【インタビュー】宮藤官九郎 最初に「ニヤっ」最後は「スパン!」…ヒット作りの極意 | RBB TODAY
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【インタビュー】宮藤官九郎 最初に「ニヤっ」最後は「スパン!」…ヒット作りの極意

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宮藤官九郎/写真:鴇田 崇
  • 宮藤官九郎/写真:鴇田 崇
  • 宮藤官九郎/写真:鴇田 崇
  • 宮藤官九郎/写真:鴇田 崇
  • 宮藤官九郎/写真:鴇田 崇
  • 『中学生円山』 (C) 2013 『中学生円山』製作委員会
  • 『中学生円山』2014年1月15日DVD&ブルーレイ発売、レンタル同時リリース (C) 2013 『中学生円山』製作委員会
 「最初に笑いやギャグがあって、自分がニヤっとするかどうか。それが僕の作品の“核”になっている気がします」と語る、脚本家の宮藤官九郎。日本の演劇、映画、テレビドラマというエンターテインメントを牽引する人気クリエイターが、面白い作品を作り続けている発想の始点をそう明かす。社会現象を巻き起こしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」もそのひとつ、この“宮藤ワールド”は、いかにして作品として結実していくのか――舞台公演中の宮藤氏本人に話を聞いて紐解いてみたい。

 今年5月に公開された映画『中学生円山』は宮藤氏にとって、『真夜中の弥次さん喜多さん』(‘05)『少年メリケンサック』(‘09)に続く監督映画第3弾で、思春期の中学生の妄想がテーマという極めてパーソナルな異色作だ。「あまちゃん」とは180度異なる内容だが、いずれも宮藤のファン、そして世間に想いは届いた。「僕はよく、やりたいようにやっていると思われがちですが、作品がお客さんにどう受け取られているのか、普通に気になるし、反応も気になります。たとえば『中学生円山』の場合で言うと、妄想は個人のもので共有するものではないという前提で作っているので、少しでも共感してもらえるように、映画の冒頭で妄想についてナレーションで語っています。思春期には誰でも妄想しますよね、という共通認識を持って映画を見て欲しいので、まずは自分の頭の中を見せなくてはと」。

 興味深い点は、宮藤監督の頭の中には、「最初は、特に映画を監督する時、観たい場面がまずあって、セリフや語りたいテーマがあるわけじゃない」ということ。「ドラマを作る時も同様ですが、テーマやストーリーの前に“やりたいこと”がある。『中学生円山』で言うと、ドアを閉めると宇宙人になっていて、ドアを開けると元に戻っているという場面をベースに全体を発想していく。そういうことが多いです。そういう個々の映像や瞬間瞬間が繋がって一本の映画になればいいという感じ。そういうイメージをまずスタッフやキャストに伝えるために、言葉に変換する、それがすごく難しいけど、すごく楽しいです」。

 この出発点を踏まえて同様に大切な点が冒頭で語った、「単純に自分が笑うか、心が踊るかどうかが重要」と言う。「それとこだわっていることと言えば、映画の中でどれだけ陰惨で悲しいことが起こってもいいけれど、最後の切れ味はスパン! といくこと。読後感は、こだわっているかもしれないです。そのことも最初に思っていることかもしれないですね」。

 ファンをはじめ、“宮藤ワールド”にハマッた人々は、貪欲に次回作を期待するものだ。そのことは――プレッシャーを含め、宮藤監督自身が一番わかっていることだ。「僕自身、一個作品を作って次を作りたくなるモチベーションは何なのか、いろいろな同業者に聞いてみたいですね(笑)。これまで僕は、前作の反省というか、前のやつが嫌いにならないと次に行けなかったんです。嫌いっていうか後悔というか、やり残したことがある、ちょっと違うってことがあると、次こうしようという思いになる。けれど、『中学生円山』まだ、それがないんですよ(笑)。細かく、惜しい部分はあるけど、嫌いなところが今のところない。自画自賛もいいところですが、そういう意味では次に行けなくて困っていますね(笑)」。
《鴇田 崇》
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