【レビュー】バッファロー「おもいでばこ」、思い出はどこまで詰め込めるか | RBB TODAY
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【レビュー】バッファロー「おもいでばこ」、思い出はどこまで詰め込めるか

IT・デジタル フォトレポート
表示例。右下にリモコンのメニューが描かれてるのは親切。
  • 表示例。右下にリモコンのメニューが描かれてるのは親切。
  • 筐体サイズは230×35×155mm。B5サイズよりひと回り小さい。
  • 本体前面のメディアスロット。USBとSD/SDHC/MMCが利用できる。
  • 本体前面
  • 右側にあるのは取り込みボタン。取り込み中は青、終了後は緑に発光する。
  • 背面の端子類。左から、電源、イーサネット、コンポジット、HDMI、そしてバックアップ用のUSB
  • おもいでばこ本体とリモコン。
  • リモコンはケータイ風のキー配置
 バッファローが2011年11月に発売したメディアストレージが「おもいでばこ」(PD-100)だ。バッファローの製品としては非常に珍しく、IT機器に詳しくないファミリーやシニア層をターゲットに想定していることがポイントで、とにかくシンプルで分かりやすさを重視した設計となっている。


◆小さく手軽い筐体、絞り込んだI/O

 まずはおもいでばこのアウトラインから紹介しよう。筐体サイズは230×35×155mmで、重量は約600g、色はホワイトのみ。実物を手にしてみるとサイズの割には軽い印象で、持ち運びは苦ではないだろう。セットトップボックスやテレビ用のBlu-rayドライブよりもひと回り以上小さい。

 おもいでばこにはシステム領域を含めて320GBのHDDが内蔵されており、1000万画素(1枚あたり約4MB)の写真が約6万枚収まる計算。17Mbpsのハイビジョン動画(H.264形式)だと32時間分に相当する。

 インタフェースは、前面にメディアインポート用としてUSB端子とSD/SDHC/MMCカードスロットが備わるほか、メディアのインポート状況を表示する「とりこみボタン」が置かれる。背面の出力端子類は、HDMIとコンポジット端子(音声/映像)、イーサネットとバックアップ用USB(いずれも1個口)、そして電源。D2端子やRGBは備わらない。一般的なデジタルテレビにつなぐ用途ではHDMIとなるだろう。

 記者は自宅のデジタルテレビとHDMIで接続して使用した。自宅はCATVでTV・電話用・ネットをまかなっているが、これらの通信ケーブルとモデム類、AVアンプとオーディオケーブル、そしてCATV用のSTB、さらにApple TVがいずれもテレビ下に設置されており、今回おもいでばこが一時的に仲間入り。テレビ台の背面はケーブルだらけで大変なことになっている。整理するにも収拾のしようがない状況だ。せめておもいでばこがWi-Fiに対応してくれればこのカオスに拍車をかけずに済んだと思うのだが…。


◆徹底的に親切

 電源・ケーブル類の設置が済んだら、電源を投入。軽やかな音楽と共に、メニューがあらわれる。親切なのは、使い方のレクチャービデオが予め本体内に収録されていること。基本的な使い方から、ちょっとした応用編まで、用途に応じた内容の動画が収録されている。

 おもいでばこを使うには、まず写真や動画のデータをインポートする必要がある。数年前からプライベートな写真を外付けハードディスクに保存しているが、画像が増えれば増えるほどいつか壊れてデータが失われるのではという不安がよぎるのも確か。バックアップ先は多いに超したことはないので、さっそくHDDからインポートするため、USBでおもいでばこにインポートさせた。

 この際注意したいのは、おもいでばこが対応するファイルシステムはFATとNTFSで、Macで利用しているHFS+には残念ながら非対応ということ。Macユーザーの記者はFAT32でフォーマットしたHDDを別に用意しておもいでばこにコピーした。

USBを差し、またSD/SDHCカードをスロットに差し込んで画像があることを認識すると、自動的に取り込み画面に切り替わりインポートをスタートする。コピーの際はちゃんと重複画像のチェックをしてくれるところはなかなか気が利いている。SD/SDHCカードの場合は、取り込みが終わると本体右にある「とりこみボタン」の発光色が青から緑に切り替わり、インポートが終了してカードが取り出し可能になったことを知らせてくれる。もちろん、デジカメに付属のUSBケーブルとデジカメ本体をつないでのインポートも可能だ。


◆時系列で取り込みカレンダーにプロット

 取り込んだ写真は、おもいでばこが時系列で自動整理してくれる。PCだとフォルダの整理など写真の分類に時間がかかってしまうが、何も手をかけなくてもいいのはありがたい。もちろん、取り込んだ後に手動で任意のアルバムに追加することも可能だ。

