【ショートコラム】ブロードバンド再編時代突入! ADSLはなくなるのか? | RBB TODAY

【ショートコラム】ブロードバンド再編時代突入! ADSLはなくなるのか?

 2008年初頭に始まったアッカとイー・アクセスの問題は、イー・アクセスがDSL事業をアッカに譲渡しつつ連結子会社化することでいちおうの決着をみた。

エンタープライズ モバイルBIZ
 2008年初頭に始まったアッカとイー・アクセスの問題は、イー・アクセスがDSL事業をアッカに譲渡しつつ連結子会社化することでいちおうの決着をみた。また、これに呼応するかのようにNTTコミュニケーションズはアッカの株をすべて手放すことを発表している(NTTコミュニケーションズはアッカの子会社化と株放出の関係を否定)。

 これらの動きを、縮退するDSL市場での生き残りをかけた再編とみるのは間違ってはいないが、延命措置のような後ろ向きの再編かというと、そうともいいきれないシナリオもある。

 ADSLも縮小フェーズとはいえ、FTTHが整備されていない地域のユーザーや、コストや利用形態からFTTHに魅力を感じていないユーザー層は確実に存在している。後者においては、モバイル環境が整備されるにつれ、固定回線は安いADSLで十分という利用形態も考えられる。家だろうと外だろうと、高速ブロードバンド接続はHSPA、WiMAX、次世代PHS(あるいはLTE、4G)を前提にして、FTTHやADSLの固定回線をバックアップや予備的に使うようなスタイルだ。アッカがNTTグループを完全に離れ、イー・アクセス、イー・モバイルとの協業はこの流れを加速する可能性もある。

 さて、こうなるとして、もう少し大胆な展開を考えてみよう。

 これからの通信事業者にとってモバイルインフラは不可欠となるだろう。すでに大手通信事業者はモバイルネットワークを中心に固定回線やサービス事業を展開している。NTTグループはFOMA網を持ち、KDDIグループはauだ。ソフトバンクグループもソフトバンクモバイルを中心にサービス事業を展開している。ウィルコムは固定回線を持たないが、次世代PHSによるMVNOビジネスが可能だ。

 イー・アクセスはアッカと組むことで、ADSLのユーザーをスケールさせ、モバイルブロードバンド市場との融合を目指す。ここで、気になるのは、残りのADSL市場のプレイヤーであるNTTとソフトバンクだ。NTTは戦略的にADSL事業を縮小していくと思われるので、シェアを落としていくだろう。じつは、ソフトバンクも総論的な戦略ではNTTと同じかもしれない。通信事業者としてのソフトバンクの基礎を作ったADSL事業だが、これをイー・アクセスグループに譲渡する可能性はないだろうか。孫氏と千本氏はお互い競争相手ではあるが、対NTTでは共同戦線を張ったりすることもある。「アッカをまとめたらYBBを売ってもいいよ。」くらいの密約ができていたとしても驚かない。

 とはいうものの、このシナリオが現実のものとなるには避けて通れない議論がある。NTTグループの分割だ。それも、過去には政治決着で存続を許したNTT持ち株を廃止した完全な分割議論だ。

 NTT持ち株が存在する限り、上記のシナリオは単にNTTグループのインフラの中での動きに過ぎず、また、それではドラスティックな再編は無意味なものとなる。固定インフラ、モバイルインフラ、バックボーン、それぞれが独立した企業として動くなら、自由な競争とすべてのプレイヤーのWin-Winな再編も可能となるのではないだろうか。
《中尾真二》

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