【インタビュー】Web2.0企業が採用するストレージシステム──米アイシロン ポール・ラザフォード氏 | RBB TODAY

【インタビュー】Web2.0企業が採用するストレージシステム──米アイシロン ポール・ラザフォード氏

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米アイシロン・システムズ エンジニア部門バイスプレジデント ポール・ラザフォード氏
  • 米アイシロン・システムズ エンジニア部門バイスプレジデント ポール・ラザフォード氏
  • ラザフォード氏
  • 中核技術:OneFSオペレーティングシステム。OneFSはハードウェア障害にも強く、アイシロン製品の導入によりデータのバックアップを行わなくなった企業も存在するほどだ。OneFSに採用されているFlexProtect-AP機能は、すべてのデータとエラー修正情報をクラスタ全体にまたがって自動分散しているため、複数のハードディスクに障害が発生してもデータの完全性が保たれるという。
  • ラザフォード氏
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 「データをロスしない」とされるクラスタ ストレージの開拓者として2001年にシアトルで設立されたアイシロン・システムズ。同社のストレージは、SANやNASと比べてその操作性と拡張性の高さが評価され、Second LifeやMySpace.comなど、大容量データを扱う多くの世界的企業で採用されている。2007年11月の発表によれば、顧客数は1年で2倍以上拡大、総数で600社を突破したという。今回は数年でここまで急成長した同社の製品・技術について米アイシロン・システムズ エンジニア部門バイスプレジデント ポール・ラザフォード氏を直撃した。

●時代の需要をいち早く見抜いて技術を開発

──アイシロンは北米、日本以外にも、韓国、ヨーロッパに拠点がありますが、地域によるターゲットの違いはありますか?

アイシロンの創設者の一人は、RealNetworks社のエンジニアでもあります。彼は、音声ストリーミングを最適化するファイルシステムに関心がありました。適したものがどうしても見つからなかったので、賢明な彼はアイシロンのシステムを開発したのです。ですから当初は音声や動画のストリーミングをターゲットにしていました。現在ではターゲットが広がり、7つの市場にフォーカスしています。いずれも技術の進展によってデータ量が増えて、大量のデータを扱っている点で共通しています。これらの市場の年間の潜在需要は700億ドル相当になります。Web自体はグローバルなものです。同じコンセプトはどの国でも通用すると言うのがこれまでの経験でありますから、基本的なターゲットは日本であろうが韓国であろうが変わりません。

──米国と日本でシェアの違いはありますか?

両国ともにシェアも売り上げも順調です。当社は、爆発的な売り上げを達成することよりも、高い品質で安定的に市場を伸ばしていくことを重視しています。非常に厳しい競争状態のなかで、当社は設立以来、大手の社会にインパクトのある重要なお客様を勝ち取っています。それは当社に対する信頼と技術の成果であり、各企業様の抱えている大きな問題を解決する手段として、アイシロンを選んでいただいた結果だと思っています。

──大容量化が進むストレージ業界ですが、最大の課題は何とお考えですか?

よく「これだけデータ量が増えると、いったいどうやって保存すればいいんでしょう?」という質問を受けますが、それはたいした問題ではないのです。大きな課題は2つあります。1つは「電源」、もう1つは「データの検索」です。電源の問題は世界中どの国でもかなり深刻な状況です。ペタバイト単位のデータをより少ないエネルギー消費で保存する方法を早急に見つける必要があります。と同時に、データが利用できる状態にないといけません。私は以前、データをテープに格納するソフトウェアを書いていたことがあるのですが、テープは非常に低消費電力です。ただしアクセス性がなく、非常に時間がかかります。この点においてディスクは優れていますが、電源に関しては工夫が必要です。2つめは、大量のデータを保存した際に、必要なデータをどうやって検索するかという問題です。これはずいぶん昔から言われていて、ますます深刻になっています。今度は、全Webに広がるPeer-to-Peerでのサーチエンジンの技術が、非常に大切になると個人的には思っています。おそらくGoogleのような会社がそれをリードするのでしょう。

──業界で話題のSaaS市場の拡大は、アイシロンのビジネスに影響しますか?

法人向けを考えると、私のようなエンジニアの立場からすれば、データが企業のビル内にあろうがインターネット上にあろうが関係ありませんが、営業の立場から言えば、データが一カ所に集まるほどよい影響を得られます。たとえば、SaaSではないですが、Kodak社のEasyShareは、Web上のサービスという点では共通性があります。ユーザー数が増えてデータをどんどんアップロードすることにより、Kodak社のビジネスも成長し、その結果我々も売り上げを伸ばすことができます。ファイナンシャルの視点からは、こうしたサービスプロバイダは非常にコスト意識が強いので、特定のベンダーとだけ取り引きすることはないでしょう。つまり、もっとも優れた技術が勝つことになります。これも、当社にとってはよい傾向です。消費者向けの市場も、当社にとって同様のインパクトがあります。そのひとつがIPTVです。米国では、テレビがすべてです。私の自宅もテレビがインターネットとつながるようになり、映画もEメールも、メモリカードも、テレビを介して使うようになりました。私の母は「パソコンはいらない。テレビがあればなんでもできる」と言っているような時代です(笑)。消費者がデータを、しかも高画像で大容量なものをネットワーク上にどんどんアップすることも、今後増え続けるでしょう。

●クラスタ ストレージは、RAIDよりも人件費と設備費をはるかに削減する

──11月に開催された「Web2.0 EXPO」のスピーチにおいて、従来型のストレージでは爆発的に増えているコンテンツに対応できない、Web2.0にもっとも優れたストレージはアイシロンのストレージである、とお話していましたね。アイシロンのクラスタ ストレージは、RAIDとどう違うのですか?

