「サテライトオフィス」とは何か?社員に選ばれる職場環境 | RBB TODAY

「サテライトオフィス」とは何か?社員に選ばれる職場環境

ビジネス 経営

テレワークマネジメント 田澤由利代表取締役
  • テレワークマネジメント 田澤由利代表取締役
  • サテライトオフィスのメリットや利用できる補助金などを解説する「サテライトオフィス×テレワーク活用セミナー」
  • 田澤氏の講演中に表示されたスライド。本社と北海道オフィスの様子が互いにディスプレーに表示されているのが分かる
  • テレワークマネジメント 鵜澤純子氏
  • 会場となったリージャス・丸の内オフィス内の一室。外資系の訪日時や、人事などの繁忙期に利用されることが多いという
  • 1、2人からの利用を想定した個室も用意されている
【記事のポイント】
▼サテライトオフィスが交通費などの経費を削減する
▼ICTの活用で本社にいるのと同様のコミュニケーションが可能
▼国の支援もあって、浸透は今後さらに進む


■サテライトオフィスと支社の違いとは?

 総務省は15年7月7日、「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」について全15件の委託先候補を決定。地方に都市部の人材を移住させるとともに、現地での人材採用、起業などを支援している。ICTの利用によって都市部に居るのと変わらず働ける職場環境を提供することで、地方への人の流れを生み出すのが狙いだ。

 一般社団法人日本テレワーク協会によると、テレワークとは離れた所を意味するTeleと、Workを合わせた造語とのこと。ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を意味する。その働き方は大きく3つに分類でき、在宅勤務、モバイルワークに続くものとして提示されているのが“サテライトオフィス勤務”だ。

 勤務先とは離れた場所にある仕事場、つまり衛星的なポジションだからサテライトオフィス。これは一般にも理解されているだろう。とはいえ、「それは普通の支店と何が違うのか?」と聞かれると、答えられない人も多い。

 大手レンタルオフィス「リージャス」が所有する丸の内のオフィスで16年7月29日、「サテライトオフィス×テレワーク活用セミナー」が開催された。ここに、サテライトオフィスの正体と、中小企業にとってのメリットを探ってみたい。

■営業強化の都市型、郊外型は育児などの生活支援に

「サテライトオフィスは明確には定義されていません。80年頃から言葉としては存在していましたが、小さく離れているオフィススペースという位置づけでした」

 そう話すのは内閣府政策コメンテーターや総務省ICT地域マネージャーを務める、テレワークマネジメントの田澤由利代表取締役。ただ、その中でも一つ言えるのは、企業が用意した場所で、その維持費用を負担していることにあるという。

 では、その“小さく離れたオフィス”が何故企業に必要なのか。具体的な役割についてだが、実はサテライトオフィスには3つの立ち位置があり、それぞれに目的が異なるという。一番分かりやすいのは都市部に設置するサテライトオフィスだろう。利用者の多くを占めるのは営業職の人員。なるべく取引先に近い場所に仕事場を構え、移動の時間とコストを圧縮している。丸の内などの一等地にオフィスを構えることは、会社のブランディングにも貢献しているようだ。


 続いて、郊外にサテライトオフィスを設置するケースだが、これは仕事と生活の両立支援に対する役割が大きい。子育てや介護などが原因で、都市部への通勤が困難な場合でも、地元にオフィスがあれば働き続けることができる。満員電車で毎日長時間の出勤をしないで済むのは、社員のライフワークバランスにも繋がる。

 田澤氏はこれらのケースについて、企業にとってはコスト削減のメリットがあると話している。都市部にオフィスを集約させれば賃料が跳ねあがるが、地方のレンタルオフィスなどを活用すれば、費用を安く抑えられる。日本では社員の交通費を会社が負担するのが当たり前という文化だが、その削減にも貢献するはずだ。

 最後は「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」のように地方にサテライトオフィスを設立する場合だが、これは地方創生の役割が大きい。とはいえ、この場合は移住者を募ることになるので、テレワークに理解のあるIT系の方が、比較的に親和性が高いようだ。

 なお、これらは都市に本社を持つ企業の場合だが、地方の会社が都市部にサテライトオフィスを出すケースも考えられる。いきなり都市部に支社を作るのは、コストとリスクの両方でハードルが高いので、まずはサテライトオフィスから始めることがテストケースに繋がるとのことだ。

■重視すべきは本社同等のコミュニケーション環境

 これまで、在宅勤務などでテレワークを導入してきた企業では、生産性やコミュニケーションの低下などが問題視されてきた。一方、社員にとっても、社内での肩身がなんとなくせまくなり、評価が下がることもあったという。しかし、これらの問題はサテライトオフィスの導入で解決すると田澤氏は話す。

「本社とサテライトオフィスがテレビ会議やチャットで常時繋がっていれば、コミュニケーションの点では同じフロアにいるのと変わりません。仕事の環境をすべてクラウドに置くことで、いつもと同じ環境で仕事ができるようになります」

 会場では同社における東京と北海道、それぞれのオフィスの様子が資料で紹介された。設置された大型モニターによって、双方のオフィスの様子が互いに映し出され、まるで同じオフィスにいるかのように誰かを呼んで話しかけられるという。

「そもそも何で毎日会社に通うかというと、そこに仕事をするための道具と仲間が集まっているから。だから、台風や大雪でも通勤しようとするし、支社を作る時にも機材や部下をそろえることになるわけです。普段のオフィスと同じ環境を用意すること。それがサテライトオフィスの大きなポイントですね」

■進む国の支援、ライフワークバランスの一助に

 会場ではテレワークマネジメントの鵜澤純子氏より、テレワーク導入に利用できる補助金についても紹介があった。

 厚生労働省「職場意識改善助成金」、東京しごと財団「女性の活躍推進等職場環境整備助成金」、東京都「TOKYO働き方改革宣言企業制度」。それぞれ補助対象や内容は異なるが、いずれも機材購入や制度改革などの予算の一部に利用できる。申請期間もまだ先なので、今から調べても申請には十分に間に合うだろう。

 ライフワークバランスの概念が広まるとともに、優秀な人材を確保し、彼らに居続けられる企業になるには新たな取り組みが求められている。コスト削減や作業効率向上にも繋がるとなれば、サテライトオフィスは会社と社員、その両方に有益な働き方になるだろう。

 社内や雇用におけるニーズを汲み取り、各地の補助制度を賢く使いながら、その導入をぜひとも検討したい。

社員に選ばれる企業への一歩「サテライトオフィス」、経費削減にも

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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