【インタビュー】世界で一番愛される航空会社へ……JALのCAが心がけるサービスの極意とは? | RBB TODAY

【インタビュー】世界で一番愛される航空会社へ……JALのCAが心がけるサービスの極意とは?

 長期休暇の旅の途中や出張の行き帰りなど、飛行機に乗る多くの人は非日常的な体験をしている真っただ中にある。そんな空間にふさわしいプロの接客を行うのが客室乗務員の人達だ。

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インタビューに答えてくれた3名
  • インタビューに答えてくれた3名
  • コミュニケーションを取るため、メッセージカードを用いることも
  • チーフキャビンアテンダントの中田氏
  • キャビンアテンダントの羽田氏
  • キャビンアテンダントの小関氏
  • 搭乗便の情報収集などを行える、ブリーフィングステーション
  • ブリーフィングステーションにはこんなBOXも
 長期休暇の旅の途中や出張の行き帰りなど、飛行機に乗る多くの人は非日常的な体験をしている真っただ中にある。そんな空間にふさわしいプロの接客を行うのが、客室乗務員の人達だ。長い旅の間を座席に押し込められていても、不快な思いを感じさせない「サービスの極意」がそこにある。

 上質なサービスは一体どういった精神から生まれ、どのような技術をもって提供されているのか?今回は日本航空(JAL)でチーフキャビンアテンダントを務める中田氏、およびキャビンアテンダントの羽田氏、小関氏に話を伺ってきた。(以下、敬称略)

■家族のような安心感を

 「世界で一番お客様に愛され、選ばれる航空会社」をスローガンにしているJAL。その客室乗務員がサービスの心得として意識しているのは、まずはお客様の目線に立つこと。そして、家族のような安心感を与えられる接客を心掛けているのだという。

 「年末シーズンになると飛行場へのアクセスも大変混み合い、セキュリティチェックにも順番待ちの列ができてしまいます。大変なご苦労の上で搭乗されているので、まずはお客様それぞれにあった言葉をかけることが大切ですね。雑誌で顔をあおいでいるような人には飲み物をお出ししたり。それが無理なようなら、せめておしぼりをお渡しするようにしています」(中田)

 「ただ、こちらから一方的に行う、というのではサービスとは呼べません。お弁当を食べている方にお飲み物が必要かどうかお伺いするのも、2度3度と繰り返すとご迷惑になりますので。乗務員同士で情報を共有することで、不愉快な思いをなさらないように心がけています」(小関)

 「お子様連れなど、ご苦労をされているお客様を見かけたときは、荷物を運ぶのをお手伝いしたり、さりげなく“何かお忘れ物はないでしょうか?”とお伺いすることがありますね。以前に子供のコートを忘れたお客様がいらっしゃいましたが、飛行機が飛んでからでは遅いので、お客様のご様子やタイミングを見てお声をかけるようにしています」(羽田)

 このように、搭乗前や離陸後まで、常に搭乗客に気を配り、様子を伺っている。マニュアルに記載された通り一遍の対応ではなく、その人の状況、要望をくみ取っての接客を心掛けているとのこと。

 「到着のときには電子機器を切っていただいたり、座席や足置きなどを元に戻していただくのですが、その方にあった言葉がけをしています。飛行機に乗りなれていなさそうな方には分かりやすいような言葉遣いを意識したり。普段から飛行機に乗っている方は、ご自身のタイミングというものを持っていらっしゃるので、ご気分を害さないようにお声掛けをしています」(中田)

■大事なのは感謝するだけでなく、それを伝えること

 国内線ではファーストクラスを除いて、飲み物を提供するときが客との唯一の接点になる。そのため、客室乗務員はこのわずかな時間の間に、どのようにして客に満足してもらえるかを考えながらサービスをしているそうだ。

 「お子様連れのお客様がいる場合には、お飲み物のフタに絵を描いてお出しすることもありますね。そういう時間もとれないようなフライトでは、せめてストローの色をお子様に選んでいただいたりすることもあります。私もそうでしたが、子供ってそういうことにワクワクするものだと思うんです」(小関)

