SDカードに無線LANと管理ソフトを内蔵したEye-Fiが日本で発売されようとしている。3日に開催されたCEOの発表会のあと、創設者の一人であるYuval Koren氏に話を聞く機会を得たので、製品の開発経緯などを聞いてみた。 創設者の一人といったのは、Eye-Fiの設立には4人のエンジニアや商品開発のプロフェッショナルが関わったからだ。Koren氏はその一人で、前職はシスコシステムズにいた。その前はSGIというエンジニアリングワークステーションのメーカーに在席していたそうだ。他にはアップル、ロジテック(日本ではロジクール)、アセロスといった企業からエンジニア、マネージャが集まった。したがって、ベンチャーにありがちなエンジニアが自分のアイデアのみで起業したというパターンではなく、創設当初から、経営や商品開発、エンジニアリングの専門家がバランスよく配置された企業といえる。 もともとの開発動機は、極めてシンプルなものらしい。Koren氏本人も個人的な問題として、デジカメで撮ったあとの写真の処理は面倒なものであり、これをなんとかできないかと思っていた。ともすると、デジカメのメモリーカードに整理されない写真がどんどん溜まっていってしまう。この問題を解決すべく、もっと簡単にデータを保存したりシェアしたりすることはできないか、というニーズから生まれた製品だそうだ。 背景には、デジカメ、メモリーカードの進歩とネットワーク技術、とくに無線ブロードバンドの進歩がある。これらを組み合わせた製品を考えていたわけだが、当初は、現在のEye-Fiとは違う形式の製品だったそうだ。背景にいろいろな技術革新があるといっても、当初のそれは、カメラに外付けするような装置だった。しかし、市場の声やカメラメーカーのリサーチの結果、もっと革新的な技術を導入しないとだめだと決断し、メモリーカードに「すべて」を納めることにした。当然、それは不可能だという話にはなった。ベータ版の製品ができるまでは誰も信用してくれなかったそうだ。これを実現するには、SDカードサイズのエリアに、フラッシュメモリー、Wi-FiのためのRF回路、アンテナ、プロセッサー、オペレーティングシステムも詰め込む必要がある。創設者グループにはアセロスのエンジニアもいた。アセロスはRFチップやWi-Fiデバイスを多く手がける半導体メーカーだ。このノウハウや技術が開発に貢献したことは想像に難くない。 技術者だけならいろいろなアプローチで外付け装置を考えただろうが、Eye-Fiの創業者グループは、マーケターや商品企画のプロフェッショナルもおり、技術者以外の一般ユーザーのニーズを知ることができ、実際に企画に取り込むことができた。Eye-Fi実現は、各方面のプロフェッショナルがバランスよく配置されたチームプレーの賜物といったところだ。 さて、こうして製品化されたEye-Fiだが、撮影データの吸い上げは誰もが面倒と思っているように、ニーズにマッチした製品として米国ではすぐに評判になった。このことは、デジカメユーザーの撮影スタイル、利用スタイルをも変革させたという。単純には、ユーザーの半分以上は24時間以内に撮影データのアップロードを済ませるようになった。データがすぐに保存、もしくは共有されるため、撮影するときもそれを意識したものになるという。確かに、あとの整理のことを考えて撮影がおっくうになった経験がある人は、それをあまり気にせず撮影するようになるかもしれない。より自由にデジカメ撮影が楽しめるわけだ。 また、米国で新たに2社の協業が発表され、そのうちの1社は、撮影画像の文字情報を認識し、そのテキスト情報をメタタグにする(検索対象にできる)というサービスを開始するそうだ。これはビジネスツールとしての応用が期待される。米国では発売1年で、このような「化化学反応」が起きているという。最後に、日本でも同様な展開が起きてくれることを望んでいると結んでくれた。
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