【テクニカルレポート】大規模災害における移動通信サービスの輻輳解決に向けた取り組み……NEC技報 | RBB TODAY

【テクニカルレポート】大規模災害における移動通信サービスの輻輳解決に向けた取り組み……NEC技報

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図1:拠点内の通信サービス構成変更技術の全体イメージ
  • 図1:拠点内の通信サービス構成変更技術の全体イメージ
  • 図2:拠点間の通信サービスの連携制御技術の全体イメージ
  • 図3:OpenFlowによるモバイルトラヒックの優先制御技術
  • 図4:通信サービスの品質維持技術
【要旨】
 大規模災害時において、携帯電話による通話やデータ通信が大規模かつ集中して発生し、移動通信網が輻輳(ふくそう)状態になったり、移動通信網を構成する伝送路や通信設備に物理的な障害が同時多発的に発生し、通信途絶になった場合、適切な対処を施して、輻輳状態の解決やネットワークの回復を行う必要があります。本稿では、この課題を解決するための研究開発の取り組みとして、通信サービスの仮想化による処理能力増強技術と、OpenFlowによるモバイルトラヒックの優先制御技術、仮想化された通信サービスための品質維持技術について紹介します。

1. はじめに

大規模災害時には、携帯電話による通話やデータ通信が大規模かつ集中して発生するため、移動通信網に対する通信サービス要求が大量に発生し、通信サービス処理容量の超過により疎通率が低下する輻輳(ふくそう)状態となります。また、移動通信網を構成する伝送路や通信設備に物理的な障害が同時多発的に発生し、通信途絶が発生する可能性があります。

例えば、東日本大震災では、東北地域で通常時の約60倍の通信要求が発生し、通信サービスを安定的に提供することが困難でした。一方、被災地から離れた地域では、大規模な通信混雑は発生していなかったという報告もあります。

こうした異常事象が発生した場合に速やかにその事象を検知し、適切な対処を施して、輻輳状態の解決やネットワークの回復を行う必要があります。この際、音声通話やメールなど優先度の高いトラヒックが柔軟に処理されることが必要です。

我々は、上記の課題を解決するために、LTE(Long Term Evolution)ネットワーク[1] の通信サービスを対象に、ネットワークとサーバの仮想化技術を利用して通信サービスの耐災害性を強化する技術を研究開発しています。本稿では、この研究開発の取り組みのうち、下記の技術について紹介します。

・通信サービスの仮想化による処理能力増強技術
 通信サービスを仮想化することにより、柔軟な配置を可能とし、与えられたハードウェアリソースを有効活用して、災害時に重要な音声通信などの通信サービスの処理能力を増強させます。

・OpenFlowによるモバイルトラヒックの優先制御技術
 OpenFlow[2]を用いて動的にネットワークを制御することにより、災害時に重要な音声通信などのデータ(トラヒック)を優先的に転送します。

・仮想化された通信サービスための品質維持技術
 仮想化された通信サービスを実際の通信システムで利用できるように、応答性などの品質を維持するために仮想マシン(VM)自体の処理時間の安定性を向上します。

《RBB TODAY》

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