韓ドラ『イルタ・スキャンダル』はコメディありサスペンスあり!名作の予感がするヒューマンドラマ | RBB TODAY
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韓ドラ『イルタ・スキャンダル』はコメディありサスペンスあり!名作の予感がするヒューマンドラマ

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Netflixシリーズ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」独占配信中
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 1月半ばより始まった韓国ドラマ『イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~』(Netflixで独占配信中)は、題名とは裏腹に、今のところ“キュン”とするような場面はない。オープニング映像は、主役の男女が交通事故を回避しようと乗り物のブレーキをかけ、お互いがどんな人物なのか気づいたところでパパラッチされる、といった内容なので、これからラブコメへ舵を切っていくことは予想される。

 しかし、4話までの内容を振り返ると、コメディやサスペンス色の強いヒューマンドラマといったところ。なので、ラブコメだろうと予想して観ない選択をしている方は、ぜひ考えを改めてみてほしい。キャスティングもハマっており、テンポも良く、コメディとサスペンスの匙加減が絶妙。今後どんどん面白さを増していきそうなドラマだからだ。(以下、ネタバレあり)

総菜店社長と塾講師という異色の組み合わせ


 主人公は、元国家代表選手で総菜店「韓国代表」を営むナム・ヘンソン。早くに母を亡くし、おそらく自閉症スペクトラムで心疾患の弟ジェウと、姉の捨て子である姪ヘイを養うため、ハンドボールの道を断念。選手時代より攻守の切り替えが早く、真っ直ぐで責任感のある人物だ。

 もう1人の主人公は、進学塾「ザ・プライド」きってのナンバーワン(イルタ)数学講師チェ・チヨル。授業内容が分かりやすいのはもちろん、容姿端麗でユーモアセンスが抜群のため、受験生と教育ママの間でカリスマ的存在を誇っている。しかし、素顔は神経質な性格で人付き合いを嫌い、過過去のトラウマによる摂食障害と睡眠障害に悩んでいる。

 まったく接点のなかった2人だが、ある日高熱で入院したジェウと栄養失調で点滴を受けたチヨルの間で生じたトラブルにより、悪縁が始まる。動物好きのジェウが虎の絵が描かれたチヨルのジャケットを撮影したことで、チヨルは盗撮されたと思い込み、スマホを奪取。足の速いヘンソンに追い詰められたことで、チヨルは咄嗟にスマホを放り投げ、逃げ去ったのであった。

 しかしチヨルは、部下チ・ドンヒ室長が買ってきた「韓国代表」のご飯なら吐かずに完食できることに気付き、以前トラブった相手と気付きつつも、お忍びで「韓国代表」の常連客に。最終的にジェウの指摘で正体がバレ、ヘンソンに塩対応されるも通い続ける。

 それと並行し、数学だけは自力で勉強するのが限界というヘイのため、ヘンソンはチヨルの講義を申し込み、毎回行なわれる席取り合戦も勝利を収めるように。前列で講義を受けられるようになったヘイは、授業に積極的に参加し、チヨルからも一目置かれるようになる。

 そんな中、再びヘンソンとチヨルがトラブって総菜店で言い合っているところに、ヘイが帰宅。遂にヘイの塾講師が虎男であり、「韓国代表」店長がヘイの母であることをお互いに認識。それぞれの立場を理解すると、カチコチに凍っていた関係性に雪溶けの兆しが見えてくるー。

Netflixシリーズ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」独占配信中


 ヘンソンを演じるのは、数々の受賞歴を誇り、近頃は映画『非情宣言』の気丈な国土交通大臣役が印象的だったチョン・ドヨン。正義感が強く真っ向から勝負をしていくヘンソンは、ともすれば少々やかましいキャラクターになりうるが、ドヨンの肩の力を抜いた自然体な演技で、とても魅力的な人物となっている。

 チヨルを演じるのは、チョン・ギョンホ。厳しくて人に誤解されがちだが熱い心の持ち主というのが、代表作であるドラマ『賢い医師生活』のジュンワンにも通じるところ。冒頭、映画『キングスマン』風CM撮影でのアクションやダンス、講義中のハイキックに手慣れた板書使いなど、ナルシストなやさ男を嬉々として演じている。

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手堅い大人キャストに初々しい高校生キャスト


 ヘンソンと共に総菜店で仕事をするのは、弟のジェウと親友のヨンジェ。ジェウを演じるオ・ウィシクは、ドラマ『恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ』『女神降臨』など特にラブコメ作品の名脇役として、わりと真面目なキャラクターをそつなくこなす印象が強かったので、今回は彼の新しい面を見ることができて驚いた。キャラクターの個性を活かしたツッコミや例え話も、かなり冴えている。

