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【東京国際映画祭】「松ヶ根乱射事件」舞台挨拶〜キム兄、みゆきとは別れた!?

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舞台挨拶に登場した(左から)山下敦弘監督と出演者の新井浩文、三浦友和、木村祐一
  • 舞台挨拶に登場した(左から)山下敦弘監督と出演者の新井浩文、三浦友和、木村祐一
  • 主演の新井浩文。映像中では硬くてマジメそうなお巡りさんを演じているわけだが、この日はその特徴的なヘアースタイルを臨席の父(?)から揶揄されるシーンも
  • こちらもお笑い担当(?)木村祐一。作品中では、いろいろと大変な目に遭うようだがはたして……?
  • 映画祭初日のアリーナイベントに華やかに登場した「松ヶ根乱射事件」関係者。左から大和田廣樹プロデューサ、出演の木村祐一、新井浩文、山中崇(撮影:稲葉九)
 第19回東京国際映画祭のコンペティション部門正式出品作品である「松ヶ根乱射事件」。25日の渋谷Bunkamuraでの上映後、スタッフと出演者による舞台挨拶並びにティーチイン(観客との質疑応答)が行われた。

 スタッフからは監督の山下敦弘(やましたのぶひろ)、出演者からは主演の新井浩文(あらいひろふみ)、三浦友和(みうらともかず)、木村祐一(きむらゆういち)の計4名は出席。ここでは、その模様をお届けする。

 舞台挨拶などの模様をお届けする前に、まずは「松ヶ根乱射事件」の概要から説明しよう。同作品は、バブル崩壊直後の1990年代初頭の雪深い片田舎を舞台にした、双子の兄弟とそれを取り巻く家族や町の人々とのかかわり合いを、痛々しくもユーモラスに描いた内容だ。人間の情けなくて醜い部分も含めた奥深い描写が特徴で、観る人によって気になる部分や解釈がそれぞれ異なる作品である。

 そんな傑作を撮ったのが、ブルーハーツをコピーする女子高生バンドを描いた映画「リンダ リンダ リンダ」でブレイクした俊英・山下敦弘監督だ。そして、主人公の警察官・鈴木光太郎を演じたのが、本作で主演映画2作目となる新井浩文。その光太郎の父親で、周囲のキャラクターとは一線を画す人物である豊道を演じたのが、日本を代表する俳優のひとり三浦友和。そして、町に変化をもたらすきっかけとなる、謎に満ちた怪しげな中年カップルの片割れ西岡佑二を演じるのが、木村祐一というわけである。

 ストーリーは、雪の降り積もった田舎町・松ヶ根の路上で、早朝、女性の死体が発見されるところから始まる。警察官である主人公の光太郎は、同僚から連絡を受けて署に向かうのだが、そこから彼の人生が大きく変化していくことになる。「人間の情けない本音が見え隠れ。」というキャッチコピーがつけられた、“心にしこりの残る”人間模様が展開していくのだ(詳しくは、公式サイトを参照してほしい)。

 上映のあと、山下監督を初めとする4名が舞台に登場し、まずは挨拶。トップバッターの山下監督は、「今日は観に来てくれてありがとうございます。監督の山下です」と、“言いたいことはすべて作品中に込めた”という趣のかなり短めのスピーチ。その次の新井浩文は、「数々の作品の中から、『松ヶ根乱射事件』を観に来てくださいまして、本日はありがとうございます。公開は、来年の2月か3月ぐらいになると思いますので、面白いと思った方は、またぜひ劇場に遊びに来てください」と挨拶。主演だけに、ビシっと締めてくれた形だ。続く三浦友和は、「特にこの映画は、見終わった後にいろいろな意見があると思いますので、後ほど忌憚のない意見をお聞かせ願えればと思っております」とのこと。観る人によって、まさに十人十色の解釈ができる内容であることを出演者自らが示してくれた挨拶であった。

 最後の木村祐一は、本日の役どころを“落とす役”ととらえていたようで、ストーリーと関わる「後頭部の傷もすっかり治りました」から始まり、「一緒に出ていたみゆきとは別れましたので、1人でやって参りました」などと、西岡佑二役に徹した(?)挨拶で会場の笑いを独り占め。その一方で、「非常に見所があり、何度も観られる部分があるかと思いますので、公開の際にはお友達をお誘いのうえ、劇場に足をお運びください」と締めていた。

 その後は、観客が参加できるティーチインの時間。ストーリーの核心部分に関わる質問がほとんどだったため、具体的な内容は残念ながら掲載できないが、山下監督や新井がマジメに解答しつつ、年配者の余裕からか三浦や木村が笑いを取るという具合。

 その中でひとつだけ、山下監督に対する「この映画を題材として選んだ理由」という質問に対する解答を要約して紹介する。監督によると、もともとこの作品はプロデューサー(企画・製作)の山上徹二郎氏との会話から生まれ、最初から「双子の話」という大枠があったとのこと。そして、「小さな町の話」ということで、そこに女の子が絡んでくる、という設定だったそうだ。それが変化していき、町の話そのものを描きたいとなっていった結果、今回の内容になったとのことである。興味深かったのは、脚本作りの際はそう思っていなかったらしいが、撮影後の編集の段階で、映像を見て登場人物たちがみな「妖怪っぽいと思った」という話。その妖怪っぽいというイメージから、音楽担当のパスカルズに依頼した際に、そのまま「妖怪っぽいイメージで」としたそうだ。なぜ妖怪のように感じたかということについては、「幽霊と違って全身がちゃんとあってかわいさもあるけど、毒がある」というイメージが、映像になった段階で感じられたからだそうである。

 片田舎の普通の人々のはずが、妖怪と感じられるほどの熱演・怪演を見せている「松ヶ根乱射事件」。今回会場に足を運べなかった人は、2007年早春にテアトル新宿ほかにてロードショーとのことなので、ぜひ期待して劇場に足を運んでほしい。
《デイビー日高》
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