仮想化インフラ導入のポイント——デルが導入事例とともに解説 | RBB TODAY
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仮想化インフラ導入のポイント——デルが導入事例とともに解説

エンタープライズ その他
マーケティング&オペレーションズ本部マネージャー 布谷恒和氏
  • マーケティング&オペレーションズ本部マネージャー 布谷恒和氏
  • 仮想化の概要
  • メンテナンスサービス業A社のケース
  • どこが仮想化に向いているか
  • コア数が多い方がパフォーマンスよく動かすことができる
 13日、都内でノベル主催による「リーディング企業群が語る最新仮想化テクノロジーセミナー〜Novel Virtualization Tour 2007〜」が開催された。最近注目を集めているテーマだけに会場は満席だったが、ここではますデルの講演から紹介しよう。登壇したのはマーケティング&オペレーションズ本部マネージャー 布谷恒和氏。「事例から見る、仮想化インフラのポイント」として説明を行った。

 氏はまず、仮想化の意義について説明。「ポイントはハードウェアとOSアプリケーションの間にひとつ層をかませて分離し、ハードウェア自体を仮想化ソフトを使って論理的に分割することで複数のコンピュータを動かそうということ。リソースを有効に活用でき、逆に言えばそれぞれのOS依存のシステム環境に対して、ひとつの大きなリソースを分かちあえることだ」と話しはじめた。

 しかし、仮想化によってサーバを統合しても、実はOSやアプリケーションのメンテナンス、バックアップ、監視などは変わらずやっていけなければならない。運用に必要なものは統合したからといって変わるものではない。ただ、仮想化した場合、サーバーをたてたり、サーバのイメージをまるごとコピーしておいたり、災害対策のサイトを統合して作ったりなどということに関しては非常にメリットがある。「ある意味、これまでと運用は変わらない部分をもちつつ、サーバーをたてる、サーバーをコピーするということに関しては簡素化、効率化できる。当然効率的なリソース活用もできるし柔軟な拡張ができる」と仮想化の基本部分について解説した。

 また欧米の例を挙げながら、「これからのシステムは間違いなく物理環境と仮想環境が混在して作られてくるし、現にそうなってきている。そうした場合には物理サーバでも仮想マシンでも一元的に管理できるツールが重要になってくる」と付け加えた。

 続いて、2007年に導入された最新の仮想化事例を紹介された。典型的でシンプルなサーバ統合の例の一として取り上げられたのが、メンテナンスサービス業A社のケースだ。A社は拠点ごとにファイルサーバをたて、合計32台の1Uラックサーバを所有し、物理的には一か所にまとめて管理をしていた。1Uラックサーバーは2世代くらい前のもので、当然OS領域とデータ領域を分け、レイド構成を組んだ状態にあり、容量が不足ししいた。実際には70Gしかない状態だった。データが増えてくるとそれぞれのサーバで増設やメンテナンスをしていかなければいけないので非常に大変だった。それを仮想化の技術を使って統合したわけだが、32台の1Uラックサーバを3台の仮想サーバに統合した。約10分の1ということで、1台のサーバを仮想化して10拠点分のファイルサーバを動かしているということになる。なおかつ、バックアップサーバと管理サーバもあわせて5台のサーバですべてを運用している。データ領域に関してはストレージに全部まとめており、ある拠点のファイルサーバのディスク容量を増設する際にも、ストレージの領域をきって仮想マシンに対して割り当ててやればディスクの増設ができるということで非常に楽になったという。また、いままでは個々にバックアップを行っていたが、バックアップの集中化が行われているため、たとえば本番環境に障害がおこった場合、非常に高速にディスクからディスクにリストアできる環境になっている。

 また、これら仮想化はデルでも行われている。これも4月にカットオーバーした新しい事例だ。同社ではEコマースのシステム以外は同じデータセンターで運用しているが、サーバ数が増えるにしたがって電源容量が限界に近くなってきていた。また、保守部品が手に入らないようなサーバ、保守がきれてしまうサーバを所有しつづけることが非常に問題になってきていた。これに対してはワールドワイドで仮想化技術を使ってまとめていこうという動きがおきており、その一貫で日本も仮想化を導入することになったという。第一段階として行ったのは開発環境の統合だ。同社では社内で使う業務アプリケーションはほぼ100%仮想化環境で開発されており、テスト、検証されたものを本番サーバに移して使うということが行われている。導入効果としては、開発、テスト、検証サーバは90台近くが日本にあったが、10台のサーバにまとめる結果になっている。「キャパシティーとしては3〜4年使っていくなかで、220台分をまかなえるだろうということで、ずっとサーバーの増設なしで3〜4年使えるものをやっている。1台あたり20台の仮想マシンを動かす念頭において作ったインフラになる」。調達コストは4割削減、また大型のストレージを入れているにもかかわらず4割〜5割の電源容量を削減できるだろうと予想している。ちなにみこのプロジェクトを行ったチームは社内で評価され社長賞をもらっているという。

 さらに、どんなマシンを、どんなアプリケーションを仮想化していったらよいか?という問いに対して出されたのが下の図だ。この図が非常に重要だと氏は指摘する。同社のIT部門もこの図をもとに仮想化を行ったという。図で言うと右上の部分が非常に仮想化に向いている。プランするときはここから仮想化し、いろんな方向に展開していくといいという。

 また、氏はクロック数が高いサーバよりもコア数が多い方がパフォーマンスよく動かすことができると説明した。マルチコアサーバは、アプリケーションがマルチコア対応になっていないとバランス良く動かすのは非常に難しい。氏は「仮想化というのは、仮想化のソフトウェア自体がそれぞれのコアに対して非常にバランスよく運用する機能が入っており、それぞれのコアに仮想マシンを割り当てて運用することができる。いまならQuadコアを考慮してほしい」と話した。また、仮想マシンの実態はサーバーのローカルではなく、ストレージのほうに置いて、仮想マシンは別々にメンテナンスするのが大切だと付け加えた。
《RBB TODAY》
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