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無人の建機で迅速な復旧活動!5Gが実現する未来をみてきた

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KDDI、大林組、日本電気は15日、「au 5G」×「4K3Dモニター」を使った建機の遠隔施工の公開実験をおこなった
  • KDDI、大林組、日本電気は15日、「au 5G」×「4K3Dモニター」を使った建機の遠隔施工の公開実験をおこなった
  • 実験の概略図。KDDIでは2月1日~14日に同様の実証実験をおこない、建機の遠隔施工に成功している(KDDI調べでは、5G×4K3Dモニターを使った国内初の事例とのこと)
  • プレハブの操作室の様子。オペレーターはここで、モニターから得られる情報をもとに建機を遠隔で動かす
  • 重機の様子。前面に4Kカメラが並列に設置されている(写真の矢印)。オペレーターが操作するレバーには遠隔操作装置(サロゲート)が装着されていた
  • 5G活用の意義を語る(左から)KDDI モバイル技術本部の松永彰氏、大林組 技術本部の古屋弘氏、日本電気 ワイヤレスアクセスソリューション事業部の田上勝巳氏
  • KDDIが5Gによって描く「未来のライフデザイン」
 災害現場など人が立ち入ることができない危険な場所で、遠隔操作により無人の建設機械を運転できたら?オペレーターの安全を確保できるだけでなく、最少の人数で効率的な、そして何より迅速な復旧活動が進められることだろう。KDDIが15日に大林組、日本電気と協業しておこなった「au 5Gを活用した建機の遠隔施工の公開実験」は、そんな未来が間近に迫っていることを予感させるものだった。

 この日の公開実験は、高精細4Kカメラ2台、2K全天球カメラ1台、2K俯瞰カメラ2台の映像を伝送する手段として、「高速・大容量」「低遅延」通信を実現するKDDIの次世代移動通信システム「5G」が使用された(詳細は後述)。なお建機の遠隔操作システムは大林組が、28GHz超多素子アンテナを用いた通信機器の開発・試験はNECが担当している。

実験の概略図。KDDIでは2月1日~14日に同様の実証実験をおこない、建機の遠隔施工に成功している(KDDI調べでは、5G×4K3Dモニターを使った国内初の事例とのこと)
実験の概略図。KDDIでは2月1日~14日に同様の実証実験をおこない、建機の遠隔施工に成功している(KDDI調べでは、5G×4K3Dモニターを使った国内初の事例とのこと)


 メディアが招かれたのは、大林組の東京機械工場(埼玉県川越市)。敷地内には大型の重機が置かれ、そこから100mほど離れた場所にプレハブの操作室が設置されていた。オペレーターはこの操作室で、モニターから得られる情報をもとに建機を遠隔で動かすというわけだ。本実験の重要なポイントとなるのが、メイン画面に4K3Dモニターを使用したこと。4K3Dモニターとは2台の4Kカメラの映像で3Dの質感を実現したもので、特殊なメガネをかけずに裸眼で立体視できる。このためオペレーターの身体的な負担が少なくて済む。また複数人で同じ画面を視聴できるので、監督者が指示を出す、監視者が作業をチェックする、といった場面でもメリットがあるという。

プレハブの操作室の様子。オペレーターはここで、モニターから得られる情報をもとに建機を遠隔で動かす
プレハブの操作室の様子。オペレーターはここで、モニターから得られる情報をもとに建機を遠隔で動かす


 大林組では、これまでも建機を遠隔操作する方法を模索していた。しかし現行の4G LTEでは映像をアップロードする速度が足りない(実測値で上り200Mbpsが必要だという)。Wi-Fiでも速度は不十分で、おまけに電波が届く範囲も限られてしまう。では5Gが活用できるようになると、現場の環境はどのように変化するのだろうか。3社の代表者が登壇し、詳細を説明した。

重機の様子。前面に4Kカメラが並列に設置されている(写真の矢印)。オペレーターが操作するレバーには遠隔操作装置(サロゲート)が装着されていた
重機の様子。前面に4Kカメラが並列に設置されている(写真の矢印)。オペレーターが操作するレバーには遠隔操作装置(サロゲート)が装着されていた


■遠隔操作には奥行きが大事

 「au 5Gにより、遠隔地にいるオペレーターに高精細で立体的な映像を届けられる。これにより作業効率を従来比で15~25%改善できることが分かった」と説明するのはKDDI モバイル技術本部の松永彰氏。4K3Dモニターでは"奥行き"を正確に捉えることができるので、遠隔地から繊細な操作がおこなえるとアピールした。

5G活用の意義を語る(左から)KDDI モバイル技術本部の松永彰氏、大林組 技術本部の古屋弘氏、日本電気 ワイヤレスアクセスソリューション事業部の田上勝巳氏
5G活用の意義を語る(左から)KDDI モバイル技術本部の松永彰氏、大林組 技術本部の古屋弘氏、日本電気 ワイヤレスアクセスソリューション事業部の田上勝巳氏


 大林組 技術本部の古屋弘氏は「(究極的には)一箇所に設置した操作室から、全国の災害現場の復旧がおこなえるようになる」と指摘。従来なら現場に駆けつけ、その2km以内に作業環境を構築しなければいけなかった。それが5Gにより東京などに一元化できるのであれば、迅速にかつ効率的に作業できると強調した。

 もっとも、そうした未来を実現するには5Gの能力を最大限に引き出す端末側の開発も同時に進める必要がある。日本電気 ワイヤレスアクセスソリューション事業部の田上勝巳氏は「NECでは無線ビームをきめ細かく形成できるフルディジタル制御方式を採用している。これにより多くの端末を収容できる」と説明する。具体的には、複数の建機にビームを形成、移動する建機を追尾して電波を送受信するなどして現場をサポートしていきたい考えだ。

KDDIが5Gによって描く「未来のライフデザイン」
KDDIが5Gによって描く「未来のライフデザイン」


 KDDIでは、5Gを活用した様々な「未来のライフデザイン」を思い描いている。今回の実証実験は、その中の「ICT施工」にあたる。松永氏は「パートナー様と実証実験を積み重ねながら、将来どういったことが実現できるか、これからも探求を繰り返していく。これにより、社会の様々な課題を解決していけたら」と言葉に力を込めた。

※今さら?いや、今こそ学びたい「5G」……その特徴と実現できる世界とは?
《近藤謙太郎》
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