 ホーム画面には「最近とりこんだもの」「カレンダー」「アルバム」「その他の機能」という4メニューから構成される。カレンダー画面は月から選択して表示、またアルバムでは「こどもの日」「クリスマス」「お正月」といったイベント単位でサムネイル/全画面のスライドショー表示ができる。

 操作は付属のリモコンでおこなうが、テレビの画面右下にはリモコンの使用法が常時表示され(非表示にもできる)ており、さらにリモコンは前面に加えて背面にも発光部が備わっており、リモコンを立てた状態でも操作ができる。またリモコンのキー配置は一般的なフィーチャーフォンに似せたものになっており、スライドショーやホーム画面へのダイレクトキーもある。

 拡大画像ページには、左にサムネイルが、右にはカメラのメーカー/機種や撮影日時が分かる「撮影情報」、登録アルバム、EXIFに緯度経度情報が含まれていれば地図が表示される。またコメントも付けることができ、メニューからリモコンを操作して入力できる。リモコンはケータイ式で入力できるので操作に迷うことはないだろう。メニューに箱の他、画像の絞り込みやアルバム登録、コメントの編集、お気に入りの編集、写真の回転などができる。また、選択した画像や動画をUSBメモリやSDカードの書き出すことも、このメニューから可能だ。

 動画についてはmotionJPEG、mp4、H.264/AVCに対応し、24Mbps以下であればフルハイビジョンサイズ動画を再生できる。静止画のスライドショーを含めて動作は軽快だが、ビットレートの高い映像を表示させようとすると読み出しに少し待たされることもある。コマ落ちなどはなかった。

 おいもいでばこには昨年1年間に一眼レフで撮りためた写真を2000枚ほど、AVCHD動画を10数本程度、合わせて15GB弱をインポートしたが、これでも使用量は5%にも満たない。長時間のフルハイビジョン動画を何十本も、という利用の仕方では320GBはあっというまになくなるが、静止画中心であれば数年間はディスクがあふれることはない。また、万が一のバックアップとして外付けHDDとの接続も可能というのも心強い。

 このおもいでばこ、設置は簡便でUIまわりやリモコンの使い勝手も総じて非常によく練られており、説明書がなくても一通りの操作ができた。おそらくデジタル機器に苦手なシニアでも、迷うことなく使えるはずだ。最近はデジタルフォトフレームを両親にプレゼント、という話を時折耳にするが、その点ではおもいでばこはプレゼント用途として最適ともいえる。バッファローとしてはこれまで未開拓だったファミリー層・シニア層を狙いにしたコンセプトの商品として考えるとUIの完成度も高い。


◆割り切った設計には好感、Wi-Fi対応を希望

 PCを持たない利用者を想定するという、設計・仕様面では思い切って割り切ったおもいでばこだが、最後に希望をいくつか。

 まず第一は、ディスクの容量はそのままでも、Wi-Fiに対応してほしい。イーサネットの接続や配線の面倒もさることながら、Eye-Fiとの連携やスマートフォンの写真同期、またアプリをリモコンとして使うなど、利用の幅が大きく広がるからだ。

 おそらくWi-Fiに対応しなかったのはハードウェアの制約というよりもアプリケーションの開発が重くなるからだろうが、外部出力はHDMIに絞る、リモコンはなくすなどして、ハードを簡素化してコストの上昇を抑えたい。無線LANルーターとのセット販売などでコストメリットが出せれば、同社のビジネスにもつながるはずだ。

 あと、大きくもなく小さくもないというサイズが少々中途半端。もうひとまわりの小型化を望みたい。PCを持ち運ぶのは面倒だが、軽くてテレビにつなげられるおもいでばこを帰省先に持ち運んで、おじいちゃん・おばあちゃんに孫の成長記録を見せる、という利用も可能になる。また縦置きできるようなスタンドも欲しい。それと細かい部分だが、メニュー画面で流す音楽は手持ちのMP3やAAC音源を利用できるとスライドショーしたときの雰囲気がぐっと盛り上がるだろう。

 ネットワーク連携というところだと、DLNAに対応させてメディアサーバー的な使い方ができれば良いとも思ったが、おそらくターゲット的には不要な機能だろう。最初からNASを購入した方がずっと安上がりというのもある。

 そして価格。家電量販店では2万円前後というのが相場のようだが、容量と機能を考えるともうひとこえ行きたいところ。1万円台前半くらいになれば購入の敷居は低くなりそうだ。
《北島友和》
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