 「ドリンクサービスの際には、メニューを伺うときと、ドリンクを渡すときの2回接点があるんです。なので、その間にお客様の表情や服装などを見て、気づいたことを素直に口に出すというのを意識しています。例えば、女性の方がかわいいスマホケースを着けていらっしゃれば、“そのケースとてもかわいいですね”と話しかけたり。気持ちを届けるというのはとても難しいですが、そういうことがきっかけになることは多いです」(羽田)

 接客するうえで特に難しいのは、サービスを提供するタイミングだという。そのため、客室内を巡回しているときは客の目を見るようにして、目が合ったときには何か言いたいことがあるのでは、と考えて声をかけるようにしているそうだ。

 「お客様の中には搭乗したらすぐに寝てしまわれる方もいらっしゃいます。そういう方をしっかり覚えておいて、お目覚めの際には、“お休みでしたのでお飲み物をお渡しできませんでしたが、何かありましたらお声掛けください”、“お目覚めに何か一杯いかがですか?”などと声掛けをしている先輩を見かけたことがあり、私もお客様の様子を把握したうえで、喜んでいただけるようなサービスができればと思うようになりました」(小関・羽田)

 ほかにも客とのコミュニケーションをとるために、メッセージカードを利用している客室乗務員も多いようだ。機内の中で短いながらも会話をした際に、誕生日だということが分かったり、還暦の旅行にJALを利用してもらえたことが分かったときなど、感謝の気持ちをこめて渡しているとのこと。

 「お客様によってはお荷物を自分の席の上にある収納にしか入れてはいけないと思っている方がいらっしゃいます。でも、安全上の問題からきちんと荷物を収納するために、ほかの座席の上の収納を使うときもあるんです。そういうときには離れた場所までお客様に足を運ばせてしまいますので、荷物を収納した座席の番号をメッセージカードに書いて、そこに申し訳ないという気持ちを一言添えてお渡ししたことがあります。そのときは、むしろお客様に喜んでいただけたのが嬉しかったですね」(羽田)

■高品質なサービスに生きるJALの精神

 JALでは、定期的にファーストエイドのトレーニングを行うことが義務付けられている。

 「つい先日のフライトのときに、乗客の方がいきなり倒れてしまいまして。脈などを調べると特に問題はなさそうだったのですが、相当にお酒をお召しになられていたようで、しばらくトイレに籠ってしまいました。なので、私はその前でお客様が出てくるのを待つことにし、その間、ほかの客室乗務員は毛布を持って来たり、お客様の座席を確認したりと素早い対応ができました。互いの役割を瞬時に把握したうえで連携しあって行動できるように、普段から訓練していた成果を出せたと思います」(小関)

 そのほか、JALでは意思や価値観を共有するために、全部で40の標語を集めた「JALフィロソフィ」を策定している。これは社員に支給されている手帳に記載されており、客室乗務員の間でもサービスを行う際の心構えとして利用されている。

 「私のグループでは、ブリーフィングの際にフィロソフィの中から一つを選び、今日はこの言葉を意識してサービスをしようと提案するようにしています。新人の客室乗務員には、それをどのようにサービスに生かすのかを考えることで、良い指針になっていますね」(中田)

 「中でも、私が大切にしていることの一つに“人間として何が正しいかで判断する”というものがあります。何かに迷ったときには、仕事のとき以外でもこの言葉を意識することで、積極的に行動できるようになるんです」(羽田)

 今回インタビューに答えてくれた小関氏はまだ新人とのことだが、その彼女が毎日の業務の中で感じたのは、JALは和のおもてなし、日本の心を待っている航空会社だということだった。乗客への感謝の気持ちを毎日のブリーフィングの中で確認し、共有する。そして、共有した感謝の気持ちや価値観を、具体的な行動に移すため、それぞれが自分の頭で考える。そんな姿勢が、JALのサービスの中に生きている。
《丸田》

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