このような大人と子供に向けた鍋スープの二極化は、すでに市場にも表れ始めている。ミツカンでは定番の「寄せ鍋つゆ」のほか、今年は新商品として「海鮮だし塩鍋つゆ」や「濃厚鶏白湯鍋つゆ」など、あっさりとした大人向けのアイテムを数多く展開。カゴメでは「甘熟トマト鍋スープ」や「やさいポタージュ鍋スープ」など、ファミリー層をターゲットとしたスープをウリにしている。■鍋料理は今年の消費トレンドにもマッチ 今年の鍋のトレンドについて、商品ジャーナリストの北村森氏はまず消費増税後という点に着目している。というのも過去の実例を見ると、増税後は消費が安い物と贅沢品に偏る傾向があり、生活にメリハリを付けるようになるという。その点、豪華な食材から冷蔵庫の残り物まで、食材をさまざまにアレンジできる鍋料理は消費トレンドにマッチしている。手間をかけずに栄養バランスに優れた食事がとれるため、近年の健康志向や時短調理志向とも相性が良い。 その上で鍋料理の二極化を考えると、家族に飽きさせずに食事を摂らせるためには、さまざまなレパートリーを持つ必要があると北村氏は語っている。大人鍋と子供鍋をバランスよく取り入れ、食材やスープを使い分けること。さらに、キャラ弁やデコ寿司のブームを踏まえたうえで、子供鍋では見た目重視のアレンジもポイントとなる。例えば、今人気のキャラクターで「デコ鍋」を作って、子供に楽しくご飯を食べてもらうといった工夫もアリだろう。