【インタビュー】真のリーダーとは?J・ロビンソンをヒーローにしたマネジメント力(後編) | RBB TODAY

【インタビュー】真のリーダーとは?J・ロビンソンをヒーローにしたマネジメント力(後編)

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ブランチ・リッキーとジャッキー・ロビンソン 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • ブランチ・リッキーとジャッキー・ロビンソン 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長 田久保善彦氏
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
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  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
 グロービス経営大学院でリーダーシップ開発と倫理・価値観などを教える田久保善彦氏に、ハリソン・フォードの最新作『42 世界を変えた男』で描かれる人間力を聞いた。

──前半はリッキーからリーダーシップ力を紐解いてもらいましたが、後半はジャッキー・ロビンソンにも焦点をあててお話を伺いたいと思います。選手としての才能以外で、ロビンソンのすごいところはどんなところですか?

田久保:ロビンソンは拠り所を持っていた、ということですね。拠り所を持つことはとても大事なんです。彼の場合は奥さんのレイチェルでしたが、奥さんでも恋人でも誰でも、自分が最後に戻れる場所を作っておくことはすごく大事。どんなにつらいことがあってもずっとロビンソンに寄り添い続けたレイチェルも素晴らしい人物です。どんなことがあっても自分を理解してくれるレイチェルとの人間関係をロビンソン自身がしっかりと作れていたことも素晴らしい。孤独じゃなかったことも彼の成功に大きく影響していると思います。

──具体的にどんな人を拠り所にしたらいいのか、拠り所の選び方はありますか?

田久保:最近、世の中では「メンターを作りましょう」と言われていますが、私は「“複数の”メンターを使い分けましょう」と教えています。どういうことかと言うと、ビジネスではこの人に相談する、プライベートではこの人のアドバイスを参考にする、というように分ける。さらに、メンターがいつも正しいことを言ってくれるとは限らないので、複数のメンターを使い分けましょうということなんですね。

──アドバイスという点では、映画のなかに登場するリッキーやロビンソンのセリフもある意味メンター的な役割を果たしていると思いました。印象的なセリフをひとつ挙げるとしたら?

田久保:リッキーの「“やり返さない勇気”を持つ選手になるのだ」「奴らのレベルで戦ってはならん」「奴らに右の頬を殴られたら左の頬を出すんだ」など、いいセリフはたくさんありました。そして、リッキーの言葉にロビンソンが応えることができたのは、やはり自分が本当にやらなくてはならないことは何なのかという自己認識が強くあったからこそだと思うんです。自分が本当に大事だと思うこと、信念がないと、どんなにいいアドバイスをもらっても使いこなせないですからね。リッキーの場合は後悔の思い、ロビンソンの場合は怒りが信念になっています。リッキーはかつての自分のチームメイトだった黒人プレイヤーをちゃんと活かしてあげることができなかったという、強い後悔からメジャーリーグの変革をやろうと思った。ロビンソンは人種差別に対する畜生という怒りですよね。意外かもしれないですが、信念の発端はそんなに高尚なものじゃない、きれいごとじゃない場合もあるんです。だから、きっかけや理由は何でもいいけれど、自分の信念を見定めることができた人は決してブレることがないですね。

──ロビンソンのような何かに挑戦するポジションに立たされたチームメンバーがいる場合、モチベーションを維持させるために上司がするべきこと、心がけるべきことはどんなことですか?

田久保:すごい部下、やる気のある部下が出てきたときは、もう一段高い目標を持たせてあげる、もう一段高い仕事の意味づけをしてあげる、それをやり続けることが、その人の能力を最大限に発揮させてあげる最大のポイントです。リッキーがロビンソンに自分自身の存在の意味を語り、ここで諦めたら意味がないと語ったことによってロビンソンは高みに行くことができたんです。また、それをするために必要なのは上司が成長し続けること。いいチームを作るということはトップにいる人が成長し続けることです。リッキーは、大リーグチームのオーナーとして成功していたのですから、ロビンソンを選手にするということは、必ずしもやる必然性のない新しいチャレンジだったと思います。しかし、そこに踏み出し、チャレンジをし続けた。チャレンジする部下を操れるのは、チャレンジするボスだけ。部下を成長させたければ自分が成長すること、これは上司の鉄則ですね。あと、映画の冒頭でリッキーは「決めた!」と言うんですが、その「決めた」というセリフも印象深いですね。というのは、やり方を考える前にやることを決める、何年までにこれをやる、決めたあとにやれる方法を考える、多くの起業家の方が言うセリフでもあるんです。

──リッキーが率いるブルックリン・ドジャースはやがてひとつとなり、最大の成果を出します。一番の成功ポイントはどこにあると思いますか?

田久保:それは、この映画が持つ大きなメッセージにもつながっていると思います。人は“変わる、もしくは変われる”ということですね。リッキーとロビンソンが向かい合うことで、最初はみんな反対していたのに最後にはチームになる。人は変わることができる、人は乗り越えることができる、そういうメッセージをこの映画から受け取ってほしいですね。
《新谷里映》

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