電気通信事業者協会(TCA)は、2012年2月に「青少年への携帯電話等フィルタリングサービスの加入奨励に関する指針」を改定。法律上、事業者には青少年が携帯電話(スマホ含む)を利用するときは、原則、フィルタリングを設定してサービスを提供する義務が課せられているため、スマホ等を販売する大手キャリア、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクもライバルの垣根を超えて協力し、契約時のフィルタリングサービスの導入を進めてきた。
この春も、内閣府・総務省による「春のあんしんネット・新学期一斉運動」と連動し、青少年とその保護者へスマホ等のフィルタリング啓発に力を入れていく。その施策内容など、TCAの矢橋康雄氏、NTTドコモの香村佳宏氏、KDDIの高橋紀行氏(※)、ソフトバンクの花岡隆春氏に話を聞いた。※高ははしご高

新学期に向けたフィルタリングサービス普及啓発

TCAと事業者のみなさん
「今や高校生はほとんどスマホ。中学生で半分程度、小学生も2割くらいスマホを使っています。現在大きなテーマとなっているのは利用者の低年齢化。塾に通い始めるとどうしても連絡手段が必要ということで、小学校低学年でもスマホを持っているお子さんが多くなっている。普段からも周知に努めていますが、新学期を迎えるこの時期が一番効果的だということもあり、改めて今回ポスターを作り、ショップではフィルタリングについての動画を上映しています。もちろん、これまで以上に店頭での説明、技術的な支援も徹底して取り組んでいます」(TCA 矢橋)
インターネット上では子どもにとっての残虐な情報が目に入ってしまうことがある。また、出会い系サイトなどで性犯罪に巻き込まれてしまうケースなどもある。フィルタリングはそういったネット上のトラブルから子どもを守る有力な仕組みだ。

TCAの矢橋氏

スマートフォンにおけるフィルタリングの課題
そもそもフィルタリングとは何かというと、例えば薬物に関するもの、非情に残虐なもの、性的表現が激しいものといった、青少年に相応しくないサイトに青少年がアクセス出来ないようにブロックする機能。スマホになるとサイトだけでなく、アプリについてもブロックが働くようにしなければならない。さらに、従来の携帯電話は、携帯電話事業者のネットワークを介してのみ通信が出来たが、現在はWi-Fi経由で通信ができるようになったため、Wi-Fi経由の通信に関してもフィルタリングすることが必要。そのため現在は、通信事業者のネットワークとWi-Fiの、2つの通信経路でのフィルタリングの使用を推奨している。
事業者側で制御出来ないWi-Fiやアプリについてのフィルタリングは、それぞれの端末側で設定しなければならない。利用者自身がフィルタリングのアプリをインストールする必要があるため、若干ハードルが上がっていることが課題。各社、店頭での設定サポートに力を入れている。
■店頭での設定だけでなく、家族での話し合いが重要
「青少年が携帯電話を使うときは、フィルタリングがかかった端末を使うというのが法律で決まっており、原則となっています」(TCA 矢橋)
さらに店頭では、原則、青少年が携帯電話を新規で契約する場合は保護者の利用同意書が必須。誰が利用するかをきちんと確認し、青少年が利用するのであれば、フィルタリングの必要性を説明し、設定を促す。