【テクニカルレポート】100ギガビットイーサネットについて(後編)……IIR | RBB TODAY

【テクニカルレポート】100ギガビットイーサネットについて(後編)……IIR

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図-6 アライメントマーカーとBIPの関係
  • 図-6 アライメントマーカーとBIPの関係
  • 図-7 100GBASE-LR4/ER4 CFPと10x10 MSAの比較)
  • 図-8 100GBASE-LR4/ER4 CFP2
※本記事は前編から続く。

3.3 100GbE IX共同実証実験
 6月1日に3社共同で100GbE IX(ISP相互接続点)共同実証実験に関するプレスリリースを発表しました*6。また、7月15日のJANOG28 Meetingにおいて共同実証実験の内容の一部を公開しました*7。本レポートでは共同実証実験の内容について公開されている範囲で簡単に触れます。

 本実験の目的は、100GbEの導入に備えた安定性の確認と運用上の問題点の検証です。また、IX接続する際のマルチベンダー機器環境での相互接続の問題点を確認しました。実験から得られた重要な点は、以下のとおりです。

1.マルチベンダー機器環境での相互接続に大きな問題はなかった
2.運用面では従来の10GbEまでと異なる点があるので注意する必要がある
・100GBASE-LR4の送受信の光レベルは波長多重されたもので、光のパワーが強いことに注意
・100GBASE-LR4の各波長の光レベル測定したい場合は専用のパワーメータを利用する、または、サポートしていればCLIを利用するが必要ある
・各レーンの品質監視のためのBIPカウンターを参照するための機能を実装してないものが多い
・100GBASE-LR4は僅かな汚れに対して非常にシビアでエラーが発生しやすく、クリーナーでCFP及びファイバー端面を綺麗に掃除する必要があった


3.4 100GbEの光トランシーバについて

■CFP MSAと10x10 MSAの規格
 現在、100GbEで利用可能な光トランシーバには、IEEEに標準準拠しCFP MSA*8で規定されたCFPモジュールとIEEEに準拠しない独自規格の10x10MSA*9準拠の二種類のトランシーバが存在しています。図7は光トランシーバの構造比較です。

 100GBASE-LR4/ER4 CFPの光トランシーバは、4:10レーン変換のGearBoxチップと4x25.8Gbpsの高速レーザ素子のコストが高く普及を妨げるという問題がありました。そこで、10x10 MSAでは既に量産されている10GbE技術を流用して、10x10.3Gbpsの電気信号をそのまま10x10.3Gbpsの光信号に変換し、部品コストを低減する独自仕様を作成しています。しかし、10x10MSAはIEEE標準準拠ではないため、一部ベンダー機器のみでのサポートとなり注意が必要です。


■利用可能な物理メディアと到達距離について

 100GbEで利用可能なインタフェース規格を表-1に示します。ここで赤く表示しているものは、共同実証実験時点で利用可能であった光トランシーバです。利用可能な主な物理メディアには、銅線(Copper)ケーブル、多芯マルチモードファイバー(MMF)、シングルモードファイバー(SMF)の3種類があります。

 しかし、実際のコアネットワーク機器間の接続では、既存のシングルモードファイバーをそのまま利用可能な100GBASE-LR4/ER4、10x10MSAしか選択肢がありません。また、現在利用可能な光トランシーバは到達距離があまり伸ばせず、100GbEとダークファイバーを利用したメトロエリアネットワークの構築が困難であり、キャリアクラスの伝送装置がなければ中長距離伝送が難しいのが現状です。今後、中距離伝送が可能な100GBASE-ER4(30km)と10x10-40kmの光モジュールが利用可能になるはずですが、現状のCFPの価格を考慮するとコスト的に利用可能かは不透明です。

■今後の光トランシーバ規格について
 現在のCFPタイプの光トランシーバは、78x13.6x144(mm)と非常に大きくインタフェースモジュールに搭載可能なポート密度を上げることができませんが、大幅に小型化したCFP2、CFP4というモジュールが近い将来出てくる予定です。CFP2以降になるとインタフェースモジュールボード間の電気信号の速度が4x25.8Gbpsに変更されます(図-8)。これにより、10x10MSAと同様にCFP上のGearBoxチップが不要で、CFPより安価になることが期待されます。

3.5 おわりに
 現状では、100GbEに関して日本語でのまとまった情報が殆どありませんが、本レポートが100GbEを理解するための手助けとなれば幸いです。現時点で100GbEは非常に高価であり、また対応製品も少ないため、一般的な普及にはまだ時間がかかると思われます。また、IIJでは今後のトラフィック増大に備えて100GbE技術の導入検討を積極的に進める予定です。

*6 IIJプレスリリース「世界初の超高速100GbE IX(ISP相互接続点)共同実証実験に成功」(http://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2011/0601-02.html)
*7 JANOG28「IXと100Gbit Ethernet」(http://www.janog.gr.jp/meeting/janog28/program/100G.html)
*8 C Form-factor Pluggable Multi Source Agreementの略。IEEEでは100GbEの光トランシーバモジュールの形状や機能の仕様の詳細については規定していないため、光トランシーバモジュールのベンダーが集まり、共通仕様を定義して、それに基づき製品を作っている。(http://www.cfp-msa.org/)
*9 テンバイテン Multi Source Agreement。機器ベンダーとその利用ユーザが集まって、低コストの作成可能な独自の光トランシーバの規格を策定している。(http://www.10x10msa.org/)


●著者紹介

大内 宗徳(おおうち むねのり)
 IIJ サービス本部 ネットワークサービス部 技術開発課。IIJ入社後、一貫してIIJバックボーンで利用する機器のテスト、インターネットに関する新技術の調査、研究開発に従事。

※本記事は株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の発行する「Internet
Infrastructure Review」の転載記事である。
《RBB TODAY》

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