日本をクリエイター大国に—デジタルハリウッド大学・大学院シンポジウム | RBB TODAY

日本をクリエイター大国に—デジタルハリウッド大学・大学院シンポジウム

エンタープライズ その他
経済産業省文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課)の小糸正樹課長
  • 経済産業省文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課)の小糸正樹課長
  • 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の金正勲助教授
  • デジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長
  • プレゼン画面。日本のコンテンツ産業市場規模について
  • コンテンツ産業の有する波及効果について
  • これまでのコンテンツ人材育成事業による支援について
  • 国際コンテンツカーニバル(仮称)の開催について
 デジタルハリウッド大学・大学院は15日、文部科学省科学技術振興調整費【次世代超高精細度映像のためのCG映像制作環境の研究】第2回シンポジウムを開催した。今回のテーマは、「日本の映像制作環境の課題〜次世代に求められる技術・人・環境とコンテンツ制作の展望とは〜」というもの。秋葉原の改札から数分の距離にできた巨大ビルのひとつ秋葉原UDXの4Fにある先端ナレッジフィールド内で実施された。

 シンポジウムは全4部構成。第1部は、デジタルハリウッド大学大学院メディアサイエンス研究所NCG研究室の新垣久史氏による、「本研究の成果発表」。第2部は、スペシャルエフエックス スタジオの代表取締役で、最新映画「蟲師」のVFXスーパーバイザーを担当した古賀信明氏により、「日本映画におけるVFX最新事例」の講演が行われた。第3部は、パネルディスカッション「CG制作環境の現状と理想」。森中彦人氏(ビルドイン プロデューサー)をモデレーターに、古賀信明氏、西井育生氏(ロボット テクニカル・スーパーバイザー)、デジタルハリウッド東京本校出身の坂井隆志氏(イマジナリーパワー 代表取締役兼CGクリエイター)の3名がパネラーとして参加した。そして最後は、当大学・大学院の杉山知之学長を司会進行役として、経済産業省文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課)の小糸正樹課長と、慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の金正勲助教授による対談「日本のコンテンツ政策の展望」。ここでは、最後の官と学の両面からの非常に興味深い対談となった第4部にフォーカスして、お届けしていく。

 対談は、まず小糸課長が、日本のコンテンツ産業に関するデータや、国内施策などをスクリーンのプレゼン画面にて説明し、それに対して学問的見地から、金助教授がお隣の韓国の「韓流」コンテンツの成功事例など世界各国の事情や政策、そして意見を述べていくという形で展開した(直接的な対談ではなく、杉山学長が橋渡しをする形で進行)。逆に、金助教授と杉山学長から、小糸課長への施策などに関しての質問が行われ、それに答えるという場面も。結果、日本のコンテンツ産業の可能性や今後日本はクリエイター大国になることが非常に重要であるということを改めて感じられた。しかし、それと同時に、各省庁がまだ個別にコンテンツ産業に取り組んでいる縦割り行政が残っている点や、人材不足(特にプロデューサー職)と育成の仕組みの非効率性、スポンサー企業がコンテンツを通しての海外戦略にまで目が向いていないといった問題点が、予備知識のないものにもわからせてもらえる対談となった。

 具体的なプレゼン内容は、「知財(知的財産)立国を目指す」=「日本を世界トップクラスのデジタルコンテンツ大国にする」という日本の総合戦略(「知的財産推進計画 2006」からスタート(その中の目標のひとつに「クリエイター大国にする」がある)。そして、日本のコンテンツ産業の市場規模、コンテンツ産業の有する波及効果、国家戦略に位置づけられるコンテンツ産業振興、経産省におけるコンテンツ人材育成のミッション、これまでのコンテンツ人材育成事業による支援、映画などの製作委員会モデルやテレビ番組の広告モデルなどの方式の産業構造の現状、日本コンテンツの国際マーケットの創設、映像コンテンツ国際共同制作基盤整備(J-Pitch事業)、海賊版対策の抜本的強化、国際コンテンツカーニバル(仮)の開催などが扱われた。

 世界的にコンテンツ産業をリードしているアメリカはもちろんのこと、成功している韓国、コンテンツ産業に力を入れているフランスなど、海外の展開を見てしまうと日本の立ち後れているイメージは否めないのだが、それでも国の政策としても進展していることは感じられた。日本は、決してクリエイターの質と人数で世界的に見て劣っているわけではないが、市場が国内で完結してしまっている場合が多い(海外で放映されているアニメや販売されているゲームは多いが、必ずしもすべてが多大な収益を得ているわけではない)。

 今後、それをいかに海外に展開して収益を得るか、クリエイターが世界的に活躍できるか、さらにはそうしたクリエイターを育成・発掘できるかが、日本の将来を大きく左右する。そんな危機感と期待と両方がない交ぜになるような感想を抱けた対談であった。
《デイビー日高》

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