 ヨンジェを演じるのは、イ・ボンリョン。様々な作品で幅広い役柄を演じている俳優だが、個人的にはドラマ『それでも僕らは走り続ける』の映画会社社長役、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の人権派弁護士役が強く印象に残っている。そんな彼女が主人公の親友役を演じることを知った時点で、筆者はこのドラマの完走を心に誓った。ボンリョンが演じる、頼もしくユーモアのあるキャラクターには全幅の信頼を置けるからだ。実際、ヘンソンとヨンジェの会話は毎度面白く、本作のハイライトの一つと言ってもいい。スマホ泥棒(チヨル)に対し「五臓六腑を引き出して丸めて麺にしてやる」「目玉でビリヤードもしよう」と話し合うシーンにはお茶を吹き出しそうになった。

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 ヘイの同級生の母たちのキャスティングも神がかっている。ヘイをライバル視するスアの母スヒを演じるのは、キム・ソニョン。優しい母役を演じることもあるが、ドラマ『十八の瞬間』では主人公の恋路を邪魔するスパルタ教育ママを熱演。今作のインフルエンサー教育ママ役も、まさに適任である。

 ヘイと仲の良いダンジの母ミオクを演じるのは、ファン・ボラ。ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』などでコメディエンヌっぷりを発揮してきた彼女は、本作でもスヒの腰巾着役として、体当たりで笑いを提供している。

 ヘイと仲の良いソンジェの母ソジンを演じるのは、チャン・ヨンナム。ドラマ『王になった男』大妃役や、ドラマ『サイコだけど大丈夫』精神病院看護長役など、目が全く笑っていない笑顔のまま非情なことをするような役柄が得意だが、本作でもその力を発揮。

 4話のママ会シーンは地獄だった。元々お互いをよく思っていなかったスヒとソジン。スヒが遅刻したソジンにネチネチと嫌味を言ったことで、高学歴弁護士のソジンが反撃。スヒが激昂する中、ソジンはガン無視した挙句、フルーツの種をプッと吐き出す。私が2023年に観た映像の中で一番面白かった場面である。

 ヘンソンの姪ヘイを演じるのは、『私たちのブルース』で一躍有名になったノ・ユンソ。その他、高校生役のキャストはイ・チェミン(ソンジェ)、リュ・ダイン(ダンジ)、イ・ミンジェ(ゴヌ)、カン・ナオン(スア)と、まだ知名度もキャリアもこれからのフレッシュなキャスティングに。第3話、ヘイが階段から落ちかけた際に背中を足で支えて助ける、という漫画のような場面を披露してくれたゴヌの登場により、学生チームの人間関係も今後盛り上がっていきそうだ。

今後気になるところはサスペンスの塩梅


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 韓国では、高学歴が人生を左右する厳しい社会。本作では、塾も親も常に臨戦体制で学生たちを支えるという、熾烈な受験戦争の裏側が描かれている。チヨルは教え子の自殺に対する罪悪感を常に抱えており、ソジンは息子たちに厳格すぎて第一子ヒジェ(ソンジェの兄)との関係が崩壊している。1話目の冒頭には、1人の男子学生が逃げ惑い追い詰められている映像が流れた。2話目では、チヨンのストーカー女学生がパチンコで撃たれ、チヨンのいる時に「韓国代表」の窓ガラスがパチンコで割られる。4話目ラストには、1話目と同様の映像が流れ、物騒な事態に陥ったことが分かる。

 これまでは、チヨンとヘンソンの犬猿の仲、そしてお互いを認識してどうなっていくか、に焦点が当てられており、コメディ色が強かった。個人的にはこのテンションで進んでほしいところだが、一連の事件の展開をあまりに軽く扱いすぎても肩透かしを喰らう感じになってしまう。しかし、シリアスムード満点だと、これまでの面白みを失う可能性がある。今後、サスペンスにまつわる塩加減がどうなるかで、作品の評価が分かれていきそうだ。

Netflixシリーズ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」独占配信中
Netflix
https://www.netflix.com

■筆者プロフィール
山根由佳
執筆・編集・校正・写真家のマネージャーなど何足もの草鞋を履くフリーライター。洋画・海外ドラマ・韓国ドラマの熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。


《山根由佳》
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