iBeaconはどんなデータをやり取りしているのか?……その仕組みとセキュリティ | RBB TODAY

iBeaconはどんなデータをやり取りしているのか?……その仕組みとセキュリティ

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iBeaconのしくみ。ビーコンの電波の到達範囲は数メートル程度
  • iBeaconのしくみ。ビーコンの電波の到達範囲は数メートル程度
  • 米国Apple Storeが導入したことで話題に拍車がかかった(写真は銀座のアップルストア)
■リテール業界が注目するiBeacon

 iBeaconは、2013年6月のWWDCで発表され、O2Oデバイスの新しいソリューションとして注目されている近距離無線通信技術。

 たとえば、iOS 7以降がインストールされたiPhone 4S以降の端末であれば、iBeaconから発信される情報を利用して、その端末が、店舗内のどの棚の位置にいるかが把握できる。この機能によって、来店ポイントやクーポン、その他のプッシュ情報を配信できるのだが、NFCやGPSよりもきめ細かいサービスや新しいユーザー体験を提供できるのが特徴だ。Apple StoreがiBeaconを利用したトラッキングシステムを導入したことも話題に拍車をかけた。

 国内でも家電量販店がすでに来店ポイントのシステムとして採用しており、アパレル業界や百貨店を始め小売業界での利用が広がっている。その一方でNFCや位置情報を利用したソリューションとの違いや通信の原理がまだまだ浸透していなかったり、セキュリティ上の危険性に対しても漠然とした不安や誤った認識をもっている人も少なくない。

 特にセキュリティの問題は、ポイントを理解していないとピントのずれた対策になってしまい効果が期待できない。そこで、iBeaconの基本的な動作原理や、店舗はどんな情報が得られ、顧客はどんな情報を提供しており、ビーコンとデバイスはどんな情報をやり取りしているのかを解説してみたい。これらの情報をしっかり把握していないと、O2Oだ、セキュリティだ、と騒いでも十分な効果やメリットを享受できないばかりか、なりすまし、偽ビーコンによる被害を顧客や店舗が被ることになりかねない。

■iBeaconはBluetoothを利用した近距離無線通信技術

 iBeaconは、ビーコンとデバイスとの通信にBluetooth Low Energy(BLE)という技術を利用している。BLEはBluetooth 4.0から対応した機能で、名称が示すとおり低消費電力での動作を前提としたBluetoothプロファイルのひとつだ。実効通信帯域は数百kbpsと(仕様では1Mbpsとなっている)あまり高速ではないが、BLEデバイスはボタン電池で数年から10年程度動かすことができる。

 ベースはBluetoothなので、Wi-Fiなどに利用されている電波と同じ2.4GHz帯の小出力の電波を利用しており、BLEの電波の到達範囲は10cm~1m前後とされる。詳しくは後述するが、比較的狭い範囲でのデータのやりとりを想定している技術だ。しかし、NFCと違いリーダへの接触は必要ない。そのため、店舗ではレジ前、特定の棚の前、あるいは店内に本当に入ったのか、などの情報を自動的に把握することができる。ちなみに、店舗内や狭いエリアの情報は、スマートフォンのGPSや基地局による位置情報では得ることができない。GPSでは店舗内での位置特定はできないし、最寄りの基地局やWi-Fiスポットではどの棚の前か、そもそも店舗の外にいるのか中にいるのかなどの細かい情報はわからない。

 iBeaconは、NFCとスマートフォン+GPSによるソリューションの間を埋めることができる技術として注目されている。とくに来店ポイントの付与や関連したレコメンド、クーポン配布などのプッシュ型の情報提供が、NFCなどより効果的に行うことができる。わざわざ店内の端末にタッチしなくても、店舗側は適切なプッシュ情報を配信できるし、顧客は来店ポイントの貰い忘れなどを防げるというメリットもある。

■iBeaconは本体のID情報を周囲に発信している「ビーコン」

 次に誤解のないようにしたいのは、iBeaconの本体は「ビーコン」である。したがって、本体は周囲に対して常に電波(に乗せた情報)を発している送信機である。しかも相手を特定しない「放送」電波に近い。ネットワーク用語ではブロードキャストまたはマルチキャスト、エニーキャストなどと呼ばれる類のものだ。

 iBeacon本体は、ボタン電池で駆動される小さいモジュールで、各モジュール(ビーコン)は、ビーコンを識別するIDを発信している。端末側は、受信した電波の強さでビーコンからの距離を3種類の識別子(immidate/near/far)で判別する。ID部分は、RFC4122で規定されたUUIDに、各16ビットのメジャーコード、マイナーコードを付与したものだ。

 後述するがUUIDを暗号化するには、MACアドレス、乱数、ハッシュ関数などによって生成したものが利用可能だ。メジャーコードやマイナーコードは、ビーコンを設置した店舗・支店や棚位置などの情報を任意に設定できる。

 顧客・来店者はiBeacon(BLE)に対応したスマートフォンにクーポンアプリなどがインストールされていれば、ビーコンからの情報を受信し、それに応じた処理=来店ポイントを受け取る、クーポンを受け取る、ECサイトのレコメンドやサービス情報を受け取る、行動履歴を店舗側に提供する、といった機能が実行される。
《中尾真二》

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