【爆買いの次を考える】まだ続く中国人の消費パワー | RBB TODAY

【爆買いの次を考える】まだ続く中国人の消費パワー

 15年における訪日外国人観光客が約2000万人。そのうち中国人は約500万人と前年から倍増し、かつて1位だった台湾、2位だった韓国を上回った。彼らの消費活動を取り入れようと、国内の様々な企業が動いている。ただ、なぜ15年に中国人による大規模な消費活動が起きたか?

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訪日中国人観光客による消費が、日本の小売業に大きな影響を与えている
  • 訪日中国人観光客による消費が、日本の小売業に大きな影響を与えている
  • このような動きに対応する商店がも出てきた。岡山表町商店街もその一つ
  • ウェブや冊子での告知に加えて、外国人観光客に向けたイベントも開催
  • 外国人観光客に向けて、自前の観光コンテンツをアピール
【記事のポイント】
▼中国人観光客の消費動向、15年に何が起こったのか?
▼特殊なネット環境の影響から、SNSが最大の起爆剤に
▼中小でも明日からできるインバウンド対策


■中国人の新規観光客は今後も増える?

 15年における訪日外国人観光客が約2000万人。そのうち中国人は約500万人と前年から倍増し、かつて1位だった台湾、2位だった韓国を上回った。彼らの消費活動を取り入れようと、国内の様々な企業が動いている。ただ、なぜ15年に中国人による大規模な消費活動が起きたか? それをきちんと把握している人は少ない。

 まず、知っておかなければいけないのは、15年における中国から海外への渡航者数。およそ1億3500万人と言われているが、そのうち日本に来ているのは、言ってみれば“わずか”500万人だ。このため、日本を初めて訪れたという中国人観光客は多く、全体の6割を占めていると言われる。その割合は他国に比べて大きい。

 例えば、国産の炊飯器が中国で人気だったとして、次の旅行でも同じものを買い求めることは、まずありえない。つまり、初めて日本を訪れたからこそ、家電やブランド品を複数買い求めるような需要が発生し、その分母が急増したため話題になったというのが真相だ。

 なお、今は為替が人民元安に振れているため、以前のように高価な製品には手が伸びにくくなっている。中国人にとっては同じ金額(元)を使っていても、為替の影響で日本に落ちる額面(円)は少なくなる。これが、個人における消費金額の低下を招く恐れがあることも見過ごせない。

 とはいえ、中国における海外旅行者数が仮に横ばいだったとしても、1億3500万人すべてが日本を体験するには、まだまだ時間がかかる。20年には3000万人とも、4000万人とも言われる訪日外国人観光客において、中国人が大きな比率を占める状況は、今後も変わらず続くだろう。

■中国人観光客へのPRはまずSNSから

 観光庁「訪日外国人消費動向調査」によると、15年における中国人の旅行消費額は約1兆4174億円。訪日外国人全体の旅行消費額が約3兆4771億円なだけに、その金額の高さは圧倒的だ。

 とはいえ、何もしなくても外国人が買い物に来てくれるわけもなく、その大部分は先行して対応を進めていた大企業の元に落ちている。では日本の中小企業が彼らの消費活動に対応するには、一体どうすればいいのか? ジャパンショッピングツーリズム協会 事業推進部 部長 佐藤暢威氏によると、最も重視しなければいけないのがSNSの存在だ。


「中国では当局が発行している媒体は、あまり信用されていません。また、検索エンジンでは百度が一般的に使われていますが、SEO対策をしても思うような効果は得られないと考えていいでしょう。そもそも、サーバーを現地に置かないと、ページの表示に何十秒もかかることになるので、コストを考えると中小企業にとって現実的ではありません」

 そこで、注目すべきが現地で利用されているSNSだ。中国人が日本旅行をする際、その多くが「WeChat」などで情報を調べるという。当局や企業が提供している情報ではなく、有名人や知人から伝わってきた口コミ。それが、最も信頼できる情報源なのだ。ちなみに、FacebookやTwitterはほぼ使われていないため、いくら告知しても意味がない。

「観光情報を中国語で発信すること、今年はそれが観光におけるテーマとなります。昨年の冬ごろから、大手の商業施設などに動きが見え始めてきましたが、商店街なども遅れずに取り組むことが必要ですね。WeChatにアカウントを作って、各店舗の日本ならではの魅力を中国語で発信し続けるだけでも、大きな違いが出てくると思いますよ」

■中国人が“買い物ができない町”にならない

 また、中国語への対応という点では、看板一つから始まる案内表示の問題もある。さらには、中国人が買い物の際に決まって使う「銀聯カード」に対応すること。これら2点が整備されていなければ、SNS上で「買い物ができない町」とつぶやかれてしまうかもしれない。そのマイナスイメージを払しょくするには、相当な時間と労力を必要とするだろう。

 まわりを見渡せば、中国人観光客は国内のいたるところにいる。その最初の数人がプラスとマイナス、どちらのインフルエンサーになるかが、その町全体のイメージを左右する可能性は十分にあるのだ。

 とはいえ、SNSや言語表記、銀聯カード対応などを進めても、すぐに効果が出るものではないと考える事業者も多いだろう。結果、対応が遅れる原因となっているが、実はいち早く対応することで、すぐにでも成果が得られるケースもあるという。

「小売業で考えると、観光客相手のビジネスでは立地がものすごく重要です。駅前と外国人が宿泊するホテルの近辺は強いですね。北海道の地方スーパーでは、シェラトンホテルの前のスーパーだけ、免税対応でもないのに爆発的な売り上げを記録したことがあります」

 ちなみにドラッグストアとスーパーの2つが、お土産を購入する場所として、特に中国人観光客に注目されている事業形態となる。コンビニでもタバコ、著名ブランドとコラボした化粧水が売れた例はあるが、多くはホテルの室内で消費するものを購入するため、お土産として売れる商品は少ない。

 中国人の消費動向は為替とSNSに左右される。それを前提とたPRで客足をつかみ、迷わず買い物ができるインフラを整備すること。そのためには、商店街や自治体などが一体となって、対策に取り組む必要があるだろう。規模が大きくなるほどにPRはしやすく、補助金なども利用しやすくなる。そうした動きをいち早く進めた町や商店街が、次の先行者利益を得ることになりそうだ。

【爆買いの次に来るもの:1】まだ続く中国人の消費パワー

《丸田鉄平/H14》

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