【テクニカルレポート】100ギガビットイーサネットについて(前編)……IIR | RBB TODAY

【テクニカルレポート】100ギガビットイーサネットについて(前編)……IIR

 今後のトラフィック増大に伴い、近い将来導入の必要性が出てくる100ギガビットイーサネットについて、技術的な特徴を解説します。また、共同実証実験から得られたことについて報告します。

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図-1 100GbEの基本原理
  • 図-1 100GbEの基本原理
  • 図-2 100GBASE-SR10/LR4/ER4概略図
  • 図-3 RS+PCS(64B/66B, MLD)
  • 図-4 レーン多重/分離による送受信レーンの関係
  • 図-5 アライメントマーカー(AM)
  • 図-6 アライメントマーカーとBIPの関係
 今後のトラフィック増大に伴い、近い将来導入の必要性が出てくる100ギガビットイーサネットについて、技術的な特徴を解説します。また、共同実証実験から得られたことについて報告します。

3.1 はじめに
 本レポートでは、はじめに100ギガビットイーサネット(以下、GbE)の技術的な特徴を解説し、次に、インターネット マルチフィード株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社と共同で行った100GbE IX(ISP相互接続点)共同実証実験についての報告、最後に100GbEの光トランシーバ規格と今後の動向について解説します。

3.2 100GbEについて
 100GbEは、2010年6月に標準化が完了してIEEE 802.3ba*1で規定されています。ここでは100GbEを理解する上で重要なポイントを説明します。また、10GbEで確立された技術を多く流用しているため、10GbEの詳細*2について理解していることが前提となります。

■100GbEの基本原理
 10GbEの10倍の速度の信号をシリアル伝送することは技術的なハードルが高く、また、実装にかかるコストが問題になります。そこで100GbEでは10Gbpsや25Gpbsといった低速なデータ転送を並列に行い、100Gbpsの速度を実現しています(図-1)。この並列データ伝送を実現する技術が100GbEの特徴です。

■100GbEとリンクアグリゲーションの比較
 この並列データ伝送技術はMLD(Multi Lane Distribution)と呼ばれており、OSI参照モデルの物理層で実装されています(図-2)。同様の並列データ伝送を実現する仕組みに、複数インタフェースを束ねて仮想的に一つに見せる、IEEE 802.3adで規定されるリンクアグリゲーションがありますが、100GbEとは以下の点で異なります。

 100GbEは物理層で並列データ伝送を行うため、利用ユーザは並列データ伝送のための設定や挙動の詳細を気にする必要がありませんが、802.3adではリンクアグリゲーションの設定や挙動を気にする必要があります。100GbEの並列データ伝送は、イーサネットフレームを一定長に分割して伝送路に均等にデータ送信を行うため、特定の伝送路にデータが偏る問題は発生しませんが、802.3adではフレームの分散方法に問題が均等に分散しない場合があります*3。

■MLDについて
 RS(Reconciliation Sub-layer)では、データリンク層(MAC)からイーサネットフレームを受け取り、64ビット単位に区切り下位の層に渡します。PCS(Physical Coding Sub-layer)では、64ビットデータに物理メディア上のデータ転送用2ビットヘッダを付け、66ビットのブロックを構成する64B/66Bブロックを作成し、それを仮想レーン*4
と呼ばれる並列データ伝送路に順番に送信することで、MLDを実現しています(図-3)。

■仮想レーンの多重化と分離の仕組み
 仮想レーンは途中で段階的に集約することも可能で、その場合はレーン間のデータをビット単位で多重化します(図-4)。多重化して集約することができると必要に応じてレーン数を変更して、様々な物理メディアに適応した伝送が可能になります*5。しかし、伝送路の途中でビット単位でレーンの多重化が行われると、送信側と受信側のレーン間の対応関係が成り立たなくなります(図-4のレーン5を参照)。そこでアライメントマーカー(Alignment Marker)という仕組みを利用して受信側レーンと送信側レーンの対応関係を受信側に伝えます。

■アライメントマーカーについて
 64B/66Bブロックのデータを16383個送信するごとに、一時的にデータブロックの送信を中断して、1アライメントマーカーを全レーンに同じタイミングで送信します(図-5)。例えば、送信側物理レーン5のアライメントマーカーには、レーン5の識別情報が含まれています。これを受信側物理レーン1で受信した場合は、識別情報をみることで、仮想(送信側物理)レーン5に対応したデータであると解釈します。

■仮想レーンのビットエラー監視の仕組みについて
 複数レーンの並列伝送では、レーンごとに異なる物理メディア上でデータ伝送される可能性があります。そのため、各レーンの回線品質を監視するためのBIP(Bit Interleaved Parity)機能が実装されました(図-6)。BIP機能は、各レーンで前のアライメントマーカーを含む64B/66Bブロック16384個のビットパリティを計算して、その値を送信します。受信側では同様の方法で受信したデータのビットパリティを計算して、アライメントマーカーのBIP値と比較し、16384ブロックの間にビットエラーが発生していたかを確認します。BIP機能があることで、伝送路でビットエラーが発生した場合に、並列伝送路すべてに影響している問題なのか、一部のレーンを運ぶ伝送路だけの障害なのかという切り分けが可能になります。

■まとめ
 ここでは100GbEで並列データ伝送を実現するため重要な機能を解説してきました。詳細について興味のある方は802.3baのドキュメントを確認することをお勧めします。

*1 IEEE802.3baのドキュメント(http://standards.ieee.org/about/get/802/802.3.html)
*2 「10ギガビットEthernet教科書」石田修、瀬戸康一郎監修、IDGジャパン、2002年初版を一読しておくことをお勧めします。
*3 802.3adではフレーム長は考慮せず、フレーム単位での分散を行うためフレーム長に偏りがあると均等分散しない。また、フレーム分散のための実現方法が規格で定義さ
れておらず、機器の実装に依存し、均等に分散しない場合がある。
*4 100GbEでは20レーンを利用している。
*5 現在のIEEE規格では、インタフェースボードと光トランシーバモジュール間のデータ伝送は10レーンで行うように規定しているため、物理メディア部分で利用可能なレーン数は1、2、4、5、10になります。実際の100GbEでは物理メディア部分が4レーンの100GBASE-LR4/ER4、10レーンの100GBASE-SR10、10x10 MSAが利用されています。


●著者紹介

大内 宗徳(おおうち むねのり)
 IIJ サービス本部 ネットワークサービス部 技術開発課。IIJ入社後、一貫してIIJバックボーンで利用する機器のテスト、インターネットに関する新技術の調査、研究開発に従事。

※本記事は株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の発行する「Internet
Infrastructure Review」
の転載記事である。
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