犯罪に巻き込まれる危険性がある悪意のある大人による誘い出し。この誘い出しに悪用されるのが、登録ユーザの検索機能。性別、年齢、地域を条件に検索ができるためターゲットが探しやすくなるからだ。そのためサービスによっては、検索条件を限定するなどの対策が取られている。また、誘い出しの際に利用されるメッセージ機能も18歳未満のユーザに関しては、利用が制限されるなどの対策を施している場合もある。

 研究会では、このような対策について5段階の評価基準を策定した。たとえば、メッセージ機能では、「利用者検索機能の制限、特定プロフィール公開範囲の非公開」を満たせばレベル1だが、「書き込みや投稿内容への教育的施策」まで発展するとレベル5と評価されるといった具合だ。

 しかし、「レベル1やレベル2を抜かしてレベル5に対応するのではなく、積み上げ構造の必要がある」としている。

 モデル教材は、研究会のWebサイトで公開している。自治体や学校での活用が前提で、教材の内容を元にほかの教材を作ったり、教材の一部だけを利用したりといったことも可能だ。これまでにもこのような教材はいくつもあったが、インターネットにおける問題を網羅的に掲載していたり、全年齢が対象であったため、どれが自分の子どもに必要な情報か分からないという課題があった。子どもネット研が作成したモデル教材は、中高生が双方向型サイトを利用するにあたり保護者が最低限知るべきこと、に絞っている。

 シンポジウムは、九州地区で開催したのみだが、今後はほかの地域でも実施する予定だ。

 来期の活動としては、中高生よりも下の年齢を対象にした教材の開発などを検討中で、「引き続き保護者の支援を最優先課題とする」とした。
《安達崇徳》

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