2012年に売上高9000億円を目指す!NECのキャリアネットワーク事業成長戦略 | RBB TODAY
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2012年に売上高9000億円を目指す!NECのキャリアネットワーク事業成長戦略

ブロードバンド 回線・サービス
キャリアネットワークビジネスユニット 取締役執行役員専務の安井潤司氏
  • キャリアネットワークビジネスユニット 取締役執行役員専務の安井潤司氏
  • 業績推移
  • 2009年度の売上高実績
  • 2010年度の売上高見通し
  • モバイルデータの急増
  • キャリアICT関連支出
  • 重点事業領域
  • モバイルバックボーンソリューションの高度化
 NECは7日、都内でキャリアネットワーク事業成長戦略についての記者会見を行った。

 2009年の同社のキャリアネットワーク事業は、売上高6274億円(営業利益313億円)と前年に比べて20%の大幅減少となっている。キャリアネットワークビジネスユニット 取締役執行役員専務の安井潤司氏は、世界経済の低迷、中国ベンダの伸張、国内キャリア設備投資抑制などの原因とともに、パソリンクなど海外移動の売上減、海洋大型プロジェクトの契約遅れ、為替レートインパクトなどの原因を挙げた。具体的には、国内固定系で10%減、3G投資一巡により国内移動系の20%減、海底ケーブルシステムの大型プロジェクトの契約ズレによる30%減などがひびいた形となっている。

 2010年は、3年ぶりの前年比増を目指し売上高6700億円(営業利益400億円)を目指すとしている。その根拠になっているのが新興国市場の成長やスマートフォン普及によるトラフィック増加など世界市場の回復、パソリンク新製品の投入、海洋大型プロジェクト契約の実現、LTEWiMAXフェムトセルの売上増だ。iPhoneの累計5000万台出荷やAndroid端末の急増などスマートフォンが急速に成長する一方で、新興国ではインドの加入者が1630万台/月(累計6.2億人)になるなど携帯電話需要の増加、YouTubeなどによるコンテンツデータの増加により、トラフィックが音声からデータへと移行し、モバイルデータの急増に対応した無線アクセスの高速化も求められてくると予測。また、これに伴いモバイルバックホールのグローバルな再構築や国際間・巨大データセンター間の大容量伝送重要が増すと見る。安井氏の示したデータでは、2014年にはワールドワイドでスマートフォンの市場は携帯端末市場の3分の1を占め、2009年には一部の社ではARPUは音声とデータ通信が同じになるとしている。設備投資がモバイルキャリアが中心となり、新興国の成長率が先進国を凌駕、OSS/BSS、SDPの成長率がネットワーク機器を上回るとする。

 これらの市場に対してNECは、ワイヤレスブロードバンドアクセス、モバイルバックホール(MBH)、海洋システム、サービス&マネジメントといった重点事業領域を打ち出す。

 ワイヤレスブロードバンドアクセスについて、安井氏は「クラウドのキラーコンポーネントであり2012年には96億ドルの投資規模に成長すると予測されている。データセントリックで、よりITソリューションがより融合した形でソリューションを提供していく」と話す。同社はLTE事業で、すでにNTTドコモへの納入実績があり、これを踏まえてグローバル展開を行っていくこと、LTE基地局には高効率アンプを採用し小型省電力を図っているこや、SONの採用によりネットワークの設定やネットワークの最適化・自動化することが可能な点など技術的な優位性もアピールした。海外向けにはLTEの高速性を発揮できるスモールセルやLTEフェムトセルに注力するとした。なお、フェムトセル事業ではソフトバンクモバイルから世界初のIMS方式システムの受注、フランスSFRからRAN-GW方式システムの受注があり商用サービスが実施されるなど、これまでのノウハウをもとにLTEフェムトセルを本格展開していく。

 モバイルバックホール(MBH)については、モバイルトラフィックの急増にともない高効率で大容量、かつ低コストなパケットベースのバックホール製品の要求が高まっていると分析。「これまでのパソリンクはアクセス領域においてポイント トゥ ポイントの製品を中心に展開してきた。今後アグリゲーション領域、さらにコアネットワークに接続するメトロ領域へとパソリンクの適用範囲の拡大を図る」と強調した。

 海洋システム事業では、国際間のデータ量の増大により、新ケーブルの敷設重要が継続すると見ており、特にアジアでは2013年ころに新規の海底ケーブルシステムが開通予定。「弊社は海底中継器、海底ケーブルなど一貫して提供できる体制を持っている。(需要に)確実に対応していく」と抱負を語った。アジア各地域を結ぶ大規模光海底ケーブルシステム「Asia Pacific Cable Network 2(APCN2)」の増設プロジェクトの受注例を挙げながら、第2世代では40Gデジタルコヒーレント技術を適用していくことで、他者の2500kmに対し、3200kmの伝送が可能になるなどの優位性も紹介された。

 さらにキャリアクラウド事業として、テレフォニカ・スペイン向けSaaS事業の受注(2009年7月)、テレフォニカと中南米におけるクラウド事業協同展開合意など、テレフォニカでの構築実勢を欧州各コクキャリアに水平展開していくとした。

 グローバル展開においては、フェムトセル(ロンドン)、クラウド(スペイン)、NetCracker社事業拡大(北米)、サービス事業展開(中南米)など各コンピタンスセンターを活用していくことがキーとなると説明。また、開発外注の25%をオフショア化し国際競争力を高めていく。技術面では世界トップクラスの高効率RFアンプをLTE/WiMAX基地局へ適用、世界初の100G長距離リアルタイムデジタルコヒーレント通信機能の実証、40G光海底ケーブルシステム端局装置の実用化、などで競争力を強化していくと強調した。

 これらの取り組みにより、2012年には売上高9000億円(営業利益率9%)を実現するとしている。
《RBB TODAY》
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