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NTT、世界で初めて1Gbit/s超のマルチユーザーMIMO伝送に成功

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マルチユーザーMIMO技術
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 日本電信電話(NTT)は7日、同じ無線周波数(チャンネル)で複数の端末のアンテナに同時に通信を行える「マルチユーザーMIMO」(MU-MIMO)を用いた無線伝送において、毎秒1ギガビット(Gbit/s)を超えるデータをリアルタイムに信号処理して伝送することに世界で初めて成功したことを発表した。

 「マルチユーザーMIMO」は、将来のホームネットワークの実現に向けて、高精細映像伝送などの高速な処理を必要とする端末から小型携帯端末まで、端末の能力に合わせた高速・大容量通信が可能な無線LANをめざし開発されている技術。最新の無線LAN(IEEE 802.11.n)では、「シングルユーザーMIMO」が採用されているが、シングルユーザーMIMOでは、アンテナ数の少ない端末とアンテナ数の多い端末が混在した状態で通信をする場合、親機は受信側の端末のアンテナ数に合わせて伝送速度を決め、それぞれの端末と1端末ずつ通信を行うため、無線LANの親機の能力を十分に活用できず、システムスループットが低下してしまうという課題があった。そのため、アンテナ数の少ないスマートフォンなどのIT端末からアンテナ数の多い高精細TVなどの家電製品まで、多種多様な端末を無線によりネットワーク化し、それぞれの端末と同時に通信可能にすることで親機の能力を最大限に活用できる技術の開発が求められていた。

 NTTの未来ねっと研究所では、2008年から1Gbit/s以上のシステムスループットを目標に、IEEE 802.11acの標準化活動に参加し、空間分割多元接続通信が行えるMU-MIMO技術の研究開発に取組んでいた。MU-MIMO技術では、各端末のアンテナに自端末宛てのデータのみが到来するように、親機が電波の方向性を制御する技術であるビームフォーミング制御を高精度に行う必要があるが、同研究所ではアルゴリズムを改良し集積回路への実装を可能としたという。同時に情報圧縮技術を考案し、オーバヘッド時間の短縮も実現した。これらの結果、最大6台の端末をそれぞれのアンテナ数に応じた最適な状態で同時に通信させることができ、合計で最大伝送速度1.62Gbit/sのリアルタイム無線伝送を実現した。

 今後はシステムスループット1 Gbit/s以上の次世代無線LANの実用化に向けて、IEEE 802.11acの標準化活動(2012年12月完了予定)を推進するとともに、標準化の検討項目の1つである、マンションなど無線LAN親機が高密度に設置される環境で必要とされる干渉制御技術などの研究開発を進めていくとのこと。
《冨岡晶》
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