食をターゲットに日本の文化へ入り込む……「UberEATS」 | RBB TODAY

食をターゲットに日本の文化へ入り込む……「UberEATS」

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食をターゲットに日本の文化へ入り込む……「UberEATS」
  • 食をターゲットに日本の文化へ入り込む……「UberEATS」
  • 専用バッグを背負い、できたてのお料理を届けるUberEATSの配達パートナー
  • UberJapan株式会社 執行役員社長 高橋正巳氏
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「UberEATS」はなぜ成功した? UberJapanの社長に聞いてみた

ここ数年で日本でも急速に成長しているオンデマンドビジネス。そもそもオンデマンドとは、ユーザーの要求に応じてサービスを提供するという意味で、UberやAirbnb、Lyftといったサービスがすでに日本でもよく知られている。

インターネットやスマートフォンの普及によって、時間や場所を問わずさまざまなサービスを受けることが可能となり、いまや生活の一部として日常的に利用している人も多いだろう。

そのなかでも、スマートフォンアプリを利用したオンデマンドビジネスの新たなモデルとして世界中で利用者を増やしているのが、2009年に登場した配車アプリ「Uber」だ。Uberは、東京で実施しているハイヤーの配車だけでなく、ドライバー登録している一般人が自家用車を使い、空いた時間にお客さんを運ぶことができる、今流行りの「シェアリングエコノミー」を体現したサービスで、北アメリカを中心に世界70カ国・地域の450都市以上で展開している世界規模のビッグビジネスだ。

そのUberが、新たなサービスとして2016年に日本でスタートしたのが、レストランなどの食事をデリバリーするサービス「UberEATS」。こちらもスマートフォンアプリを利用したサービスで、東京都内の一部地域でUberEATSにアクセスすれば、150店舗以上の提携レストランのメニューを配達してくれるというもので、利用者が増加している。
専用バッグを背負い、できたてのお料理を届けるUberEATSの配達パートナー
■UberJapan執行役員社長・高橋正巳氏が考えるオンデマンドビジネスとは

オンデマンドビジネスの新たなモデルである「移動」をターゲットにして成功したUberは、なぜ新たなジャンル「食」をターゲットにしたアプリを展開したのだろう。今回は、オンデマンドビジネスにまつわる素朴な疑問を、UberJapan株式会社 執行役員社長の高橋正巳氏に聞いてみた。
UberJapan株式会社 執行役員社長 高橋正巳氏
――同じオンデマンドサービスとはいえ、UberとUberEATSでは、一見サービスの領域が違うように思えますが、新しい事業としてUberEATSを始められた経緯をお聞かせください。
t「Uberは人やモノの移動をテクノロジーで支える企業です。Uberの配車サービスは、クルマに乗って移動したい人と、乗せたい人をテクノロジーでつないでいます。一方、UberEATSの場合は、同じマッチングのテクノロジーを二者間ではなく、ある料理を食べたい人、その料理を作る人、そしてその料理を運ぶ人の三者を効率的につないでいます。また、配車アプリ同様にUberEATSは世界共通のアプリであり、現在20カ国以上で展開する海外でも非常に人気の高いサービスです。食文化の発達した日本で、新しい"食"の楽しみ方を体験していただくため、2016年9月に東京でサービスを開始しました。」

――UberEATSを日本でスタートさせた理由は、食文化にあったんですね。

t「そうですね。日本は世界でも名を馳せる食文化の発信国であり、食にこだわりを持つ方もたくさんいらっしゃいますし、数多くのレストランや飲食店がありますよね。それから出前文化や弁当文化も根付いており、デリバリーサービスを受け入れやすい土壌もありました。そのなかでマッチングテクノロジーを生かすことにより、アプリのボタンをタップするだけで、精進料理やイタリアン、エスニック料理からチョコレートケーキまで、多様な料理がすぐにドア先まで届けられるという、新しいサービスを紹介できることは、私にとってとてもワクワクすることでした。配達先としてもGPS機能を生かすことで、自宅やオフィスだけでなく、公園などの外出先やお呼ばれしたホームパーティ先でも場所を問わずにお楽しみいただけるという、新しいライフスタイルの提案にもつながりました。」

――デリバリーサービスが浸透しやすい土壌があったとはいえ、注意している点や苦労されたことなどもあったのではないでしょうか。

t「Uberの企業理念の1つである『Celebrate Cities:都市を讃える』の考えをもとに、それぞれの地域や都市のニーズに合ったサービスを展開しています。東京では狭い道路や路地裏などがあるため、配達パートナーの方々には自転車または125cc以下のスクーターで配達をしていただいたり、自転車を所有していない配達パートナーの方には、提携しているシェアサイクルを利用して配達を行っていただくなど、安全には気をつけています。また、料理の品質や状態をできるだけ保つため、季節による気候の変化にも対応している配達用の保温保冷機能があるUberEATS専用バッグをお使いいただいています。」

――Uberの成功を受け、世界中でさまざまなオンデマンドサービスが始まっていますが、同時に顧客からの高い要求と、提供できるサービスの品質(コスト)のあいだで葛藤が起きていると聞きます。市場を開拓してきたUberが展開するUberEATSのビジネスモデルがほかのサービスとは違う点はどこにあるのでしょうか。

t「UberEATSが提携するレストランパートナーは、人件費などの大きな初期投資をすることなくデリバリー業務を始められるため、少ないコストでこれまでリーチできなかったお客さまへ料理を提供することができ、新たな事業機会の創出につながります。さらに、配達パートナーは、シフトなどにしばられることなく、スキマの時間を有効に活用して収入を得ることができます。実際に学生から主婦、アーティストに至るまで、さまざまな方が参加しています。ユーザーとしても、アプリ上で注文した料理が調理中なのか、配達中なのか、また配達中の場合どこまで来ているのかが、リアルタイムでわかることもユニークな点です。そして、アプリ上で料理を届けてくれる配達パートナーの顔と名前が事前にわかるうえ、評価システムも設けているため、安心してご注文いただける仕組みになっています。そういった全体設計がきちんとなされている点が強みだと思います。」

――これだけ注目されているUberEATS。やはり利用者も増えているのでは?

t「サービス開始当初から想定を上回るほどのユーザーさまにご利用いただいており、9月に開始した当初のエリアからより多くのお客さまに体験していただくべく、現在も随時エリアを拡大しております。今後も、沢山の方々にこのサービスをご体験いただければと思います。」

■それぞれの需要に対応し、日本の文化へ入り込むことが成功のカギ

UberEATSは現在、渋谷区や港区のほか、世田谷区、新宿区、千代田区、中央区などの一部地域にて利用が可能。今後は利用できるエリアをさらに拡大しているとのことなので、近い将来、UberEATSの四角いバッグを背負ったスクーターが街を駆け巡る光景が、全国各地で見られるようになるかもしれない。

超高齢社会に突入した現在、UberEATSは、外食が難しいお年寄りにも、新たな食の楽しみを届けられる存在になるかもしれない。老若男女が楽しめる、「食」をターゲットにしたオンデマンビジネスの未来は明るいはずだ。


文:安東 渉(EditReal)
《RBB TODAY》

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