【東京国際映画祭】「松ヶ根乱射事件」記者会見〜山下監督、しこりの残る映画 | RBB TODAY

【東京国際映画祭】「松ヶ根乱射事件」記者会見〜山下監督、しこりの残る映画

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記者会見は終始和やかな雰囲気で進み、撮影時のエピソードなどでところどころで笑いも取っていた
  • 記者会見は終始和やかな雰囲気で進み、撮影時のエピソードなどでところどころで笑いも取っていた
  • 会場に立てられた映画のポスター
  • 山下敦弘監督。「乱射」の解釈に関する質問に対して、やや下ネタも交え、記者団の爆笑を誘っていた
  • 父親・豊道役の三浦友和。ビッグネームである三浦が、どのような経緯で出演したかといったことに答えていた
  • 主演の新井浩文。同席の木村に、撮影時のエピソードをバラされるなど、会見ではいじられ役(?)に
  • ワケあり中年カップルの男・西岡佑二役の木村祐一。撮影中のエピソードを披露し、記者団を何度も笑わせていた。
 第19回東京国際映画祭で25日は、渋谷Bunkamuraにてコンペティション部門正式出品作品の「松ヶ根乱射事件」の上映に引き続き、スタッフおよび出演者による舞台挨拶とティーチイン(一般客との質疑応答)が行われた。その模様は、すでにお届けしたとおり。ここでは、その後Bunkamura地下1Fの特設会見場にて行われた記者会見の模様をお伝えする。

 撮影時のエピソードが語られるなど、終始会見場は記者団の爆笑に包まれ、熱心なファンの方たちによるティーチインとはまたひと味違った質疑応答であった。

 会見に出席したのは、舞台挨拶と同じメンバーで、山下敦弘、主人公の警察官・鈴木光太郎役の新井浩文、その父親・豊道役の三浦友和、謎の中年カップルの片割れ西村佑二役の木村祐一の計4名である。

 質疑応答の最初は内容に関わるため詳しくは避けるが、タイトルにもある「乱射」に関する解釈について、山下監督の見解が語られた。また、主人公が警官という設定は最初からあったのかどうかという質問に対しては、「最初から……そうだったんですかねぇ(笑)。忘れちゃいました」という山下監督の正直な発言に場内爆笑。

 また、当初は、謎の中年カップルの女性・池内みゆき(川越美和)と主人公と双子の兄・光(山中崇)が三角関係になり、最後は……というこれまた衝撃の展開だったことも披露された。そのほか、主人公と兄は似てない双子ということで二卵性なのだが、最初からそういう設定だったのかという質問に対しては、そこまでは特に決めていなかったということである。脚本を書いているうちに、似てない双子(二卵性)ということで固まっていったそうだが、山下監督によれば、新井と山中は似ているところがあるらしい。一般公開された暁には、ニートっぽい兄と、マジメなお巡りさんの弟という双子が、どこがどのように似ているのか見比べてみてほしい。

 また、三浦には、ビッグネームにもかかわらず、若い監督の作品や、規模の大きくない作品に多数出演していることに対し、その理由が訪ねられていた。それに対し、今回の役の話が来たときに、監督から何か大事なことを言われて引き受けたそうだが、本人も「なんて言われたんでしたっけ?」で、山下監督も「緊張して飲み過ぎちゃって……覚えてません(笑)」と言う、ブッチャけトークにこれまた場内爆笑状態。しかし、山下監督がなぜ三浦にオファーをしたかについては、「台風クラブ」での印象があったからとのこと。同作品は相米慎二が監督した、東京国際映画祭の第1回(1985年開催)のグランプリ受賞作品。三浦は、同作品に少々問題のある教師役として出演しており、山下監督は「豊道はその教師が年を取ったイメージ」なんだと言う。それを酔っぱらいながら三浦に話したことは覚えているそうである。

 一方の三浦も、「台風クラブ」は非常に思い出深く、教師役を評価され、ターニングポイントになった作品だと言う。また、あまり予算がない作品でも合宿のようにして撮影するスタイルの楽しさや、大作であろうとなかろうと「結局のところは面白いか面白くないかだけ」という見方を教えてくれたのが「台風クラブ」であるし、20年経った今でもそれにこだわってくれているということが、非常に嬉しいとのことであった。

 さらに、新井との親子の役柄の間で、演技の話があったかどうかという質問に対しては、演技に関してはまったくなく、プライベートな話しかしなかったそうである。現場の雰囲気については、「ハチャメチャでした(笑)」。そして、今回の撮影はリハーサルをしてから行うという、故黒沢明監督が実践していたスタイルで行われたことも報告。現在、普通の映画ではまずしないそうだが、今回はそれだったので、山下監督の作品に対する思いを吸収しながら演技できたそうである。

 そして、続いては木村へ。まずはこの作品に出演する前と後で何か変わったことはあるか、という質問である。それに対しては、自分は何もできないので言われたことをするだけという答えからスタート。実際に撮影時に、言われたとおりに後頭部の一部の髪を剃って傷をつけたのだが、ちょうど入籍会見を当時行ったらしく、映画の撮影とは言えず、また誰も聞いてくれなくて「そういう人なんだと思われていた」のにはかなり困ったようである。

 また、撮影時に怖かったというのが、湖の氷の上でのシーン。30センチぐらいの氷が張っていたようだが、そこら中からミシミシ、パキといった「割れるんじゃないか」という音が聞こえるそうで、撮影中は気が気でなかったらしい。三浦については、今回の撮影ではスケジュールが合わなくて会えなかったそうだが共演は2作目で、「いつも気さくな人」とのコメント。また、新井については、自分の撮影が翌日にあるときはお酒を飲まないと言っておきながら、実際には撮影日の前日の夕飯でビールを頼んでいたという話を暴露。次々と記者団を笑わせたのであった。

 そして最後は山下監督への、「この映画をどのように観てもらいたいか」という質問。監督は、「今までにない形で作らせてもらえて、もちろん悩んだ部分もあったが、とてもノって作れた」そうである。「キャストに関しても100点ということで、素晴らしいメンバーと役者と仕事ができて、サラリと作ってしまった映画という気がする」とのこと。観てもらった人には、「“しこりの残る映画”になってもらいたい」そうなので、後からいろいろと考えたくなる人は、ぜひチェックしておいてもらいたい。ロードショーは2007年早春なので、もう数か月だけの辛抱である。
《デイビー日高》

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