【テクニカルレポート】統合型データ保護のメリットとは?~高コストな従来型アプローチとの比較~後編 | RBB TODAY
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【テクニカルレポート】統合型データ保護のメリットとは?~高コストな従来型アプローチとの比較~後編

エンタープライズ ハードウェア
Nathan Moffitt氏
  • Nathan Moffitt氏
  • David A. Chapa氏
  • 写真1:NetAppの統合型データ保護ソリューションの全体像
■アプリケーション・データの保護とリカバリ

 継続的に動作するアプリケーションには、データ保護に関して特殊な要件があります。ほとんどのアプリケーションは、パフォーマンス上の理由から、データをメモリにキャッシュしています。したがって、矛盾のない最新の状態を保つには、単純にディスク上のアプリケーション・データをコピーするだけというわけにいきません。この理由から、市販されている多くのアプリケーションとデータベースでは、アプリケーションを停止しなくても矛盾のないバックアップまたはコピーを作成できる、ホット・バックアップ・モードが提供されています。ホット・バックアップ・モードは、稼働中のアプリケーションのパフォーマンスを低下させます。そのため、アプリケーションの負荷が少ない時間帯にこの処理を実行するか(これは必ずしも可能とは限りません)、または処理を非常に速く実行する必要があります。

 一般に、従来型のデータ保護ソリューションは、テープであろうとディスクであろうと、完了までに長い時間がかかるため、必然的にオフピークの時間帯に実行しなければなりません。

 対照的に、統合型データ保護では、アプリケーションをホット・バックアップ・モードにし、スナップショットを作成し、通常の動作に戻るという一連の流れが、ほんの数分で実行可能です。これは次のように多大なメリットをもたらします。

・1日に何回もスナップショットを作成し、他のソリューションに比べてずっと多くのリカバリ・ポイントを提供できます。

・矛盾のないスナップショットを作成した後、プライマリ・ストレージに保存して即時のリカバリに使用することも、セカンダリ・ストレージにコピーすることも、別のサイトに複製してディザスタ・リカバリに備えることもできます。

■アプリケーションのリカバリ

 従来のアプリケーション対応バックアップでは、バックアップを作成した時点からアプリケーションを再開できるよう、データが矛盾のない状態で残されます。データベースなどのアプリケーションを従来型のバックアップから回復する必要が生じた場合、まず最新のバックアップをリストアし、次に一連のトランザクション・ログを適用して、データベースを最新の状態にします。このように複数のステップからなるプロセスでは、作業ミスなどの問題が発生し、処理が長引く可能性が少なくありません。

 統合型データ保護では、アプリケーション・リカバリを実行する際に管理者の手を煩わさず、障害が発生する直前の状態に自動的にアプリケーションを回復することができます。特定時点の状態に戻すために必要なすべてのステップは、人的な作業を伴わずにソフトウェアによって実行されます。したがって時間が節約され、ユーザ・エラーの可能性がありません。

■NetAppのソリューション

 NetAppは、スペース効率に優れたSnapshotテクノロジに基づく、統合型データ保護ソリューションのスイートを提供しています。NetApp SnapVaultソフトウェアを使用すると、Snapshotコピーをセカンダリ・ストレージにバックアップし、オンラインで長期にわたって保存できます。変更されたブロックだけが転送されるので、ネットワーク帯域幅を効率的に利用することが可能です。Open Systems SnapVaultを使用すれば、標準のWindows、Linux、UNIXサーバのストレージを含めることも可能です。

 ディザスタ・リカバリについては、NetAppはSnapMirrorによる効率的なレプリケーション(やはり変更されたブロックのみを複製)を提供しています。データセンターまたはキャンパスにおける高度なデータ保護には、NetApp MetroClusterを使用して、最重要アプリケーションの同期ミラーリングによる継続的なデータ可用性を実現できます。

 アプリケーション・バックアップは、Oracle、SAP、Microsoft Exchange、SQL Server、SharePoint、VMwareなど人気の高いアプリケーションと統合するSnapManagerスイートによって提供されます。これらのツールは、アプリケーションをホット・バックアップ・モードにして、矛盾のないSnapshotコピーをキャプチャした後、わずか数秒で通常の動作を再開することができ、バックアップとディザスタ・リカバリの基盤としての役割を果たします。個々のストレージ管理機能をアプリケーション管理者に委任できるので、効率が向上します。

 アーカイブとコンプライアンス関連のニーズには、NetApp SnapLockを使用して、プライマリまたはセカンダリ・ストレージのNetAppボリュームを書き込み不可、消去不可なストレージに切り替えて、所定の期限までファイルの改ざんや削除を防ぐことができます。写真1に、NetAppの統合型データ保護の全体像を示します。

■まとめ

 統合型データ保護では、次のことが可能です。

・バックアップまたはレプリケーションが必要な新規または変更データを即時に識別
・データを効率的に移動
・データをオープン・フォーマットで効率的に保存
・アプリケーションと矛盾しないバックアップによる迅速なリカバリ

 統合型データ保護ソリューションでは、従来のデータ保護ソリューションよりもはるかに多くのメリットが得られます。データ保護のための高速かつ完全な統合型のアプローチは、ほぼすべてのデータセンターで有利に作用します。トランザクション処理が非常に多い環境では、統合型データ保護を導入すると、従来よりも頻繁にリカバリ・ポイントを作成し、迅速なリカバリが可能になるため、特に著しいメリットがあります。

 統合型データ保護は、クラウド・コンピューティングという最新のトレンドにも理想的です。社内外の利用者向けに、管理しやすく拡張性の高い、一貫性のあるデータ保護サービスを提供できる能力は、完全なクラウド・インフラを実現するための重要な要素です。 NetAppは、包括的なデータ保護における複雑性とコストの問題を解決する、統合型データ保護のあらゆる機能を提供しています。


執筆者:敬称略

David A. Chapa
バックアップ/リカバリ・ソリューション担当ディレクター、NetApp
Davidは業界で20年以上の経験を有し、データ可用性、ディザスタ・リカバリ、ビジネス回復プラクティスを専門としています。『Implementing Backup and Recovery: The Readiness Guide for the Enterprise』の共著者であり、バックアップとリカバリ、ディザスタ・リカバリ、ビジネス回復に関する第一人者と見なされています。

Nathan Moffitt
バックアップ/リカバリ・ソリューション担当シニア・マネージャー、NetApp
NathanはIT業界で13年以上の経験があり、サーバ、ストレージ、ネットワーキング、データ保護テクノロジに取り組んできました。世界中のFortune 500企業で採用されているソリューションの設計と実装に携わるかたわら、データ保護と共有ファイルシステムについて、さまざまな記事を執筆しています。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である
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