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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第28回 2015年度には最大1Gbpsの通信がモバイル環境で実現?!

エンタープライズ モバイルBIZ
LTE-Advanced屋外伝送実験に使用した車両。背後のビル屋上に基地局があり、車両の天井に設置された端末側アンテナとの間の通信に実際にLTE-Advancedの通信を使用。
  • LTE-Advanced屋外伝送実験に使用した車両。背後のビル屋上に基地局があり、車両の天井に設置された端末側アンテナとの間の通信に実際にLTE-Advancedの通信を使用。
  • 実験車両内部の通信装置、モニター等。
  • 実測で600Mbps前後の通信速度が出ていることがわかる。
  • LTEとLTE-Advancedの仕様比較
  • LTE-Advancedは既存のLTEと互換性が高い
  • LTE-Advancedの主要技術
  • 複数のLTE帯域を束ねて利用するキャリアアグリゲーション
  • 異なる基地局を同一エリア内に混在させて展開するヘテロジーニアスネットワーク

■iPhone5の登場で一躍認知度が上がった「LTE」

 3Gサービスは2001年のサービス開始当初の通信速度は下り最大384kbpsというものであったが、サービス提供と同時により高速大容量な通信サービスが可能な技術が追加されていき3.6Mbps、7.2Mbpsと高速対応を続けてきた。現在ではソフトバンクのULTRA SPEEDで下り最大42Mbpsという通信サービスの提供も行われている。

 一方、3Gの後継サービスの本命とされるのが、NTTドコモが2010年12月から「Xi(クロッシィ)」としてサービス開始したLTE方式(Long Term Evolution)である。昨秋からはiPhone5の発売開始にあわせ、KDDIやソフトバンクでもLTE方式のサービス提供を始めており、イー・アクセスを含むケータイ4キャリアでLTE方式の本格的な展開が開始されたところである。LTE方式では下り(基地局→端末の通信)には直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上り(端末→基地局の通信)にはシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA:Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を採用する。OFDMAは、1ユーザーのデータを複数の搬送波(サブキャリア)に乗せるもので、マルチキャリア変調とも呼ばれる多元接続技術である。

 現在、LTE方式では一部地域で下り最大112.5Mbpsのサービス提供(NTTドコモ Xi)も始まっているが、今後もさらなる高速化が進められていく予定だ。すでにNTTドコモは1Gbpsクラスの通信速度を出せる「LTE-Advanced」の実証実験を2011年から開始している。そのNTTドコモが22日に、神奈川県横須賀にあるドコモR&Dセンターにて実証実験の様子を報道関係者向けに公開した。

 LTE-Advancedの実証実験では、これまで屋内に基地局装置と端末の役割を果す装置などが設置され通信実験が行われてきたほか、実験車両に装置を搭載して移動しながらのフィールドテストも実施してきた。屋内の実験では、基地局を想定したアンテナと、端末を想定したアンテナ間で通信を行い、その通信速度や電波特性などを検証していた。また実験車両を使った移動しながらの通信実験では、屋外を時速10kmで走行しながら通信の状況を見るというもの。これでも通信速度は600Mbps前後の通信速度が計測できていた。

 LTE方式には「キャリアアグリゲーション(CA)」という要素技術が取り入れられる。これは1ユーザーの通信が複数の周波数帯をまたいでも通信できるようにする技術である。たとえば2GHz帯と800MHz帯で通信サービスを展開する場合、3Gサービスでは2GHz帯でつながった場合は2GHz帯だけ、800MHz帯でつながった場合は800MHz帯だけ使って通信をしていたが、LTEでは1ユーザーが2GHz帯と800MHz帯の両方を同時に使用して通信させることが可能となり、これによって高速大容量の通信を実現させている。

 また、LTE方式では複数のアンテナを備えて経路を多重化させるMIMO(Multi Input/Multi Output)という要素技術も取り入れられている。基地局と端末の双方に複数のアンテナを装備することで通信経路を多重化し、通信速度を向上させるというものである。現在提供中のLTE方式では基地局にアンテナ2つ、端末にアンテナ2つの「2×2」のMIMOとなっている。この場合、基地局が同時にやり取りできる端末は1台だけとなり、複数の端末がエリア内に存在する場合は、時分割により複数のユーザーでチャネルを共有している(「SU(Single-User) MIMO」、その分速度は低下する)。NTTドコモでは、さらに基地局のアンテナを4つにする「4×2」というMIMOの実証実験を行なっている。アンテナを現行の倍にすることで、通信経路をさらに多重化させていこうというものである。「2×2」の通信経路を2ユーザーが同時に利用でき、さらにエリア内にユーザーが増えた場合は時分割で処理していくという。

《木暮祐一》
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