マーク氏によるとAsteriskには、複数のエディションがあり、Asteriskコミュニティによって開発が進められている「オープンソース版」と、よりプロフェッショナル向けの「Asterisk Business Edition」に分かれていることが紹介された。なお、オープンソース版は、さらに「トランク」と「ポイントリリース」の2つに分かれており、トランクは最新の機能をいち早く採用したバージョンで、ポイントリリースはバグ対策バージョンとなる。なお、Asterisk Business Editionの方は、ポイントリリースでフォローできなかったバグを対策した安定版と言えるもので、こちらはGNU GPL(General Public License)対象外の製品となる。
オープンソース版を提供するメリットについてマーク氏は、開発や検証コストを低く抑えられるとし、正式な形でのサポートを必要とする企業にはAsterisk Business Editionを提供することで差別化を図っている。そして、Digium社の利益については、開発したオープンソースからは得ておらず、Asteriskを利用する企業や、Asteriskを採用したシステムを販売する企業へのサポートや、ソリューションの提供などによって得ていることが語られた。
続いて、Asterisk Business Editionを採用し、携帯電話を内線電話に利用するモバイルセントレックスソリューション「Prog Office」を2006年9月より販売を行っているNTTソフトウェアとの関係について紹介が行われた。NTTソフトウェアは、IP-PBX市場への参入にあたり、複数のIP-PBXソフトウェアのソースコード解析評価を行い様々な比較を行った結果、内線機能が豊富に用意されていること、メディアサーバ機能が豊富なこと、拡張APIが充実していること、独自機能の実装のしやすさなどが評価され、Asterisk Business Editionのライセンス契約の締結に結びついたとのことだ。
NTTソフトウェアのユビキタスオフィス技術プロデューサの生駒勝幸氏によると、ProgOfficeの開発にあたりDigium社と約1年に渡る共同開発を行っており、Asterisk Business Editionには実装されていない携帯電話対応機能や無線制御技術、日本独自の内線電話機能、障害発生時対策機能などが搭載されていることが紹介された。生駒氏はAsterisk Business Editionを適用したことで、短期間で高機能な製品化が実現したとし、今後の展開として、さらに導入しやすいモバイルセントレック製品の提供や、新たな付加価値のあるシステムの提供をしていきたいと抱負を語った。