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【インタビュー】学生から社会人まで、生涯のキャリアをつなぐ……ビジネスSNS「リンクトイン」の進化

エンタープライズ その他
リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行の杉本隆一郎氏
  • リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行の杉本隆一郎氏
  • 早稲田大学の「カレッジページ」
  • リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行の杉本隆一郎氏
  • リンクトイン プロフィール画面
■学生から社会人まで、キャリアを繋ぐ「カレッジページ」

――採用活動の話もありましたが、昨年「カレッジページ」というものがリリースされて、利用規約の改訂などもありました。狙いと反響を教えてください

 そもそもリンクトインでは、ビジネスプロフェッショナルの方が、リンクトインの中に存在する企業ページを見たり、そこで働いている方のプロフィールを見たりしながら、「この会社で働いてみたい」というイメージを膨らませるということで、仕事の機会を掴むという使い方がありました。それがここ数年で大学生のユーザーが増えてきて、大学生の最初の就職のタイミングで、自分が入社したい会社ってどんな会社なんだろう、ということを知る為にリンクトインを活用するようになってきました。さらに、昨年の8月のタイミングで、今度は中高生の大学選びにも一役買えるのでは、ということで始めたサービスが「カレッジページ」です。

 お子様やそのご両親が一緒に進学先を選んで行く時、将来あんなことをやりたいな、こんな仕事をしてみたいなと思った時に、じゃあその会社で働いている人たちはどんな大学出身者が多いのかなということが確認できる。ということは、そこで働く為にはこういう大学を選び、こういう専攻をしなければいけない、というのが可視化できるわけです。そういった情報を一日もはやく若年層の方にも提供することで、建設的なキャリア形成ができるのではないかなと思います。

 「カレッジページ」は、グローバルでは昨年の8月にリリースして、その段階では日本からは東京大学だけが参画している状況でした。昨年の12月には日本でも東大含む13の大学にページを開設していただけました。用途としては大きく3つあります。1つは中高生向けの大学のブランディング。そして2つ目は同窓会ネットワーク。これまでであれば、大学を卒業する際に、自分の就職先などを学生部やキャリアセンターに登録して、その後はアナログで管理していた。その場合、たとえば転職をしたり、転居したりする情報は、わざわざ大学にアップデートに行く人は少ないので、そこで寸断されてしまう。卒業後数年にわたる卒業生の情報管理というのは難しかったわけです。一方でリンクトインであれば、近況に変化があった場合ユーザーそれぞれがアップデートをするので、大学がそのデータベースをうまく各校の同窓生データベースと紐づけることで、管理が簡単で、かつアップデートも可能になります。3つ目は既存の大学生向け。リンクトインを活用して将来のキャリアデザインのために活用してもらう。主にはキャリアセンター発の学生向けの情報発信の場としての機能を考えています。この3つの切り口でカレッジページのメリットを感じていただいて、運用を開始していただきました。

――始められたばかりではありますが、「カレッジページ」の反響はいかがでしょうか

 実績という話ではまだこれからになると思いますが、たとえば、昨今複数の大学が「グローバル30」という、外国人留学生を日本に呼び込もうというプロジェクトに参加しています。その中で、いかにして海外で学習している学生に自分たちの大学のことを知ってもらえるのか、その手段として何が考えられるかと模索していました。その点、リンクトインはまさにグローバルのプラットフォームで、北米・ヨーロッパ・アジアで大学進学を希望している学生に対して情報配信できます。そういった意味では、1つのツールとして活用できそうだなと実感を掴んでいただいている。まずはその領域でも満足していただける成果がでるようにサポートしていきたいです。

 学生目線で言うと、私は人事の仕事も長くやっていたので彼らと接する機会が多く、今も交流があったりしますが、大学のページが1つできたことで、自分の大学の卒業生はどんなところで活躍しているのかということが把握しやすくなったという声も聞きます。このように少なからずメリットを感じていただけるのであれば、今後も社会人に限定せず、学生に対してもしっかり情報発信することで、ユーザーの増加や、活用の頻度を増やしていただくことに貢献できるのではないかという手応えを掴んでいます。

 これまで、中高生の頃使っていたサービスを、大学時代も使い、就職してからも同じように使うという状況がそもそもありませんでした。そこを繋ぎこむ事ができたのは画期的だったと思います。日本で見ても、色々な会社が就職のメディアを運営していて、学生の時に使うようなオンラインサービス、SNS、就職した後に使うサービス、転職の時に使うサービス、それぞれに毎回違うサービスを利用しなければいけなかった。リンクトインがまずそこを繋ぐ事ができたので、それをうまく広げていくことで、ユーザーにとってより使いやすい世界が構築できると考えています。

■日々キャリアを意識することで、転職のミスマッチもなくなる

――日本の就活における新しい選択肢になり得る可能性もありますね

 そうなるといいなと思いますが、そこに関して我々は特にビジネスとして学生向けにマネタイズするとか、エントリーシートを簡略化してエントリーのハードルを下げるだとか、そういったことは考えていません。今の日本の就職活動をみていると、エントリーしやすい=企業選びが容易になりすぎていて深堀りできておらず、そのため就職後のミスマッチが起きる、そういった悪しき状況を目の当たりにしています。そうならないために、学生の皆さんが興味を持った会社があれば、まずリンクトインの会社ページを訪れて最新の情報を見ていただく。その会社の従業員の方も多く参加しているので、どんなバックグラウンドの人が多いのか、新卒採用はやっていないけれど、みんなこういった業界で経験を積んで転職しているんだなどといった、しかるべき気づきを得ることができます。どういった人が働いているかみることで、志望動機の形成にも役立つかもしれません。その上でキャリアデザイン、就職活動をしていただくことがベストなかたちではないかと。そういった面でもひとつの使命感を感じながら、大学生向けの普及活動もやっていけたらと思っています。

 これは一方、学生に限った話ではありません。日本では転職は求人媒体を使って応募したり、人材紹介会社に登録してエージェントを使ったり、それだとベストマッチの転職をするのは中々難しい。20代後半が最初の転職のタイミングかと思いますが、日頃からこんな会社だったら働いてみたいなという会社を自分の中でイメージしておいたり、もしくはこういう人になりたいなという自分なりのロールモデルを見つけておいて、それならばこれから5年の間にこういった仕事をしていかなければいけないだろう、ということを日々計算して、キャリアを意識しておく事も、社会人の方には必要なのではないでしょうか。30代、40代の皆さんも同様で、何かがあってからのキャリアの棚卸しではなくて、日常的に自分を高める為にもキャリアの棚卸し、これから何が必要なのかを考えておく。そういう習慣づけがあると、なお日本のビジネスプロフェッショナルのクオリティが上がっていくのではないかと思います。既存の会社にぶら下がって行くというのではなくて、同業他社でやっている方と比較した時に自分は負けてないぞ!というのを意識する事で、仕事にもモチベーションを持って取り組めると思います。そういったきっかけを配信していければいいなと考えています。
《白石 雄太》
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