【テクニカルレポート】公共ディスプレイと利用者スマートフォンとの連携による次世代情報提示システムの開発……OKIテクニカルレビュー | RBB TODAY

【テクニカルレポート】公共ディスプレイと利用者スマートフォンとの連携による次世代情報提示システムの開発……OKIテクニカルレビュー

本稿では、公共メディアとスマートフォン双方のセンサを活用した連携技術と、利用者の興味・関心を想起させる情報提示技術について報告する。

ブロードバンド テクノロジー
図1 公共ディスプレイとスマートフォン双方のセンサを活用した連携技術
  • 図1 公共ディスプレイとスマートフォン双方のセンサを活用した連携技術
  • 図2 利用者の気づきを誘発する情報提示技術
  • 図3 試作システムの構成
  • 図4 次世代情報提示システムの動作の様子
 駅や空港、ショッピングセンターなどの人の集まる場においては、多くのディスプレイが設置され、広告に限らず多種多様な情報が提供されている。これら公共ディスプレイでは、不特定多数の利用者に一律の情報を提供するだけでなく、例えばカメラセンサから利用者の属性(性別、年齢など)を推定し、提供する情報を変化させるものもある。このように利用者の状況に捉え、利用者の活動好奇心を満たす「今、欲しい情報・サービス」を提供できるスマート社会の実現が求められている1)。

 一方、利用者の持つスマートフォンが媒介となり、公共空間に置かれたディスプレイなどのメディアと連携することで、ネットとリアルの融合が一気に進展しつつある。特に、利用者にオンラインで情報を提供し、オフラインの店舗へ誘導するといったオンライン・ツー・オフラインを意味するO2Oサービスでは、単体メディアだけでは為しえなかった利用者との関係をいかに作り出せるかが重要になってきている。

 そこで本稿では、利用者の持つスマートフォンと公共ディスプレイの連携によって、利用者の状況に合わせた最適な情報を提供することで、利用者と情報を結びつけ、気づきを行動に変える次世代情報提示システムの開発について報告する。


公共ディスプレイと利用者スマートフォンの連携
 案内表示板やデジタルサイネージの大型ディスプレイや発券機やATMの端末ディスプレイのように公共ディスプレイの形態(設置場所、ディスプレイサイズなど)には様々あるが、これらと利用者スマートフォンを活用した連携サービスもまた観光案内や購買支援、ゲームなど様々な領域に適用されている。しかしながら、それら連携サービスはある1つのディスプレイと利用者スマートフォンを一時的に連携させるだけというものが多く、公共空間にある複数のディスプレイと有機的に結びついた連携サービスはあまり提供されていなかった。利用者に「今、欲しい情報・サービス」を提供し、利用者と情報を結びつけるためには,利用者の状況に合わせてその都度適切なディスプレイと連携する必要がある。さらにはその情報提示にも、利用者の目をとどめやすく、注意を引きつけるような工夫が求められる。

 ディスプレイとスマートフォンの連携方法には、利用者がFelicaタッチや2次元コードの撮影2)などの動作が必要である方法や、ディスプレイの周りに設置した複数のカメラからスマートフォンを持つ利用者を特定する方法3)などがある。これら既存手法では,連携する際にそれぞれのディスプレイに物理的に近づく必要があり、ディスプレイの設置場所によっては困難になる可能性がある。また複数の利用者で同時に利用した際には、ディスプレイサイズなどの条件で複数の利用者それぞれに最適な情報提示が難しいといった問題も考えられる。


提案技術
 前節から、本稿で報告する次世代情報提示システムに求められる機能要件を次に示す。
 ・複数のディスプレイにその都度、容易に連携できること
 ・複数の利用者に合わせて、注意を引きつける表示
  方法を提供できること
 これら機能要件を実現するための提案技術について、それぞれ述べる。

(1)公共ディスプレイとスマートフォン双方のセンサを活用した連携技術
 図1に示すように、公共ディスプレイに設置された距離画像を取得するカメラセンサとスマートフォンに内蔵された加速度センサを活用して、利用者のペアリング動作を捉え、その時間的な一致に基づいて、ディスプレイとスマートフォンを特定し、双方の連携を決定する技術である4)。

 まずカメラセンサから見た利用者手腕の動きとして、取得する距離画像データからディスプレイ前方にいる複数の利用者を導出し、利用者ごとのペアリング動作(例えば、スマートフォンを持った手を左右に振る動作)とその検知時刻を保存する。続いてスマートフォン内蔵センサから見たスマートフォンの動きとして、取得する加速度データから、スマートフォンごとのペアリング動作(例えば、スマートフォンが左右方向に一定以上の加速がかかるなど)とその検知時刻を保存する。次にセンサデータ管理PCにて、それぞれのディスプレイとそれぞれのスマートフォンで記録されたペアリング動作と検知時刻において、そのペアリング動作と検知時刻が一致する場合に、このときのディスプレイとスマートフォンのペア。を連携候補とする。1度の一致だけでは別の用者と誤判定する可能性もあるため、ある時間内に複数回以上で連携候補とされたペアを最終的に連携確立とする。また連携確立後も一定間隔で再度連携を検証する仕組みも導入することで、連携確立の信頼性をめる。このように複数のディスプレイに対して、利用者のスマートフォンを持つ動作だけで容易に双方を連携することができる。

(2)利用者の気づきを誘発する情報提示技術
 図2に示すように、関連する情報コンテンツ群を選択した情報コンテンツの周りに集めてくるなど、情報コンテンツをさりげなく、いろいろ見方で閲覧できる情報提示手法によって、利用者自らが情報に気づき,興味を持ってもらうことができる情報提示技術である5)(東北大学との共同研究による)。

 集団行動シミュレーションなどで用いられる局所的な相互作用から複雑な全体系を形成する創発アルゴリズムを応用することで、情報コンテンツを一様に閲覧させるのではなく、ふわふわと常に様相を変える表示方法を実現する。複数の利用者が同時に閲覧する際にも、それぞれの利用者が選択した情報コンテンツによってその集まり方が異なるなど(共通する関連情報コンテンツが中央に集まる)の表示方法によって最適な情報提示を実現する。また情報コンテンツの流速や集める速度などのパラメータを調節することで、閲覧者の視線移動量を制御することが可能であり、閲覧者の印象評価もサムネイル表示より有意であることを実験で示している6)。このように、複数の利用者に合わせて情報コンテンツに目をとどめ、注意を引きつけやすい表示方法を提供できる。


 これらの2つの技術を組み合わせることで、ディスプレイの入出力デバイスとして、そのディスプレイと連携した利用者スマートフォンを活用することもできる。利用者ごとのスマートフォンによって操作されるため、例えば利用者に合わせて表示する情報コンテンツやその集まり方を変化させることができる。また選択した情報コンテンツの詳細情報を利用者スマートフォンにダウンロードさせることもできる。例えば、スマートフォンに保存される個人情報に合わせて、ダウンロードした情報コンテンツを変化させることで、よりお客様視点での情報発信が可能になる。
《RBB TODAY》

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