アイシロンのアーキテクチャ「OneFS」もRAIDも、データを複数のディスクに分散させ、パリティ計算によってデータを保護しているという点では共通しています。アイシロンのシステムは、巨大なRAIDボックスと考えていただくことも可能です。しかし、ディスクのみのRAIDコントローラと違い、アイシロンはボックス全体が単一ファイルシステムであり、ディスクだけではなく、データの完全性を提供するソフトウェアや、ファイルへアクセスするプロトコルも実装しています。また、データのライフサイクルを通しての管理のしくみなど、様々な機能をOneFS上で提供しています。「アイシロンはなぜRAIDよりも高いのか」という質問をお客様からよくいただくのですが、既存NASストレージ製品の導入・運営にかけていた日数や手間を考えれば決して高価ではないはずです。アイシロンのソフトウェアによって、少ない人員で巨大なディスクを管理できるようになります。CIOにとって、予算の大部分を占めるのは、人件費と設備費です。ストレージの管理費削減を実現するアイシロンの製品は、システム全体の予算抑制に貢献します。お客様の多くは、こうした管理性を評価してアイシロンを選んでくださっています。新規購入して箱を開いて容量を増強するまで、アイシロンのシステムは非常にシンプルです。

──最大1600テラバイトという巨大なストレージを、具体的にはどのようにシンプルに管理できるのですか?

実際にご覧いただくのが一番わかりやすいと思います。先日開催された「Web2.0 EXPO」の当社ブースでは、12テラバイトの増設を1分もかからず完了するというデモを行いました。当社が創設以来、繰り返し行っているデモですが、お客様は必ずエキサイトします。この他にも、増設によるパフォーマンス向上や、Windows環境との統合のしやすさ、ソフトウェアのアップグレードの簡単さなど、実際にご覧いただけば、他社のストレージがこれまでいかに複雑であったかを痛感し、また、アイシロンによって増え続ける膨大なデータの管理コスト削減や業務効率向上によるビジネス投資をより最適化することが可能とだということをおわかりいただけます。企業が抱えるデジタル・データが増加の一途をたどり、データ自体の価値が高まる時代を迎えた今、ストレージ環境をいかに最適化を低コストかつスピーディに整えることができるか、勝利への明暗を分ける大きな要因になると考えています。

●アイシロンのストレージの運用はユーザー稼働率80〜90%を実現する

──11月に新製品「Isilon IQ 12000」が発表されましたが、これは従来の製品とアーキテクチャ的に異なりますか?

ディスク容量を除くしくみや機能は、「Isilon IQ 6000」や「Isilon IQ 9000」などと同じです。私どものビジネス戦略は簡単です。つまり、シャーシやCPU、マザーボードの値段は固定なので、大容量になるほどコストメリットが高くなります。前回「Isilon IQ 9000」を発表したとき、大手企業のお客様の多くがすぐ購入したことからも、お客様がいかに容量を必要としているかがわかります。「Isilon IQ 12000」はこうしたお客様に向けた製品です。

──アイシロンのストレージの運用はユーザー稼働率80〜90%を実現するとのことでしたが、これほど高くてもパフォーマンスに影響はでないのですか?

従来のストレージでは「50%でも高すぎる」というのが一般的ですので驚かれたかもしれませんが、我々のOneFSであれば80〜90%の稼働率でも遅くなるという問題は発生しません。

──Web2.0向けのストレージ構成として、「データベース系(トランザクション)はSANで構築し、リッチコンテンツの保存にはアイシロンを利用」という提案をされていましたが、このようなすみ分けをする理由は何ですか?

現在は明確に役割分担しています。データベースはランダムで小さなI/Oが多いことが最大の理由です。データベースが一般に扱う非常に小さいデータの処理には、アイシロンのシステムは合致しているとは言えないでしょう。データベースに保存されているデータの量は比較的少ないがですが、それ以外のコンテンツは非常に膨大であり、そのような膨大かつ非構造的なデータを扱うのにアイシロンの製品は適しています。もちろん、データベースでアイシロンを採用しているお客様もいらっしゃいます。それは、拡張性よりも、データベースとコンテンツでストレージを使い分けなくていいという管理性を優先してのようです。

──最後に、ストレージの需要はますます高まり、競合も激しくなっていくと思いますが、常に動向を注視している企業はありますか?

競合会社は多数いますが、当社も相手も互いに注視している会社が2社あります。おそらくもうおわかりかと思いますが(笑)、NetApp(Network Appliance)社とEMC社の2社です。当社がストレージ業界でこういう立場にいるのは非常に興味深い状況でしょう。エンジニアの人数で言えば、当社のほうがはるかに小さい会社ですが、我々は次々と勝利を収めていますし、我々の提供する新たなソリューションにより、今後、より多くの企業がアイシロンによるストレージ環境の革新を肌で実感いただくこととなるでしょう。

──ありがとうございました。
《RBB TODAY》

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