【テクニカルレポート】スマート社会実現のためのOKIのセンシング技術(前編)……OKIテクニカルレビュー | RBB TODAY

【テクニカルレポート】スマート社会実現のためのOKIのセンシング技術(前編)……OKIテクニカルレビュー

 スマート社会のためのOKIのコア技術の一つが「スマートセンシング」であり、これは、温度や電力測定値などの単なるセンサ情報を扱うことだけではなく、例えば映像や加速度情報から人や物の状態や動きを認識することも含む、高度なセンシング技術の総称である。

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(図1)DMSの概要 脇見や居眠り状態を検知し運転者に注意を促す
  • (図1)DMSの概要 脇見や居眠り状態を検知し運転者に注意を促す
  • (図2)外光の映り込みの例
 スマート社会のためのOKIのコア技術の一つが「スマートセンシング」であり、これは、温度や電力測定値などの単なるセンサ情報を扱うことだけではなく、例えば映像や加速度情報から人や物の状態や動きを認識することも含む、高度なセンシング技術の総称である。

 本稿ではまず、スマート社会実現に果たすこのセンシング技術の役割について述べる。そしてこのためにOKIが開発している、カメラ映像から人を検知して状態や行動を認識する顔画像認識技術や人物追跡・計測技術と、人に装着した加速度センサや部屋等に取り付けた電波型センサを用いての人物行動認識技術について、それぞれの概要を述べる。

■スマート社会におけるセンシング技術

 OKIの目指す「環境と人に優しく、安心、安全そして快適なスマート社会」の基本的なコンセプトは、集約したセンシング情報からその場の状態や個人ごとの状態・行動を認識した上で、それに適した情報の提示や自律的な制御を行うことである。

 例えばショッピングモールで利用者にお薦め情報を配信する場合、天候や混雑状況などと合わせて、利用者個々の現在位置などの状態や直近の行動の履歴などを取得することでその人の(例えば、暑い中を歩き回ったので冷たい飲み物が欲しい、などの)欲求が推測できれば、適したタイミングで適したお薦め商品などの情報を配信できるようになり、従来の画一的な情報配信より利用者に優しく、かつ事業者には高い売上げ向上をもたらすいわゆる「スマートモール」が実現できる。

 このためには、種々のセンシング手段で周囲の状況や対象とする人や物の行動や状態をリアルタイムで認識し、さらにそれらを統合し、より高度な状態を認識した上でどのようなサービスを提供するかまでも判断することが、重要となる。後者は、スマート社会のためのもう一つのOKIのコア技術である「スマートアウェアネス」として、GEMITSプロジェクト[1]での病院情報収集システムなどに適用し、実証実験を行いながら技術開発を進めている。

 「スマートセンシング」は前者のためのコア技術であり、そのため特に「人」の状態や行動の高度な認識を重視し、以降に紹介する一連の技術開発を進めている。

※1)FSE、RESCATは、沖電気工業株式会社の登録商標です。

■顔画像認識技術

 顔画像を解析することにより、人の様々な状態を認識することができる。OKIの顔認識ミドルウェア「FSER」※1)は、画像からの顔領域の検出、目や口など各部位の特徴点座標の抽出、個人識別といった顔認識の基本機能を持つ商品で、これを利用することにより人の各種属性や状態のセンシングが可能となる。例えばFSEで抽出した特徴点情報に基づく位置合わせにより作成した性別・年代別の平均顔と対比することで、その人の年齢・性別といった属性を推定することができる。人の属性のセンシング技術は、広告効果測定支援システム「RESCATR」※1)に搭載され、デジタルサイネージ等の視認者分析や店舗の客層分析に利用されている[2]。

 FSEを利用した人の状態センシングの例として、自動車の安全運転を支援するドライバーモニターシステム「DMS」が挙げられる。DMSはステアリングコラム等に設置したカメラにより運転者を撮影し、運転者の脇見や居眠りなどの状態を検知して注意喚起を促すソリューションである(図1)。FSEの高速かつコンパクトという構造的な特長を生かし、利用環境に合わせた様々な車載端末への組み込みを可能としている。

(1)脇見の判定

 顔向きごとの平均的な画像特徴をテンプレートとしたパターンマッチングを行うことで、顔が向いている方向を測定することができる。顔が正面を向いていない状態が一定時間継続した場合に“脇見”と判定する。

(2)あくびの判定

 FSEで抽出した上唇中央と下唇中央の特徴点座標から、口の開閉度合いを測定することができる。口を開けた状態が一定時間継続した場合に“あくび”と判定する。

(3)居眠りの判定

 あくびの検知と同様に、FSEで抽出した上瞼と下瞼の座標を利用することで目の開閉度合いを測定することができる。しかし自動車の運転席は非常に明るい環境であることから、運転者が眼鏡を装着している場合には眼鏡に外光の映り込みが発生する(図2)。この影響によりFSEの上下瞼の特徴点抽出精度が低下するため、特徴点の座標だけで目の開閉を判定することが困難となる。この課題に対し、DMSでは目が“開いた状態”と“閉じた状態”の画像特徴によるパターンマッチングを行うことで、眼鏡に外光の映り込みが発生した場合でも安定して開閉判定を行うことを可能としている。目を閉じた状態が一定時間以上継続した場合に“居眠り”と判定する。

■参考文献

[1]七条則友,他:緊急搬送支援統合エージェント,OKIテクニカルレビュー第218号,Vol.78 No.1,p.28-31,2011年10月

[2]塚本明利,他:映像認識による広告効果測定支援システム「RESCAT」,OKIテクニカルレビュー第218号,Vol.78 No.1,p.32-35,2011年10月

●筆者紹介(敬称略)
保田浩之:Hiroyuki Hota. 研究開発センタ
須崎昌彦:Masahiko Suzaki. 研究開発センタシステム技術研究開発部
前野蔵人:Kurato Maeno. 研究開発センタシステム技術研究開発部

※本記事は沖電気工業株式会社より許可を得て、同社の発行する「OKIテクニカルレビュー」2012年4月/第219号Vol.79 No.1収録の論文を転載したものである。
《RBB TODAY》

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