持たせる・持たせないではなく発達に応じた指導が必要——子どもネット研 | RBB TODAY

持たせる・持たせないではなく発達に応じた指導が必要——子どもネット研

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お茶の水女子大学 教授 坂元章氏
  • お茶の水女子大学 教授 坂元章氏
  • 江戸川大学 准教授 玉田和恵氏
  • 子どものネット利用は段階的に
  • ネット利用に欠かせない力
  • 段階的利用モデル(小学生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド)
  • 東京都小学校PTA協議会 会長 新谷珠恵氏
  • これからネットデビューする場合
  • すでに持たせてしまっている場合
 「子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)」は22日、第二期の活動について報告した。

 子どもネット研(座長:お茶の水女子大学 坂元章教授)は、学識経験者や保護者・学校関係者で構成され、ネットスターとヤフーが事務局となって創立された任意団体。SNSなどの双方向利用型サイトの利用リスクに関する評価モデルを提案した第一期(2008年4〜12月)に続き、今回報告された第二期(2009年3〜12月)では、子どもたちがインターネット利用を始める際の段階的利用モデルの検討と、小中学生の保護者向け段階的利用教材の制作がテーマになった。

 第二期テーマの選定理由として、当研究会の座長であるお茶の水女子大学教授の坂元章氏は、「“持たせない”論が高まっているが、“持たせない”“持たせる”という二項対立ではなく、間を埋めるための議論のたたき台が必要であり、子どもの発達に応じて実際にどのように利用させていくかの提案が必要」と説明。そこで第二期では、財団法人インターネット協会のトラブル相談事例、“持たせない”運動の先駆けとなった野々市町の実践例、東京都小学校PTA協議会の保護者の意向などの調査とヒヤリングを行い、研究会計4回、分科会計11回の議論を進行させてきた。

 第二期委員の江戸川大学准教授の玉田和恵氏は、段階的利用について「インターネットは大人の利用を前提にしたものであり、子どもが適切に利用するには知識と経験が欠かせない。しかしそれは自然に身につくものではなく、子どもの発達段階に応じた指導が必要」と説明。こうした考えから作成されたモデルは、ネット利用に欠かせない「モラル・コミュニケーション面(道徳的意識)」と「知識・スキル面(情報技術の理解)」という2つの能力を、4つのステップに分けて段階的に子どもに習得させることを提案している。今回のような、取り組みとオンライン活動上のリスク、子どもの発育段階を対応付けて提言するガイドラインは、海外でも前例がないという。

 本モデルでは、保護者が子どもの隣で見守りながらPC上でのサイト閲覧を認める「体験期」に始まり、以降、保護者が認める機器やサービスを段階的に増やしながら、自室へのパソコン持ち込みを認めていく「習熟期」までをモデル化。ターゲット年齢は、公立でPCやネット利用が始まる小学校中学年相当から高校生相当としているが、子どもの能力等に応じて保護者が主体的な意思決定を行う必要があるとしている。

 また研究会では、この段階的利用を前提とした保護者向け教材「小中学生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド」を作成した。前編・後編の2部構成で、それぞれ1時間半ほどの講習会を想定した本教材は、講習にあたる講師用の補助教材とともに、同研究会のWebサイトからダウンロードして利用できる。

 第二期委員の東京都小学校PTA協議会会長である新谷珠恵氏は、報告会の中で、「一律で携帯電話を持つことを禁じることは、問題の潜伏や先送りいった弊害を生んでいる。また一方で、販売側の教育的配慮のない製品・サービスが目立ち、保護者は、個々に手探りで進めるしかないのが現状」と、保護者目線からの危機感を語る。

 新谷氏はまた、保護者の適切な対応として、「これからネットデビューさせる場合は、見守りや指導が行いやすいPCでのネット利用から始め、携帯電話を持たせる場合は、PCと同じように考えず、機能制限やフィルタリングを活用すべき。逆に、すでに持たせてしまっている場合は、現時点の利用段階を把握し、子どもの能力を確認することが必要。特に、写真を含めた個人情報漏洩の問題には注意すべき」と語った。さらに、2009年1月以降に携帯キャリア3社がフィルタリングのカスタマイズ機能を改善したことや、子どもたちが携帯電話やPCよりも早い時期に利用し始めるゲーム機にもネット接続があることなどを保護者が知らないという現状もあり、保護者自体も学び、変わることの必要性も強調された。

 今回発表された段階的利用モデルは“提案”レベルであり、子どもの発達の個人差、携帯電話の普及率などの地域差も加味する必要があることから、モデル講演や教材提供、PTAや地域NPOとの協業を通して、ブラッシュアップを進め、同研究会は今後も、子どもとネットの問題についての取組みを継続していくという。
《柏木由美子》

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