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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第28回 2015年度には最大1Gbpsの通信がモバイル環境で実現?!

エンタープライズ モバイルBIZ
LTE-Advanced屋外伝送実験に使用した車両。背後のビル屋上に基地局があり、車両の天井に設置された端末側アンテナとの間の通信に実際にLTE-Advancedの通信を使用。
  • LTE-Advanced屋外伝送実験に使用した車両。背後のビル屋上に基地局があり、車両の天井に設置された端末側アンテナとの間の通信に実際にLTE-Advancedの通信を使用。
  • 実験車両内部の通信装置、モニター等。
  • 実測で600Mbps前後の通信速度が出ていることがわかる。
  • LTEとLTE-Advancedの仕様比較
  • LTE-Advancedは既存のLTEと互換性が高い
  • LTE-Advancedの主要技術
  • 複数のLTE帯域を束ねて利用するキャリアアグリゲーション
  • 異なる基地局を同一エリア内に混在させて展開するヘテロジーニアスネットワーク

■ユーザー密度に緻密に対応できる「ヘテロジニアスネットワーク」

 携帯電話基地局のカバーエリアは一般的に周囲数kmをカバーする。人口が密集するエリアではその範囲を数百mまで狭め、その分多数の基地局を配置することで通信の混雑に対応してきた。LTE-Advancedでは、広いエリアをカバーする基地局(マクロセル基地局)と、ごく一部だけをカバーする基地局(スモールセル基地局)を混在させ、利用者が多い場所での通信速度の確保するという「ヘテロジニアスネットワーク」を導入していくという。

 ただしこの場合、マクロセルとスモールセルが同一周波数では電波干渉を起こすことが考えられるし、ユーザーが移動しながら利用する場合はハンドオーバーが頻発し、通信の安定性が劣化する不安もある。このため、基地局とモバイル端末をつなぐ無線部分のコントロールを1カ所にまとめて制御するC-RAN(Centralized Radio Access Network)という技術を用いて安定して通信ができるよう工夫されてきた。LTE-Advancedではさらにこれを発展させ緻密な基地局構成を実現させる「高度化C-RANアーキテクチャ」が導入され、また前述の「キャリアアグリゲーション(CA)」技術と合わせて高速大容量な通信をスムーズに行えるようにしていく。

 モバイルサービスの発展には、端末とネットワークの両方が歩調を合わせて進化していく必要がある。LTE方式のサービス開始後、すでに最大通信速度やMIMOのサポートなどに進展が見られている。市販されているLTE対応端末のほうもじつは新技術に対応させたものが徐々に市販されており、対応通信速度や変調方式、MIMOのサポート状況により「カテゴリー」分類されている。ネットワークと端末が上位カテゴリーで対応していれば最大の通信速度を出せるが、どちらかが対応していなければ低い方の基準で利用することになる。2015年度のサービス提供開始を目指しているLTE-Advancedはさらに上位のカテゴリーに位置するもので、対応端末で利用すれば最大のスペックが出せるが、Advancedに対応していないLTE端末であっても、現行のLTEのスペックでは利用可能となる。

 いずれにしても、こうしたネットワーク技術の仕様を睨みながら、端末メーカーは対応端末の設計に取り掛かっているところであろう。さらに高速大容量な通信が可能となるモバイル通信サービスの上でどのような端末機能やコンテンツ、アプリケーションが展開されていくのだろうか、夢が大いに拡がるところだ。
《木暮祐一》
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